2002年国民春闘共闘情報
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第45号  2002年6月22日

誰でもどこでも時給1000円以上を

  17〜21日、全国各地で第3回最賃デー  

6・20中央総行動・座込みに150人

 国民・東京の春闘共闘と全労連は20日、「誰でもどこでも時給1000円以上を」「全国一律の最低賃金制度をつくろう」などの要求を掲げ第3回最賃デーを展開し、地方代表を含む150人が参加。悪法阻止の議員要請も実施しました。全国各地では15日〜21日のゾーンで取りくまれています。
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 霞ヶ関の厚生労働省前に折りたたみ椅子を並べたとたんに小雨が降り出しましたが、地方代表をはじめ東京・首都圏の参加者が次々駆けつけ、座込みに突入しました。
 中央・東京の最賃デーは、7月26日予定の中央最低賃金審議会の改定「目安」答申にむけて、この日開催された目安小委員会への要求行動として実施したもの。
 宣伝カーの上から、最賃体験運動参加者や最賃審議委員立候補者(写真)、各単産・地方の代表が次々マイクをにぎり、「最賃が生活保護基準より低いのには納得いかない」「パートの賃金は半人前で、税金などは一人前」「資本側は正社員の給与基準をパートの最賃並みに引き下げを狙っている」と、パート労働者が最賃ぎりぎりで働かされている実態などを訴えました。
 国民春闘共闘の国分武事務局次長は主催者あいさつで、全国一律最賃制確立とあわせ、現行の最低賃金の引き上げをかちとるために、
1)現行地域別最低賃金の改善・大幅引き上げ、
2)最賃額が生活保護基準よりも低い問題の是正、
3)「時間額のみ」の最賃額表示への変更に反対、
4)公契約・リビングウェイジ・公正発注にかかわる要求

など、署名・宣伝活動を強めながらたたかい抜くと述べました。
 広島県労連青年部長の木下克巳さんは、自らの最賃生活実態を報告。標準生計費(11万3000円)でチャレンジしたが、1日3食で予算オーバーしたと述べ、「若者はアルバイトや派遣など安い賃金で働かされている。政府はこれで若者が税金を払えると思っているのか」と批判しました。




厚労省交渉●時間額のみ表示に固持。最賃体験資料は配布

 6月20日午後3時から厚生労働省で、「最低賃金の引き上げ、改善に関する」要請交渉をおこないました。全労連・春闘共闘からは宮城、広島の代表も参加し、総勢12名が交渉に望みました。
 厚労省側は、「目安額に対しては、慎重に審議している。引き上げは中賃の目安を地域の実情も考慮して出している」「中賃審の報告で、時間額のみの表示は法律的にも問題ない、また、様々な職種や形態にあったものに合わせる意味で時間額のみの表示は分かりやすい」「中賃委の任命は、各労働団体の推薦によって、検討した結果。地賃委についても今後とも慎重に審議していく」「最賃が生活保護水準より下回っている件だが、現在勉強中で、住宅費のモデルケースを検討している段階」と、明確な回答はありませんでした。
 交渉団からは、「なぜ、昨年3月の国会答弁で厚労大臣が約束した最賃が生活保護水準より低いことについて、手を打つことを事務方は取り組まないのか」「宮城での地賃委任命結果はどうして、一つの労働団体独占になるのか」「ILO条約に照らしても国際的に、日本の委員任命は異常ではないのか」、青年からは「フリーター層は28歳が生涯最高水準の年収で、それ以降年収が減る。青年が自立できなくて、どうして少子高齢化社会を支え、税金や社会保障費を払えるのか。その意味での最賃引き上げは重要な問題だ」などの意見が出されました。
 交渉は、厚労省が検討している標準住宅費に関するモデルケース資料と中賃小委員会議事録を全労連・春闘共闘に後日送ってもらうことや、最賃体験運動の資料を事務方から各審議委員に渡すことを約束させました。また、直接こちらの意見を聞いてもらう、意見陳述の場を設けるように申し入れ、後日回答を寄せてもらうことも確約しました。



総務省交渉●統一調査はなじまない。公契約法は厚労省へ

 午前11時から実施した総務省交渉には、単産・地方代表ら14名が参加し「最低賃金の引き上げ、公契約に関する要請」を行いました。
 対応した人事恩給局と行政課の担当者は、国や自治体に働く非正規労働者の賃金・労働条件の差別是正や実態調査について、「雇用する国家公務員法、非常勤職員、一般職の給与に関する法律の範囲内で各省によって違い、さまざまなものがあるので統一的な実態調査はなじまない」と逃げました。発注先との契約にあたっての労務費明細の明示については、「地方自治法の関係で発注する事業についての単価、入札をおこなう予定価格、競争の後、公正な立場での結果の価格、適正な労務費が入っている。競争の結果としてある。働く人達の権利は労働行政の問題」「請負について最低制限を設けるかは、自治体の判断で運用。住民監視の中で自治体が考えていく」としました。
 また、公契約法について、「労働条項を守らせることは厚生労働省の管轄で、この要望はそちらにお願いしたい」。また、現行の地域最低賃金を引き上げ、すべての取引き、単価設定の最低基準とすることについても、「厚生労働省に要請してください」と回答しました。



メーデー裁判に100人 都側が準備書面で争点隠し

裁判官も「抽せん」と「会場の大きさ」など説明求める

 6月20日午後、中央メーデー裁判の第2回口頭弁論が行なわれ、会場の東京地裁第1小法廷(定数100名)は組合側の傍聴者で埋めつくし、熱気あふれる雰囲気となりました。
 今回の弁論で、実行委員会側はこれまでの「行政処分取消し請求」を、メーデー終了にともなって1200万円余の「損害賠償請求」に切り替えました。
 損害請求の内容は、無形損害として
1)抗議・要請行動の経費、
2)準備の重複、
3)社会的評価の低下、
4)中央メーデーの会場に不適切な会場を使用せざるを得なかったことによる不利益。

 以上と宣伝費用、弁護士経費となっています。同時に、都側の準備書面に対する反論を行いました。都側の準備書面は、争点を隠そうというもので、実行委員会側は次回以前に明らかにするよう求め、裁判官も「今回抽せんにしたのなら、なぜ99年から2000年までは抽せんをしなかったのか」「メーデー会場の大きさが適切・不適切」など明らかにすることを都側弁護団に要請しました。
 次回の口頭弁論は、7月22日午前11時から東京地裁で開かれます。今回の訴訟は、東京都がメーデー会場の代々木公園使用を妨害したことに対して、全労連・国民春闘共闘が参加する第73回中央メーデー実行委員会は、「行政処分取消し請求」として提訴したものです。