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全労連第22回定期大会〜全労連議長あいさつ
全労連第22回定期大会(1日目)

第1号議案/付属文書

この間のたたかいの経過と到達点

Ⅰ.春闘と賃金闘争

1.「もうひとつの日本」をめざした06春闘のたたかい

 <1-1>全労連は、06春闘で「みんなでつくろうもうひとつの日本、はたらく仲間が元気の出る社会」をスローガンに掲げてたたかった。賃金闘争では、すべての労働者の賃金底上げ、パート時給の改善、最低賃金の改善を要求の軸にたて、春闘前段にはCSR(企業の社会的責任)の確立を掲げた財界要請・懇談、高年齢者の雇用継続、労働契約法制反対、行革推進法案、市場化テスト法案反対などを重点課題として追求してきた。

 要求と運動の前進をめざす全国的統一行動として、「1・6新春宣伝行動」「1・19日本経団連包囲行動」「2・11トヨタ包囲愛知総行動」「2・9許すな!医療改悪・大増税国民集会」「2月中〜下旬地域総行動」「3・10青年・女性・パート中央行動」「3・16ストライキをふくむ全国統一行動」「3・17〜4・14全国縦断キャラバン行動」「春闘決着をめざす4・14、4・26、5・26統一行動」などを展開してきた。

 <1-2> 賃金闘争は、4,132組合/3,432組合(77%)で要求が提出され、「全労連統一要請書」は10単産30地方で2,214経営・団体などに提出された(6月末現在)。このうち、集計登録866組合中471組合(54.4%)に回答が示され、単純平均は5,739円(1.89%)で前年比+282円(+0.06ポイント)、加重平均は6,331円(1.97%)で前年比+33円(+0.01ポイント)となっており、06春闘は不十分ながらも2年連続で前年を上回る回答となった。これは大企業の社会的還元を一貫して追求してきた全労連運動の反映でもある。

 すべての単産・地方の共通重点課題に設定したパート労働者の時間給引き上げは、6月  28日現在239組合(全体の5.4%)が、また企業内最低賃金の協定は207組合(全体の4.7%)で改定された。パート時間給引き上げ額の平均は16.6円となり、前年同期(11.0円)を大幅に上回った。企業内最低賃金の平均は月額160,398円となっている。パート均等待遇や最低賃金の改善を社会的合意に高めるうえで、全労連の果した役割は大きいものがあった。しかし一方で、パート労働者間の格差が拡大する新たな問題が生じている。

 「賃上げ春闘復活」とはいうものの、賃上げ要求をかかげた大企業労組は6割強にとどまり、賃上げ額(ベア)の平均は500円前後に過ぎない。これは、史上最高の企業利益と比べてあまりにも低額で、トヨタの「ベア1,000円」も1兆円の利益のわずか0.2%にすぎない。大企業では、4年間連続した「ベア要求なし・ベアゼロ」春闘の体験が、労使ともにベアゼロに対する抵抗感を消失させている。さらに、能力・成果主義賃金が広がって横並び春闘が解体したことも春闘に暗い影を落としている。

2.CSRと雇用継続の取り組み

 <1-3>働くルール確立を求め、06春闘で初めて日本経団連、経済同友会の財界2団体との協議を実現し、企業コンプライアンスとCSRを強く要請した。「旧8社懇大企業」との懇談は、いずれの企業もあからさまな拒否を示すことはなかったが、当該労組との春闘交渉で時間がとれないことを理由にかなわず、要請書と資料送付にとどまった。取り組み時期を再検討していく。「企業通信簿チェックリスト」については、6月22日現在、36地方から277通を集約したが、昨年の最終集約(8月中旬542通)から大きく立ち遅れている。回収数の約6割には切実な実態告発が記されるなど、この運動は企業の社会的責任の考えを広める広報機能とともに、現場告発の「目安箱」としての役割をあわせもっており、引き続き取り組みを強めることが重要である。

 <1-4>4月1日の改正・高年齢者雇用安定法を前に集約した24単産・139職場の状況調査で、厚生労働省通達やQ&Aなどを悪用した選別雇用の提案や、労使協議の打ち切り、就業規則の一方的変更などがあらわれていることが明らかになった。このうち、とくに違法・脱法性の強いNTTや支払基金などの事例をもとに厚生労働省交渉を実施、「希望者全員の雇用が原則」であることをあらためて確認させるとともに、職場での追及、悪質事例についての労働局・ハローワーク要請、国会での追及をふくめてたたかってきた。企業による労働者の選別や現役世代を含めた賃金体系改悪などの不当な行為を許さず、希望者全員の雇用を求めて今後とも取り組む必要がある。

2.最低賃金闘争について

 <1-5>06春闘では、職場のすべての労働者を対象とした「月額」「日額」「時間額」による企業内最賃の協定・改定を追求してきた。6月28日現在、建交労、JMIU、生協労連、全労連全国一般、全印総連、日本医労連など207組合が協定をもち、06春闘ではそのうち117組合が時間額最賃を、43組合が日額最賃の改定を引き出した。企業内最賃協定額の平均は月額で160,398円となった。

 <1-6>地域最賃改善のたたかいは、この間の運動の前進によって財界がたくらんだ最賃引き下げの攻撃をはねかえし、水準底上げの流れをつくりだしてきた。05最賃闘争では、全国で1〜5円の引き上げを実現させた。地方最賃審議会への委員推薦活動は中央と34地方で取り組まれ、中央2名を含めて53名が立候補したが、今回も全員が不当排除をされた。任命要求とあわせた意見陳述実現の取り組みでは6地方で実現させているが、他方で再審査請求は中央の不服審査とあわせて10件にとどまっており、この取り組みの重要性の再確認が必要である。今の最賃額の不当な低さを立証する最賃生活体験は全国19地方で437人が参加した。北海道では未組織の学生の参加も得て、青年の元気で低賃金労働者根絶の運動を盛り上げている。最賃引き上げの自治体意見書の採択運動は全国24地方で取り組まれ63自治体で採択され、14自治体で趣旨採択となった。

