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全労連第23回定期大会 2008年7月23日〜7月25日
 
【第24回臨時大会第1号議案の付属議案】

全国労働組合総連合共済(略称:全労連共済)設立方針

1.はじめに

 1年間の検討を経て、いよいよ全労連共済を発足する。発足する全労連共済は20年にわたる労働共済と労働共済連の事業を継承し、全労連120万組合員はもとより、多くの未組織労働者を視野に入れた助け合い共済としてスタートする。
 昨年の全労連第23回大会おいて、「全労連の機能強化、組織拡大とも関わって、全労連が共済事業を実施することについて検討を行う」こと、「『中期計画』の具体化とも関わって、全労連の福利厚生事業の充実をはかり、労働者の組織化を促進することを目的に全労連が共済活動を実施するため、08年中を目処に規約改正を含めた検討を進める」ことを決定した。
 この決定を受けて発足した全労連共済事業検討委員会で、発足の意義、活動の内容、運営体制、今後の作業予定などの大枠を確認し、1月開催の第43回評議員会に「全労連共済の発足にあたって」を予備提案した。その後発足した全労連共済設立準備会で、臨時大会議案となる全労連規約改正案、全労連共済運営規則案など討議してきた。それと並行して、労働共済、労働共済連との三者協議を開催し、意見調整をはかってきた。
 本方針は、全労連共済の発足を明記した運動方針案(1号議案)の「V 労働組合の共同と組織拡大・強化」の(2)にもとづく付属議案として提起する。

2.全労連共済発足の意義と目的

(1) 全労連の組織運動と一体に共済事業をすすめる
 ナショナルセンターである全労連が、労働組合としての共済事業(福利厚生事業の一環として)をすすめることの意義は大きいものがある。労働組合の共済事業は、労働組合法で労働者の「経済的地位の向上」を目的とした福利事業と位置づけられ、憲法28条と労働組合法で保障されている団結権にもとづき運営する。
 現在、全労連加盟の組合と友好組合を含む20数単産43地方共済会で構成する労働共済と、国公労連・自治労連・医労連・全教・福祉保育労・首都圏土建の単産共済が労働共済連を組織し、共同のとりくみを発展させている。さらに全労連加盟の単産・地方組織では、独自の共済事業を行っているところもある。労働組合の助け合い事業としての基盤を確立するとともに、組織拡大のとりくみで重要な機能を発揮している。
 全労連のすべての組合員を対象とする共済活動に発展させることは、助け合いの基盤を安定させ、組合員の利益にも適うこととなる。全労連共済は、単産や地方組織の共済活動の到達点を引き継ぎ、全労連に結集する労働者はもとより、多くの未組織労働者を視野に入れた共済事業としてスタートする。
 ナショナルセンターである全労連が、労働組合の福祉事業の中核をなす共済をその活動に明確に位置付けることで、労働者の団結権をより豊かに発展させる可能性を開くことになる。

(2) 非正規労働者が利用しやすい共通の共済制度をつくる
 低収入で不安定な非正規雇用労働者がすでに1,700万人、労働者の35%を超えるまでに増加している。これらの労働者の多くは、社会保障や企業内福利厚生制度からも排除されている。こうした状況が進行しているもとで、非正規労働者が利用しやすい助け合い共済制度をつくっていくことが求められている。
 昨年秋以降、自動車・電機などの大企業を中心にした派遣切り、期間工切り、請負切りの強行にたいし、全労連に結集する単産・地方組織は、全国で非正規労働者の組織化をすすめてきた。全労連には、立ち上がっている非正規労働者が、労働組合の組織と運動の飛躍への担い手となっていく、そうした展望を開いていくことが求められている。
 発足する全労連共済には、非正規労働者の労働と生活を保障し、利用しやすい新しい共済制度をとの期待が高まっている。未組織労働者の組織化をさらに大胆にすすめる条件を高めることにもつながる。全国での結集を共通の基盤として、未組織労働者の組織化を促進する新たな制度づくりが早急に求められている。

