2002年国民春闘共闘情報
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第34号・回答第7号 2002年05月17日

過半数に回答。5800円台を回復

金融など回答引出し、加重も上昇

 5月上旬の回答の特徴について 

2002年5月17日●2002年国民春闘回答集計センター

産業別・単産別総括表

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1万円以上の回答

1.春闘回答集計センターは5月16日、2002年国民春闘共闘委員会(全労連、純中立労組懇など)各単産と地方共闘より5月上旬段階の回答を中心とする第7回目の報告を受けた。この間に回答報告があったのは33単産・部会中の30単産と8地方共闘である。

2.回答+妥結状況は各々集計表のとおりで、その特徴はつぎのような諸点である。

 
(1) 登録組合数 950組合      
(2) 回答組合数 481組合 引出し率 50.6%  
  うち2次回答以上 147組合 上積み率 30.6%  
  うち前年実績以上 97組合 回答数の 20.2%  
  妥結組合数 235組合 解決率 24.7%  
(3) 単純平均 481組合 5,809円 同率 1.90%
  前年同期 652組合 6,652円 同率 2.19%
  前年同期比   −  843円   −0.29P
  加重平均 14.1万人 7,269円 同率 2.01%
  前年同期 14.8万人 7,609円 同率 2.26%
  前年同期比   −  340円   −0.25P

(4)4月末〜5月上旬の動向について
 各単産は、「4月末決着」をめざす統一行動を配置してたたかってきたが、約8割の組合が解決に至らず、5月闘争に継続してきた。連休明けに仕切りなおし、改めて集中団交や統一行動を背景に交渉を追い上げている。5月に入り、今回は地銀連、全損保から初めての回答が寄せられたのをはじめ、全農協労連、建交労・建設、建設関連労連、全労連全国一般、映演共闘や各地方からも新規回答が報告された。総じて新規回答の特徴は、定昇制度のあるところで「ベアゼロ」(定昇のみ)が多く、定昇制度がないところでは超低額が目立っている。また、中堅・大手組合を中心に「1万円以上の定期昇給」を死守した報告が同時に寄せられた。メーデーと連休を挟んだこの間のたたかいによって、回答引出しが481組合となり、ようやく過半数を超えた。うち147組合が第2次〜第6次の上積みをかちとり、前年実績以上を含め25%に相当する235組合が妥結した。
 こうしたことから、単純平均は5809円(1.90%)で、前年比843円(0.29P)の減ながら、前回集計時(4/26)に比べ33円上昇し、4月上旬からの減少傾向に歯止めがかかった。一人当たりの加重平均も7269円(2.01%)、前年比340円(同0.25P)の減ながら上昇傾向を示した。産別として解決の方向にむかっているのは出版労連、地方マスコミ(新聞)、化学一般労連・紙パ、全倉運と検数労連の5単産・部会で、JMIU、化学一般労連、自交総連(自教)、建交労・運輸、全印総連などでも妥結する組合が増えている。

(5)これまでの最高額は広告労協の組合の17,800円で変わらず。前年実績額との比較で京都生協労組(生協労連)の1890円は前年がマイナスだったこともあって+16,919円である。回答次数では朝日新聞労組(地方マスコミ)が第6次の上積み、大泉製作支部(JMIU)、医学書院労組(出版労連)、全商業太陽分会(全国一般)の3組合が第5次の上積み回答を引出している。「1万円以上」の回答は計36組合となった。1万円以上の回答



3.郵産労が調停申請した「非常勤職員の時間給引き上げ」要求について
 この間、郵産労は国営企業の賃上げ問題が先送りされたことに抗議しつつ、郵政にはたらく非常勤職員(一日換算で約11万人)の賃上げについて、アンケートや組織化を背景に中労委へ調停申請した。国営企業では初めてのケースである。
 5月7日の事情聴取で組合側は、
1) 全国どこでも誰でも時給1000円以上に、
2) ILO条約や国際人権A規約(公正な労働条件、同一価値労働・同一賃金など)の尊重、
3) 物件費でなく人件費として計上すること
などを要求。総務省側がこれを拒否したため、調停委員会は同日「労使双方は郵政本務者の賃金交渉の動向等を見極めつつ、引き続き誠意をもって話し合うよう勧告する」(委員長)として調停を打ち切った。



4.他団体の賃上げ集計結果について
1) 5月09日現在、連合の第5回集計の回答+妥結状況は以下のとおり。

  妥結組合数 加重平均 単純平均
集計方式 組合数 人数(万) 金 額 率(%) 昨 年 率(%) 金 額 率(%) 昨 年 率(%)
平均賃上げ 643 137.0 5,374 1.73 6,028 1.96 4,439 1.55 5,190 1.84
35歳P 47 11.6         5,493 1.93 5,905 2.08
30歳P 46 13.8         6,439 2.40 6,523 2.44


2) 5月15日現在、日経連労政部調べの回答+妥結状況は以下のとおり。

  回答+妥結 加重平均 単純平均
集計方式 社 数 人 数(万) 金 額 率(%) 昨 年 率(%) 金 額 率(%) 昨 年 率(%)
大手企業 191 - 5,270 1.59 6,365 1.93 5,433 1.68 6,390 2.01
中小企業 196 - 3,656 1.40 4,675 1.80 3,080 1.20 4,336 1.68


5月闘争で粘りづよく賃上げを

医療改悪・有事法制…悪法阻止も正念場に

5.今後のたたかいについて
 国民春闘共闘と各地春闘共闘は5月1日、第73回メーデーを成功させ、賃金闘争を粘りづよく追求しつつ、医療大改悪・有事法制・個人情報保護法など悪法阻止のたたかいを大きく盛り上げていくことを中心とする闘争強化を宣言した。5月3日の「憲法集会」も中央・地方で大きく成功させ、8日、15日に実施した国会前座り込み行動の大量参加をかちとってきた。
 次の節目は、20日の中央メーデー会場問題裁判の傍聴(東京地裁)、22日の国会前座り込み行動(衆議院第二議員会館前)と、同日夜の「がんばれ船橋信金の仲間」職員の全員雇用をめざす決起5・22集会(船橋勤労市民センター)、24日の「STOP!有事法制5・24大集会」(明治公園)などである。私たちのたたかいが情勢の変化を生み出してきたことを確信に、国民春闘共闘をはじめ東京・首都圏各春闘共闘の総力をあげて成功させよう。
 5月段階の賃金闘争は、現時点で約7割の組合が5月中旬以降にたたかいを持ち越しており、金融・保険や私学の春闘も連休明けから本格化してきた。政府の「景気底打ち」宣言が取り沙汰されるなか「月を追って経営状態が深刻」「人べらし・賃下げの先制提案」など、先行してきた単産以上にきびしい現実もみられるが、各々産業別統一闘争で回答引出し・上積みに奮闘している。JMIU、建交労・運輸、民放労連などは夏季一時金闘争に移行し、未解決を包んだたたかいをすすめている。

(以 上)