3.一時金闘争について

 <1-7>05年末一時金闘争では、多くの単産がストライキを含む統一行動を背景に粘り強くたたかわれた。国民春闘共闘委員会の最終集計(05.12.22)では、8割を超える637組合で回答を引き出し、単純平均で2.20ヵ月プラスαの723,455円で、金額で3,791円、率で0.53%の小幅ながら2年連続での前年実績を超えた。とくに3次回答をはじめ回答上積みなどねばり強いたたかいで製造業、建設業、金融保険業など19単産で昨年実績を超え、06春闘へつなげるものとなった。

 06年夏季一時金闘争は、国民春闘共闘委員会の夏季一時金第2回集計(06.6.19)で5割を超える組合で回答を引き出し、単純平均で2.13ヵ月プラスα752,721円である。これは前年同期比で1.80%、前年実績比で1.16%と上回っているものの、日本経団連や連合集計水準には到っていない。また多くの組合で若年者救済の一律支給を堅持していること、規模別集計で見た場合、100人未満の中小・零細規模で前年比プラスの組合が多いのに対して、300人以上の中堅・大手規模ではマイナスとなっている。この傾向は春闘でも表れており、一時金においても続いている。

Ⅱ.リストラ「合理化」反対、働くルール確立のたたかい

1.労働契約法制・労働時間法制をめぐるたたかい

 <2-1>厚生労働省は05年9月「今後の労働契約法制の在り方に関する研究会」最終報告を発表。労働組合の存在と機能を否定しかねない「労使委員会」の創設、違法な解雇の金銭解決制度、使用者による一方的な労働条件の不利益変更を可能にする制度、ホワイトカラーの労働時間法制からの適用除外、試用期間を有期労働契約とする試行雇用等を打ち出した。全労連は「研究会報告」は労働者保護法制を根幹から破壊するものとして、その法案化を防ぐため、05年4月に労働法制中央連絡会を再開、05年9月に全労連闘争本部(闘争本部長・生熊副議長)を立ち上げ、学習テキスト、パワーポイント、学習ビデオなどを作成、職場・地域での学習運動の推進と「私と家族の働き方黒書」による実態からの告発運動、学習集会などを取り組んできた。05年10月から始まった労働政策審議会労働条件分科会は「研究会報告」への批判を受けて「研究会報告を検討のベースにしない」という確認のもと、進められたが、「中間とりまとめ」に向けて出された「検討の視点」は研究会報告を生かしたものであった。私たちは分科会への傍聴行動をはじめ同分科会への労働実態告発文書の情報提供などを取り組み、監視活動を強化してきた。

 <2-2>06年6月13日に労働政策審議会労働条件分科会は「労働契約法制・労働時間法制」中間取りまとめ素案を出したが、その内容は「解雇の金銭解決制度」「就業規則の変更について過半数組合あるいは過半数代表者との合意の推定」と労働時間制度の適用除外拡大の「自律的労働時間制度の創設」などとなっている。一方で、少子化対策として30時間を超える残業割増を50%にするとしている。続く、6月27日の労働条件分科会では、「素案」に対して使用者側、労働者側双方の委員から反対意見が表明され、委員会は中断となった。またこの日、厚生労働省前での連合、全労連、全労協と労働界が一体となった労働法制改悪反対の時間差行動を展開。翌28日には300人が参加して「こんな労働契約法はいらない!働き過ぎ社会を告発し、まともな労働法制を展望するみんなの集会」を開催、構成劇を交え労働法制改悪の内容や職場にもたらす影響について訴えた。

 今後、9月には建議が出され、年内には法案作成作業に入ると見られる。法案化を阻止するため、この夏から年末にかけて大きなたたかいの山場となる。引き続き、職場・地域からたたかいを重視しつ、共同追求をはかる。

 <2-3>全労連は05年3月に「労働契約法制に関する全労連の要求」を発表、議論を呼びかけるとともに、労働基準基準法、労働者派遣法等の一層の規制緩和による働くルールの破壊に歯止めをかける運動を推進してきた。また、04年3月の製造業への派遣解禁以後、職場に増大する派遣・請負労働者の権利確立、正規労働者の代替化阻止のために、学習用テキストなどを作成、学習・啓発活動を推進してきた。

2.アスベスト被害者救済などいのちと健康を守るとりくみ

 <2-4>05年秋の臨時国会では労働安全衛生法の改悪とともに「時短促進法」が改訂された。労働安全衛生法で事業主に義務づけられようとした「医師の面接」は、「本人の申し出」および「月100時間以上の残業」等があってはじめて医師の面接が受けられるというもので、過労死・過労自殺予防対策とはならないばかりか、厚生労働省のガイドラインを下回る後退的内容となった。また時短促進法を廃止し、国際公約である「1800時間目標」を放棄、労働時間管理の名の下に、労働時間法制の規制緩和の流れを容認するものとなった。労働安全衛生法、時短促進法改悪反対運動は「いのちと健康全国センター」とともに議員要請行動、反対集会、国会傍聴行動などを展開した。

 <2-5>社会的センセーショナルを引き起こしたアスベストの被害はその深刻さがますます増している。全労連はアスベスト対策会議を開催し、「いのちと健康を守る全国センター」とともに各単産・県での実践・活動交流、被害の掘り起こし運動を行ってきた。06年4月には同センターの呼びかけで全国30ヵ所での一斉110番活動実施などに取り組んできた。今後、すべての県での「いの建センターの立ち上げ」とともに、専門家との協力体制の確立、相談員の養成が求められている。

3.育児・介護休業法・均等法改正のとりくみ

 <2-6>第161臨時国会では育児休業の1歳6ヵ月までの延長をはじめ介護休業の取得回数制限の緩和、有期雇用労働者への適用拡大、子どもの看護休暇の新設など不十分ながらも「育児介護休業法改正」を一定改善させた。また次世代育成推進法の活用、改正育児介護休業法を反映させるために解説パンフレットを発行・普及、春闘を通して職場からの労働協約の取り組みを強めてきた。