(3) 労働共済と労働共済連の事業と共同を引き継ぐ
 労働組合法にもとづく全労連共済を早期に発足させることは、労働共済と労働共済連に結集している労働組合と組合員の利益を守ることになる。発足する全労連共済は、両者の事業を全面的に引き継ぐ。全労連共済は、労働組合法に適法し、保険業法の適用除外とされる「一つの労働組合」にも合致するものとなる。
 全労連共済が継承する労働共済と労働共済連には、全労連に加盟していない他の労働組合共済も加入している。発足する全労連共済は、労働共済と労働共済連が積み上げてきた共同の取り組みの水準を後退させず、共同を維持し発展させるため、「全労働組合共済活動推進協議会(仮称)」をつくることとしている。今後、関係組織との調整をはかり、全労連共済発足とあわせて立ち上げられるよう準備する。

(4) 労働組合共済と自主共済を守る運動をすすめる
 全労連共済の発足は、労働組合共済や自主共済にたいする規制攻撃をやめさせていく運動の大きな砦の構築でもある。
 2006年4月1日に施行された「改正」保険業法のもと、これまでまじめに運営してきた自主共済も保険と同じルール(積立金、税金、保険数理の専門家の配置など)が適用されることとなった。そして、根拠法をもたない自主共済は、少額短期保険業か保険会社への移行、もしくは廃業を選択せざるを得ない状況となった。
 自主的に健全におこなってきた多くの自主共済は、「共済の今日と未来を考える懇話会」を結成して、適用除外を求めた署名や立法化をめざして国会議員要請など保険業法適用反対の取り組みをすすめている。「懇話会」は全国に広がり、34地方に地方懇話会が結成されている。全労連は、「懇話会」との連携を強めるとともに、対策会議を設置し、集会、国会行動やシンポジウムを開催し、たたかいをすすめている。
 今年6月に行った金融庁要請では、2006年4月以降、特定保険業者への移行が431件、そのうち4つが保険会社、少額短期保険業への移行が52件、その他、制度共済や民間の保険会社の類似商品への乗り換えなど何らかの形で保険業を存続しているのが全体の89%で、約10%程度が廃業に追い込まれていることが分かった。また、2011年の見直しについては、まだ具体的作業には入っていないことを明言しているが、予断は許されない。
 自主共済を守ることは、労働組合共済を守ることでもあるとの認識で、これからも共同して、厚労省交渉や国会対策、署名活動など必要な対策をすすめていく。

3.全労連共済設立までのスケジュール

 全労連共済は、2010年2月1日を目途に発足する。それまでに必要な手続きを終えるよう、労働共済、労働共済連や中立組合との協議をすすめていく。

(1)第24回臨時大会で確認すること

(1) 全労連規約の改正
 第2条に「共済の実施」を挿入し、30条2を新設して、「共済組織」について位置づける。
(2) 全労連共済運営規則の新設
 全労連共済の事業と運営に関する新たな規則を設けることを予備提案とし、1月に行う評議員会で議決することを確認する。
(3) 全労連共済の理事会の設置
 全労連共済の機関である理事会の設置に向けて、理事会の機能と枠組みを確認し、1月に行う評議員会で理事を選出することを確認する。
(4) 全労連共済の特別会計の設置
 全労連会計処理規則25条にもとづき、全労連共済にかかわる特別会計を設置する。

(2)臨時大会以降、評議員会までのとりくみ

(1) 労働共済・労働共済連に協力していただき、共済事業規約、規則など関連諸規定等の準備をすすめる。
(2) 全労連共済への労働共済と労働共済連からの引き継ぎをすすめる。引き継ぎ事項の主なものは、i基本事項、とくに会計と財務の引き継ぎ、ii現契約の引き継ぎ、iii労働共済と労働共済連事務局の役職員の承継、iv全労連共済事務所の検討など。全労連共済立ち上げに向けた引き継ぎ事項について、労働共済・労働共済連と調整し、具体化をはかっていく。
(3) 1月の評議員会で全労連共済発足の具体的方針案と特別会計予算案、理事の選出などを確認する。

4.単産・地方組織の取り組み

(1)労働共済を利用している単産と地方組織

(1) これまで労働共済を利用していた単産・地方組織は、労働共済の事業をそのまま引き継ぐこととなるので、これまでの掛け金の徴収や給付の水準・手続き等は変更しない。
(2) 単産・地方組織の大会に向けては、全労連が共済事業に取り組みを開始することに合わせて、組織拡大と一体となった共済の拡大についての方針を明記すること。また、全労連規約改正(第2条の事業への挿入)に準じた各組織での規約改正をすすめること。
(3) 全労連共済の単位組織は、原則として単産および地方組織とする。全労連共済事業を直接行う単位組織の実務は、労働共済事務局の行っている実務をそのまま引き継ぎ、全労連共済事務局と連携して処理することとする。全労連共済事業を行う単位組織の運営に関する基本事項について、単位組織運営要綱(案)を別途作成する。