 <2-7>男女雇用機会均等改正させるとりくみでは、全労連改正要求を決定し資料集を作成、パンフ「男女ともに人間らしくはたらける社会めざして」での学習をはじめ職場チェック運動、学習決起集会、厚生労働大臣に宛てた実効ある改正を求める署名を進めるとともに、厚生労働省前行動(05.11.16)、雇用均等・児童家庭局との交渉・懇談をおこなった。国会に提出後、国会議員要請や国会内集会、署名提出にとりくんだ。法改正では、妊娠・出産に関する不利益取り扱いの禁止やセクシュアルハラスメント対策を事業主の配慮義務から措置義務にするなどの改善面はあるものの、間接差別の範囲を限定するなどの問題点を残したものとなった。国会審議では、間接差別の限定列挙の問題点が明らかとなり、附則で5年後の見直しの修正や7項目の附帯決議がつけられた。提出した署名数は 厚生労働省宛10万4千筆、 国会請願署名15万筆となった。

4.「NTT」「国鉄」闘争のとりくみ

 <2-8>全労連・通信労組は、02年5月に提示された「NTTの11万人リストラ」に対し、闘争本部を設置してたたかってきた。このリストラは、11万人という史上空前の規模で50歳という働き盛りの労働者の賃金を一律30%切り下げるものであり、必要ない異職種の広域配転などを強行するものであった。

 東・西会社は、01年1月初めより期限を切って50歳以上の全社員(出向者を含む)に「雇用形態選択通知書」の提出を迫った。退職届を書かせれば、多くの労働者が「退職」という文字に躊躇する危険性があることを承知の上で、「この通知書を退職届けと見なす」と細字で記す姑息な手段によって、社員一人ひとりに「仕事はなくなる。いまの仕事をしたければ退職・再雇用しかない」と迫り、計5万2,500名を退職に追い込んだ。しかし、約1,000名の社員は退職せずにNTT東・西会社に残った。通信労組組合員は、460名がNTT東・西会社に残った。

 NTT東・西会社に残った組合員らに対しては、いっせいに攻撃が加えられた。通信労組組合員130名に対し、仕事上の正当な配転理由や必要性は全くないにも関わらず、異職種・遠隔地配転の命令が出され、61名が単身赴任を余儀なくされた。また、片道2時間以上の通勤(大阪・静岡から名古屋へ、群馬・埼玉・千葉から東京など)が強制された。

 このため通信労組は、全国7ヵ所(北海道・東京・静岡・愛知・大阪・愛媛・福岡)の地方裁判所で組合員50名が原告となって裁判闘争に立ち上った。この裁判は、NTTリストラの違法・脱法性を世に問うものとして、多くの支援の傍聴者を組織しながら進行されてきた。群馬では、主婦である飯野・金子さんを地元に戻す大作戦を展開し、「地元に戻せ!要請署名」は短期間で目標をはるかに上回る20,115筆を集約しNTTへの連続した抗議行動が展開された。

 <2-9>裁判闘争をたたかう中で、原告のうち半数をすでに地元職場へ戻し、ILOは、日本政府とNTTに対し「仕事をとるか家庭をとるか」などの選択を迫ってはならないと勧告した。NTTグループ18社による企業年金の減額申請に対し、厚労省が「経営状況が著しく悪化しているとは認められない」と不承認とした。「年金減額するな」の運動を展開する中で勝ち取ったものであり、受給者14万5,000人の年金を守りぬいた。NTTリストラ反対サポーター制度では、全国1万2,000人が会員となった。通信労組組合員はリストラ提案以降、61ヵ月連続して238名を拡大した。

 <2-10>国鉄労働者1047名の採用差別事件で、鉄建公団を相手に訴訟を起こしてきた国労闘争団の一部(約300名)に対して、05年9月東京地裁判決が下された。判決は、司法の場で初めて国鉄の不当労働行為を認定し、5名を除く全員に慰謝料500万円の支払いを命じた。しかし、判決は一方で解雇は正当という極めて矛盾した判断を示した。原告・被告共に控訴している。この判決を契機に、また、国労が8月の定期大会で同原告団に対する統制処分を解除したこともあって、国鉄闘争を進める諸勢力の大同団結の動きがすすんでいる。全労連は大同団結をめぐって動労千葉とは共同しないことを確認した上で、解決に向けて、当該組合である国労・建交労を軸とした共同と非解雇者1047名の団結を車の両輪として発展させる方針を確立し、「1の日」宣伝・鉄道運輸機構を相手とする裁判および公正判決署名、地方からの国労との共同など、この間の闘いを進めてきた。

 <2-11>「全動労争議団を勝たせる会」は、第15回総会(05年10月)で結成15周年を迎えた。総会では、これまで全国の支援者から寄せられた支援金総額が4億6千万円を超えたことを明らかにし、国鉄闘争早期解決に向けた「勝たせる会」の運動強化を呼びかけた。また、結成当時から会長を務めた戸木田嘉久氏(立命館大名誉教授)の体調不良で退任し、新たに三上満氏(全労連元議長)が就任した。

5.労働委員会民主化と労働審判制度、労働基本権問題でのとりくみ

 <2-12>第28期中労委労働者委員の候補者は、03年10月の全国労働委員会民主化対策会議総会において、民間担当は今井一雄氏(出版労連顧問)、特定独立行政法人等担当は泉部芳徳氏を決定して、厚生労働省交渉、宣伝行動などの運動を展開した。しかし政府は04年11月、いずれも連合加盟組合が推薦した15名を労働者委員として任命した。

 ILOに対しては、ILOの過去2回にわたる勧告・報告を無視して不公正任命を強行した政府・厚生労働省の姿勢について05年3月、結社の自由委員会に対し追加情報を提供し、3度目の勧告を促した。その結果05年11月にILOから3度目の勧告が出され、「遺憾の念」を表明、政府に是正勧告をおこなった。

 さらに、政府の不公正任命に対して05年2月、任命の取消しと損害賠償請求を東京地方裁判所、民事第11部に提訴した。民主化対策会議は、過去にも行政裁判に提訴したが、98年に高裁判決で敗訴した時点で、政治的判断から最高裁に上告しなかった経緯がある。しかし、その後6年間、不公正任命の状況は変わらない中で、改めて行政裁判に訴え政府の姿勢を問うこととした。

 <2-13>今回の提訴は、①民主化対策会議に対する政府・厚生労働省の姿勢が極めて排除的・差別的であること、②6年前に、「係争中では任命が難しい」との政府側の意向もあり、最高裁への上告を見送ったにもかかわらず、その後3期6年にわたって排除の姿勢に変化がないこと、③国会内の情勢をみても当面は新たな変化が期待できないこと、④この間、ILOからの2度にわたる勧告が出され、福岡地裁の「裁量権逸脱」など新たな前進の判決が出されていることなど、裁判で使える材料もふえていること、⑤06年4月から施行される労働審判制度については、労働者側の審判員の任命が厚生労働省の労働組合基礎調査に基づき、一定の民主的な手続きとなっており、中労委の不公正任命の不当性がいっそう明らかになることなどが背景にあった。

 この間、口頭弁論期日には、裁判所前での宣伝行動を強化するとともに、法廷を満席にした傍聴行動を成功させるとともに、裁判終了後の報告集会を開催し意思統一をはかってきた。6月14日、全労連熊谷議長、国公労連・泉部全経済顧問、出版労連・今井一雄顧問の証言をもって結審した。

 <2-14>労働審判制度が06年4月、スタートした。解雇・労働条件引き下げ、配置転換などの個別労働紛争を三回以内の審理で迅速に解決する新しい制度であり、労働側と使用者側の二人の労働審判員が裁判官と協議しながら具体的解決を図るわが国で初めての労働者参加型の手続きとなった。個別労働紛争の迅速・適正、実効性ある解決を図ることをめざしている点からも、また、司法の場に直接労働者代表が参加して職業裁判官と同等の立場で評決を下すという点でも今後の労働参審制への道を切り開くものとして、評価することができる。

 審判員の任命は労使合計997名、全労連推薦の労働審判員候補は51名であり、すべての候補者が全労連による2回の研修、JIRRA(日本労使関係研究協会)による4日間の研修を修了し、最高裁辞令が交付された。単産別の内訳は、日本医労連9人、全労連全国一般6人、全建総連の府県労連加盟4名、建交労・自交総連各3名、自治労連・全教・JMIU・年金者組合各2名、生協労連・福祉保育労・全信労・全印総連各1名、専従役員・事務局各7名、その他6名となっている。

 これまで、政府・厚生労働省が選任する三者構成の77審議会198名の委員すべてが連合に独占させるという偏向任命がまかり通っていたなかで、労働審判員の任命が一定の基準を明らかにしながら連合、全労連に割り振られたことの意義は大きい。今後の公正・民主的な行政実現への可能性を切り開くものとしても、積極的に評価できるものといえる。

 <2-15>労働基本権問題では、ILO結社の自由委員会への「追加情報」の提出、行政改革推進事務局交渉、「公務・公共サービスと公務員制度についての全労連見解」のとりまとめ等を行い、ILOは我々の主張に沿って三度目の「勧告」をだすに至った。行革推進法の成立をうけて、日本政府が「労働基本権付与」問題を検討するための「専門調査会」を発足させるなど、新しい局面になっている。また国際的にも異常な国家公務員の政治活動への弾圧や地方公務員への新たな規制問題について、06年2月3日に「学習決起集会」を開催し、約四百名が参加した。今年6月に東京地裁で国公法弾圧事件への不当判決が示されたもとで、新たな運動の強化が求められている。

Ⅲ.社会保障、消費税など国民的運動

1.医療・介護制度改悪など社会保障一体的見直しに対するとりくみ

 <3-1>「社会保障“危機”突破闘争方針」を昨年7月の全労連第37回評議員会で確認、また、「『社会保障制度の一体的見直し』についての全労連の見解案」「2006年『医療制度改革』に対する全労連の見解と基本要求案」「年金制度改革についての全労連の見解と基本要求案」をまとめその実現をめざした。

 05年の秋季年末闘争では、9月29日にシンポジウム「どうなる・どうする日本の社会保障!」(全労連・中央社保協・医団連の共催)を東京・日本青年館で開き、「社会保障制度の一体的見直し」、医療・社会保障改悪とのたたかいについて学習と討論を深めた。

 当面する中心課題であった医療制度大改悪に反対する署名用紙とチラシ、社会保障リーフを作成した。

 <3-2>特別国会では、郵政民営化反対とあわせて障害者自立支援法案に反対し国会前座込み行動などを実施した。障害者自立支援法案はわずかな審議で採決強行され10月31日に成立した。

 10月19日の厚生労働省「医療制度構造改革試案」に対し全労連は20日、事務局長談話を発表するとともに、10月27日に中央社保協などと共同で厚生労働省前緊急集会を行い抗議した。医療制度改悪反対を掲げた「11・19国民大集会」には3万5,000人が参加した。

 「介護保険の改善をめざすみんなの集会」(集会実行委員会の主催)を11月5日に都内で開き、「改正」介護保険の実害を食い止め改善する運動について討論を深めた。

 <3-3>06春闘段階では、2月8日に全労連第14回社会保障討論集会を開催し、税・社会保障闘争を「生活防衛闘争の最大課題」と位置づけ、医療大改悪を許さないたたかいをはじめ社会保障闘争を職場・地域から強化することを呼びかけた。

 2月9日に「許すな!医療改悪・大増税 2・9国民集会」(全労連・中央社保協・医団連の共催)を埼玉スーパーアリーナで開き、全国から1万4,000人以上が参加した。

 <3-4>医療制度改革関連法案は2月10日に閣議決定・国会提出され、それ以降、中央段階では5万人が結集した5・27国民大行動をはじめ春闘での統一行動・集会・デモ、隔週水曜日を中心とした国会行動・座り込み、厚生労働委員会開催日の傍聴や議員要請、宣伝行動など全力でとりくんだ。署名は全労連118万3,280筆、中央社保協をあわせ約200万筆を集約(7月10日現在)し、国会に提出した。