(2)労働共済連に結集している単産

(1) 全労連共済で主に分担金管理を行う組織(単産共済)については、単産共済と労働共済連の現状をそのまま引き継ぐ。そのことによる単産独自共済活動への変更は予定していない。
(2) 分担金管理事業の運営に関する基本事項については、分担金管理運営要綱(案)を別途作成する。

5.全労連共済の運営と体制

(1) 理事会が全労連共済の執行機関

(1) 全労連共済は、唯一の機関として理事会を設置する。理事会の機能は、全労連共済の執行を担うとともに、全労連の機関にたいしての報告と提案をすることである。理事会は、運営規則4条の事業を推進し、i事業計画の作成と管理、ii制度の設定、改廃、拡充及び変更、iii規程、(共済事業)約款および細則の設定または改廃、iv資金の運用、D他団体への加入または提携、委託、viその他、組織運営および業務運営に関する必要事項を設定する。全労連共済は、労働組合法と保険業法の適用除外である「一つの労働組合」を徹底するということから、理事会の付議事項のうち重要事項であるiiiおよびDと、iiiの規程の設定または改廃については、全労連の機関の承認を必要とする。
(2) 理事会は、理事長・副理事長・専務理事・常務理事および理事で構成する。理事の選出母体は、全労連加盟の単産・地方組織、全労連(全労連共済を含む)とし、労働共済と労働共済連に結集している単産・地方組織からの選出に留意する。初年度の理事会の定数は24人以内(理事長1、副理事長3、専務理事2、常務理事2、理事16)、監事の定数は3人とし、幹事会の推薦にもとづき、1月に行う評議員会で選出する。
(3) 理事会の開催回数は、年4回以上とする。

(2)全労連共済の日常運営は2つの部会が担う

(1) 理事会のもとに、共済事業部会(現在の労働共済)と分担金管理部会(現在の労働共済連)の2つの部会を設置する。この2つの部会は、共済事業と分担金管理の日常的な運営と事業を担う。部会の業務報告、決定事項については、すみやかに全労連共済理事会に報告し、部会運営に必要な事項は理事会で決定する。
(2) 2つの部会は、それぞれ運営細則を作成して日常の業務を執行する。部会は定期的に開催する(当面、月一回程度を想定)。
(3) 2つの部会の構成は、部会長、副部会長、事務局長、事務局次長、委員とする。共済事業部会は現在の労働共済の執行機能を引き継ぎ、分担金管理部会は労働共済連の執行機能を引き継ぐ。部会長は副理事長があたることとし、事務局長は専務理事、事務局次長は常務理事があたることとする。

6.全労連共済キャンペーン運動

 臨時大会以降、全労連共済の発足も契機とし、組織拡大と単産・地方での共済加入促進をはかるキャンペーン運動を展開する。今後、以下のような重点項目を設定して、具体化をはかっていく。
(1) 学習運動の推進(共済活動についての学習会、共済実務研修会の開催など)
(2) 組織拡大と連携した共済加入促進運動(加入特典、宣伝物の作成など)
(3) 発足にむけてのキャンペーン運動(キャッチフレーズ、イメージキャラクターの募集など)
(4) 情報の開示準備(ホームページを開設、機関紙誌の発行に向けた準備など)

7.非正規向け共済の研究・開発

 全労連共済の発足に向けて、非正規のなかまを対象にした新共済制度の検討を関係組織と協力してすすめる。可能な限り、2月1日を目途にしている全労連共済発足に向けて、準備できるようにすすめる。

8.全労連未加盟の組織との共同の維持・発展

 全労連共済が継承する労働共済と労働共済連には、全労連に加盟していない他の労働組合共済も加入している。発足する全労連共済は、労働共済と労働共済連が積み上げてきた共同の取り組みの水準を後退させず、共同を維持し発展させるため、「全労働組合共済活動推進協議会(仮称)」をつくる。今後、関係組織との調整をはかり、全労連共済発足とあわせて立ち上げられるよう準備をすすめる。

以 上