 地方・地域でも集会・学習会・デモ、自治体キャラバン、議会請願、医師会等への要請、宣伝、署名、地元選出国会議員要請など旺盛に取り組まれ、大阪・京都などでは医療制度改悪反対を中心とした数千人規模の集会も開かれた。意見書が186自治体(5月15日現在)で採択されている。

 改悪法案は衆議院厚生労働委員会でわずか35時間程度の審議で5月17日に採決強行、6月14日に、参議院本会議で自民・公明の賛成多数で可決・成立した。

 <3-5>被用者年金の一元化について全労連の見解と要求案をまとめ対応してきた。最低保障年金制度確立での年金者組合の首長懇談・市長会などに対するとりくみ「第3期介護保険事業計画」に向けた自治体要請、公的病院のリストラ・再編反対の運動、看護職員増員闘争、国民健康保険証とりあげ、公的保育園の縮小・民営化、自治体の社会保障・福祉関連施策の切り下げ・予算削減反対、指定管理者制度による民営化・労働条件切り下げ反対などのとりくみが全国各地で展開された。

 政府・与党は「社会保障改革」を第1優先課題とし、社会保障費を歳出削減の最大のターゲットにさらなる医療、年金、介護保険など諸制度改悪を検討しており、社会保障闘争を本格的に強めることが求められている。

2.定率減税の全廃、消費税増税反対、中小企業と地域経済を守るとりくみ

 <3-6>消費税廃止各界連絡会に結集して運動を進めてきた。毎月24日定例宣伝行動、3・13重税反対の中央行動、4・1全国統一行動など、定期的に宣伝版下、宣伝スポットを作成し、地域から運動を進めてきた。特に06年4月1日からの定率減税半減の実態と07年の全廃にむけた、「増税試算シート」を中央単産とともに40万部の発行と大運動実行委員会と共同して学習パンフも作成し、自らの給料明細をもとに計算する怒りの取り組みを進めてきた。しかし、定率減税の全廃を許す結果となった。消費税と大増税反対の署名・宣伝用紙を70万枚作成し取り組みを進め、7月10日現在、85万8,114筆を集約している。

3.食糧と農業、国民の健康と地球環境を守るとりくみ

 <3-7>農業の再生と食の安全を求めるとりくみを全国食健連とともに05年5月20〜21日の緊急フォーラム「大丈夫なの?BSE検査緩和・アメリカ産牛肉の輸入再開」、BSE問題中央集会、グリーンウェーブ行動、食料自給率向上国民署名などに取り組んできた。05年12月13〜18日に香港で開かれたWTO閣僚会議に対してWTO協定の改革を求めるNGO集会などに代表を派遣した。BSE問題では全頭検査とアメリカ産牛肉の輸入禁止継続を求め農水省前行動や各省交渉、宣伝行動をおこなってきた。

 <3-8>公害地球懇とともに、有明海干拓事業反対、大気汚染被害者の救済・自動車メーカーの社会的責任を追及するトヨタ総行動、大気汚染全国一斉測定運動などにとりくみ、また各地の公害裁判支援のとりくみなどを進めた。

 <3-9>全国災対連に結集し、11月5日に中越地震1周年集会が現地で開催された。このときまでに新潟災対連とともに取り組んできた「100万署名」を集約、昨年12月14日に国会議員要請と政府要請を行なった。1月17日に第11回阪神淡路メモリアルに代表参加した。また、2月と4月に三宅島帰島1年の現地調査を行った。第164通常国会時にも「被災者生活再建支援法」の改善を求めて、5月26日に議員要請と政府要請を行なってきた。

Ⅳ.憲法改悪阻止、平和と民主主義の擁護、政治の転換

1.憲法改悪反対のとりくみ

 <4-1>全労連は、憲法改悪阻止闘争本部を04年10月4日に発足させ、この間11回開催し、憲法をめぐる情勢の特徴と運動の現状を分析し、全労連の憲法闘争の方向を議論・提起してきた。

 <4-2>職場「九条の会」は、8単産384職場に確立された。職場「九条の会」は、官民を問わず労働組合組織のある職場の管理職を含む全従業員を対象にして組織化をめざすものであり、労働組合の憲法闘争とあいまち、職場から憲法闘争を進める重要な基盤であり、すべての職場に広げていくことが求められる。

 <4-3>全労連は、05年1月から憲法署名を100万部作成し、1組合員5筆を目標とした取り組みを行い、164国会までに単産集約で46万筆を集約した。単産・地方によって取り組みにアンバランスがあり、組合員数を超えたのは国公労連のみで、全教の憲法・教基法署名の200万を加えても300万に満たない到達となっている。

 <4-4>中央・地方・産業分野で広範な労働者を結集した共同は、茨城では労働組合の上部組織の違いを超えて「守り生かそう憲法と教育基本法!茨城ネットワーク」が県内6カ所で次々と集会を開催、東京や長崎では全教と日教組所属の組織が共同での教育基本法改悪反対の共同声明発表、大分では全労連、連合、民主勢力など4000人の共同集会開催、これ以外でも北海道、青森、岩手、宮城、福島、埼玉、神奈川、長野、富山、静岡、愛知、京都、和歌山、鳥取、香川、佐賀などで、憲法、教育基本法、イラク戦争反対などで、上部団体の違いを超えた多彩な共同が全国に広がってきている。

 <4-5>今年2月に開講となった勤労者通信大学憲法特別コースの受講の取り組みを行い5月末現在、7,000人を超える受講生となった。憲法闘争の担い手づくりとして非常の重要な取り組みであり、集団学習による援助の取り組み、後期の受講や来年度の受講の組織に向けて一層の奮闘が求められる。

 <4-6>単産の「憲法闘争の体制確立」状況は、7単産に確立されているものの、定期的に会議を開催しているのは3単産にすぎず、独自のニュースを発行しているのは国公労連などで少数にとどまっている。

地方労連は、各都道府県の共同センターの中核として役割を発揮し、全県を視野に入れた共同センターの確立や地域や職場の「九条の会」の拡大、学習会・講演会、宣伝や署名などの推進を図っている。

 <4-7>共同センターは、2004年9月16日、全労連、全商連、新婦人、農民連、全日本民医連、民青、革新懇の8団体で発足させ、その後、自由法曹団が参加、オブザーバーとして憲法会議が加わり、毎月2回運営委員会を開催し、6月末までに38回の会議を開き情勢分析と運動課題を明らかにしてきた。

 全国交流集会は、04年11月、05年5月、05年12月の3回開催し、全国の取り組みの交流・発展の大きな役割を発揮した。学習会は、この1年間、05年11月29日の憲法学習会―「自民党・民主党の改憲案を読み解く」(講師:小沢隆一静岡大学教授、73人が参加)、06年2月2日「憲法改悪のための国民投票法案学習決起集会」(講師:坂本修弁護士、109名参加)、4月23日には「国民投票法案の国会上程を許さない緊急団体・地方代表者会議」(講師は阪田勝彦弁護士、51名参加)を開催した。

 共同センターのホームページは、04年11月に開設し、憲法まもる各地・団体の取り組みの情報交換、各政党、財界団体、マスコミなどの情報・政策、各種宣伝物の交流、お知らせコーナー、ニュースなどを掲載し、広範な団体・個人の交流と激励・連帯の貴重な情報提供の場となってきた。その結果、アクセスも連日200件前後となり、投稿も毎日10件を超えるまでになっており、投稿総数は6,000件に達している。今後、「憲法改悪・国民投票法反対」運動の交流、情報発信の役割がいっそう求められる。

 <4-8>憲法リーフを2回作成し、合計300万枚を超える有料活用・普及がされた。憲法リーフは、学習・宣伝・対話・署名運動の有力な「武器」としての役割を果してきた。今後、住民過半数署名運動を進めるためにも大量活用・普及が望まれる。

 ニュースは、毎週発行を維持し、現在88号(A4版400枚以上)まで出し、各地・団体の運動の交流と情報交換、運動推進、組織づくりの役割を発揮してきている。しかし、全国的な情報の集約が不十分なことからくる情報の偏りもあり、今後は全県をカバーする内容、情勢変化に見合う情報提供、運動と組織化に役立つ内容に改善することが必要である。

 毎月9日には「9の日」定例宣伝行動を実施し、これまでに23回延べ600人余りが参加し、全国的な「9の日宣伝」の定着化と拡大、共同の宣伝行動などの推進力の役割を発揮してきた。また、「9の日」宣伝用の「版下」を作成し、HPで公開、大量活用を呼びかけた。署名については、各参加団体が独自に展開し、共同センターとしては、今年2月から国民投票法の国会上程に反対する「団体署名」と「職場決議」運動に取り組んだ。日本共産党を通じて国会に提出済みの憲法署名(第164通常国会含む)は320万筆となったが、住民過半数まではほど遠い到達にあり、中長期の戦略と粘り強い共同の取り組みが必要である。

 <4-9>地方・地域に「共同センター」を結成・確立する運動では、5月末現在44都道府県・202地域まで結成され、大阪、兵庫、埼玉などでは県労連の「地域組織」の数を上回る組織化が展望されており、自治体・地域単位に憲法闘争を主体的に共同でたたかう体制づくりが広がっている。しかし、地域段階で未結成の地方が20県もあり、労働組合、民主団体組織のある地域にすべて結成することが求められる。

 <4-10>憲法改悪反対共同センターとしての国会行動は、05年10月19日に全国革新懇と共同による「憲法署名国会提出行動」(60名)を行い、全国からの憲法署名45万筆を国会に提出し、国会議員要請も行った。06年3月29日は国会への「集中行動日」に位置づけて取り組み24団体90人が参加し、衆議院憲法特別調査委員会及び参議院憲法調査会所属議員への要請を行った。

 大集会としては、昨年11月19日明治公園での「憲法改悪、庶民大増税は許さない!11・19国民大集会」の主催団体として奮闘し、35,000人を結集し、与党が衆議院で2/3を占め「改革を止めるな」と勢いづく政治の流れに抗する重要な契機となった。今年5月には「許すな憲法改悪!守ろういのちとくらし みんな集まれ 5.27国民大行動」の呼びかけ団体として奮闘した。雨のなか、全国から5万人を超える参加で大きく成功させ、終盤国会での重要法案の成立阻止、継続審議に追い込む契機の集会となった。

2.原水禁世界大会や平和行進・平和大会の成功、米軍再編反対のとりくみ

 <4-11>05年8月の原水爆禁止世界大会には、アメリカSEIUの代表2名も参加し、参加者は目標の2500名を大きく超えた。05年11月の日本平和大会は、神奈川で開催され、1,700人が参加した。平和大会と並行して開かれた11月26日の座間集会には神奈川を中心に全国から11,000人が参加した。国連と核保有国政府に対して、核兵器の全面的な廃絶、国際協定の締結を求める新たな署名「すみやかに核兵器廃絶を」推進に向け、全労連は06年1月から署名用紙2万枚を地方中心に配布し、取り組みをすすめている。06年の「3・1ビキニデー」には、青年行動にも参加し、取り組んできた。06年度の平和行進は、現在、東京→広島コースで全労連旗を通している。

 <4-12>米軍基地再編を許さないたたかいでは、座間集会をはじめ、東京・横田基地包囲行動、山口・岩国住民投票を成功させる取り組みなどに全力をあげた。各地の自治体・議会・住民などの反対の声を踏みにじり締結された日米安全保障協議会(2+2)の「最終合意」に対し、防衛庁・米大使館前抗議行動を行った。

3.共謀罪新設反対のたたかい

 <4-13>相談や合意があれば、実行行為がなくても処罰可能とする「共謀罪」を新設する組織犯罪処罰法等改悪案が、4月以降、国会終盤まで衆院法務委員会で緊迫した状況が続いた。全労連は、「共謀罪は、現代版治安維持法であり、現行刑法の基本的な考えを根本からくつがえすもの」として、法案が思想や内心の自由をも処罰の対象にし、労働組合やNGOも対象となるため修正ではなく、廃案に追い込もうと全力をあげた。自由法曹団、国民救援会との3者共闘を軸に幅ひろい市民団体と野党超党派国会議員団が一体となった反対運動を展開した。全労連としても団体・個人署名運動や10万枚のチラシ配布、ティッシュによる宣伝などを強化しながら、集会等に積極的に参加した。その結果、採決強行を許さず廃案にはならなかったものの継続審議扱いとさせた。

4.国政・地方政治革新のとりくみ

 <4-14>参議院本会議での郵政民営化法案の否決を契機におこなわれた総選挙(05年9月11日投票)は、6年間にわたる自公政治への国民の怒りと批判をかわし、小泉自公連立政権が3分の2を超える結果となった。全労連は、この総選挙に向けての闘争方針をうちたて、チラシや宣伝テープなどを作成した。多くの単産・地方組織では、独自方針を掲げるとともに、学習・宣伝を旺盛に展開してたたかった。

 05年7月以降、静岡、茨城、宮城、京都、滋賀の府県知事選挙、政令都市では、仙台、川崎、名護、横浜の各市長選挙支援を決定するとともにその奮闘を激励した。

Ⅴ.国際的連帯・交流活動

1.国際連帯の新たな発展

 <5-1>05年7月、国際労連(WCL)のアジア地域組織であるアジア友好労組(BATU)定期大会(05年7月、バンコク)に全労連代表が初参加、同12月の世界労連第15回定期大会にもオブザーバー参加した。WFTU大会では新しく議長にシリア、事務局長にギリシャの労組役員が選出された。

 <5-2>アメリカ労働組合運動は、国際サービス従業員労組(SEIU,180万人)、チームスターズ(IBT,140万人)、全米食品・商業労組(UFCW,140万人)など有力単産が脱退し、AFL-CIOは発足50年にして二つに分裂。新たな全国組織として「勝利への変革」(CtW,約600万人)が05年9月に結成された。SEIUは、8月の原水禁世界大会にも初めて参加し、9月にはSEIUの有力組織であるUHW(医療労組)の大会に坂内事務局長を招待、更に05年12月には全労連「介護労働者の組織化調査団」を派遣、全面的にサポートするなどアメリカ労働運動との交流の幅を大きくひろげた。

2.すすむアジアの労働組合との交流、課題別会議や争議支援行動

 <5-3>ベトナム労働総同盟(VGCL)とは、全労連発足以来、相互交流関係を続けており、05年4月は初めてハウ議長ら5名が来日、中華全国総工会(ACFTU)とは2000年から隔年相互訪問を行っているが05年10月は王副主席ら5名が来日して会談や職場訪問などを行った。

 <5-4>公務員の労働基本権問題でのシンポジウムに韓国公務労組(KGEU)が参加、ネスレ日本労組のシンポに韓国ネスレ労組代表が、「3・10青年・女性・パート中央行動」に韓国非正規労働者センター代表が参加するなど韓国労働組合運動との交流が活発におこなわれ、単産・地方をふくめ多方面で交流が発展した。

 <5-5>ホンダのインド子会社での労働組合結成を理由にしておこった解雇事件やトヨタでのインド国内法にも違反した大量不当解雇事件に対して、当該労組などへの激励、企業に対する抗議とともに、日本本社への「申し入れ」行動にも取組んだ。

 <5-6>インドネシア・スマトラ沖地震・津波に続き、05年10月のパキスタン北部地震に対しても、600万円以上のカンパが単産・地方から寄せられ友好労組に送られた。アメリカ・ニューオリンズでのカトリーナ台風にたいしてもSEIUに義援金をおくった。

 <5-7>アメリカ、カナダ、メキシコ、と全労連の4ヵ国公務部門労働者の交流会議が、03年から持ち回りで毎年開催され、公務非正規労働者の組織化、労働基本権、民営化、平和など多彩な課題で交流を深めており、第3回目は全労連、自治労連代表が参加し05年12月ノースカロライナで開催された。

 <5-8>核兵器廃絶・核戦争阻止の国際的共同もすすんだ。05年5月に国連軍縮総会にあわせて取組まれた「核兵器廃絶ニューヨーク行動」には、単産・地方組織から250名以上が参加し国際世論を大きく動かした。05年原水禁世界大会にはインド(CITU)、アメリカ(SEIU)、フランス(CGT)から労組役員、青年らが参加した。

 また香港でのWTO閣僚会議にも「食糧主権」を守る立場から日本のNGOの一員として代表が参加した。

3.国際労働機関(ILO)への対応など

 <5-9>日本労働代表(オブザーバー)の一員として2000年以降のILO総会に全労連代表5名を派遣し、総会議題への意見反映や世界労働組合との交流をすすめてきた。また「国鉄1047名不当解雇」「中労委不公正任命」「公務員労働基本権」問題で、ILO「結社の自由委員会」に「追加情報」の提出や要請団派遣をすすめた。全教、郵産労、年金者組合など単産独自課題でのILO要請・訪問活動も取組まれた。

 <5-10>単産・地方組織の国際活動として、ネスレ日本での度重なる不法行為に対してOECDへの「申立て」を行い、ヒルトンホテル争議に対してはホテル所在国の労働組合に対する支援をよびかけた。また国公労連、建交労、自交総連や地方労連が取組んだ国際会議や調査団派遣に援助・協力した。

 <5-11>「世界の労働者の闘い-05年版」出版にあたっては日本の労働者の闘いも補強するなど改善してきたが積極的活用にむけ努力が求められる。英語版ホームページについては、掲載頻度を増やすなど情報発信の改善に努力した。

Ⅵ.対話と共同、組織拡大・強化のとりくみ

1.単産・地方一体による組織拡大の到達点

 <6-1>前大会以降の2年間、組織拡大の第一の重点に、単産組織の拡大・強化をすえてきた。「組織拡大推進基金」の創設によって段階的な配置をめざす「全労連オルグ」を生かし、全労連と単産・地方、地域組織が共同して、それぞれの単産の「重点地方・地域」を設定して推進した。

 さらに、第二の重点として、地域に存在する膨大な未組織労働者の結集にむけた系統的な対策と体制の確立をすえ、「組織拡大推進基金」の創設による「全労連オルグ」の育成と配置、多くの未組織労働者の注目をうながす効果的な宣伝計画、常設労働相談所の設置などの具体的計画を地方・地域労連で立案することをめざした。また、未組織労働者組織化の産業を越えた受け皿づくりとして、全都道府県でローカル・ユニオンの結成を追求し、そのための交流、情報交換、経験や実践を学ぶローカル・ユニオン交流会を05年6月に開催した。

 第三の重点にパート・臨時労働者の組織化をすえ、パート・臨時、派遣、嘱託などを対象にした組織拡大計画と、推進体制の確立をはかってきた。下請け先の労働者も組織化を推進するための組合規約改正など必要な手立てをはかり、組織化にあたって、職場の実情にあわせた組織形態を選択することとし、パートユニオン、介護ヘルパーユニオンなど雇用形態・職能別の組織、派遣・在宅労働者を対象にした調査や研究をすすめた。

 これらの拡大を前進させるために、労働相談所の増設と労働相談員の育成を重視し、2年間で常設相談所を200ヵ所に増やし、複数の専任相談員の配置に努力することをめざした。

 この間、本格的な組織拡大を前進させるために、ブロック別戦略会議を開催し、地方における産別の確立などの戦略を検討してきた。

 <6-2>組織率低下に歯止めがかからない中で、正規職員とともに、派遣・請負、臨時・パートなど不安定雇用労働者に焦点を当てながら拡大運動を展開してきた。

 春と秋に設定してきた拡大月間では、「現行組織人員の10%増」を共通目標に、単産・地方組織一体の「総がかり作戦」を展開、組織の総力をあげた。月間では、単産・地方組織で推進体制を確立し、職場のすべての仲間に依拠した大衆的な組織拡大運動を進め、非正規・非常勤労働者の受け皿組織の確立に努力した。

 また、労働相談活動を強化し、月間のゾーンですべての地方組織が最低3日以上を相談日に設定、全国の私鉄・地下鉄で大規模な「乗り物宣伝」を実施。一般新聞の地方紙にもいっせいに労働相談の広告を掲載、独自にラジオスポット宣伝を行った地方組織もある。さらに、映演労連の協力を得て作成した全労連の紹介ビデオ『労働組合は未来へのドア』の作成・活用や機関紙、ウェブサイトなども利用して組織拡大を追求した。

 06年初めて提起した4月3日の組織拡大統一行動では、東京、静岡、愛知、大阪、福岡など9地方組織、8単産で取り組まれ、新規採用者へのリーフレット「ようこそ働く仲間たち」を全国で11万枚を配布した。労働相談ホットラインは27地方、3単産が実施、全国5ヵ所での地下鉄窓上広告やティッシュ・ビラによる街頭宣伝などを行った。06年4月、3回目となる「総がかり作戦」を福岡・北九州市で展開、単産本部をふくめ13単産・地域組織から210人以上が参加し、リーフ、ビラ、ティッシュなど18,000枚以上を配布した。

 <6-3>それらの結果、単産・地方組織で着実に実を結び、拡大月間を中心としたこの1年間(05年7月〜06年6月)で、20単産47都道府県で7万人を超える拡大を実現するという成果をあげることが出来た。

 とりわけ「組織拡大推進月間」では、多くの単産・地方組織で先進的なとりくみが続いた。教育基本法や憲法改悪への国民投票法案、共謀罪など国会での悪法成立を許さない国民的な運動と一体となりながら、運動が展開された。悪政に歯止めをかける決定的な保障は労働者の組織力量の強化であり、未組織状態の全ての労働者を対象に組織拡大を成功させることが決定的に重要であるとの意思統一の下に運動を推進した。

 建交労では、県本部で組織拡大オルグ・OBオルグ、青年・女性を加えて確立、全組織で重点対象を決め宣伝・対話作戦を展開、また、国公労連・全建労が建交労と共同で組織化に取り組んだことをはじめ、INAXなど全国規模の組織化についても運動を強化してきた。ダスキン部門を組織している建交労ナック分会は、昨年の組合結成後、会社の攻撃が激しくなる中で、東京都労働委員会と東京地裁での裁判も行いながら拡大を引き続き追求している。

 JMIUでは、60歳を迎える仲間に引き続き加入をしてもらえるよう職場討議を強め、さらに第2組合脱退者にJMIUへの加入を働きかけている。また、労働共済80万口達成にむけ、すべての支部・分会が組織共済加入をめざしている。徳島地域支部では、トヨタ孫会社・光洋シーリングテクノでの直接雇用のたたかいと結合して組織拡大を成功させた。請負会社・コラボレートは昨年12月、地域支部コラボレート分会の組合員20人を含む68人の労働者全員に解雇を通告したが、徳島県労働局に解雇撤回を指導するよう要請し国会追及するなかでコラボ社は全員の解雇を撤回した。

 福祉保育労では、06春の月間でポケットティッシュ10万個を作成し、各地方で活用し「新入職員総当り行動」週間を実施し、成果を上げた。日本医労連では全医労で新採用者に向けた説明会などを通じて1,300人以上が加入。四日市医療生協では組織率100%で新組織を結成した。

 通信労組では、カラーの「組織拡大用チラシ」を全労連闘争本部との連名で10万枚作成、各機関紙やニュースでの定期宣伝や支部単位の労働相談(ホットライン)設置と宣伝、NTTリストラ50歳退職再雇用問題での宣伝などを通じて派遣労働者などへの加入の要請を行ってきた。本年に入って8名の加入者があり、2年前の大会以降毎月連続の拡大を成功させている。

 全教では、山梨高教組があらたに加盟し、自治労連は、公務公共一般の非正規労働者の組織化、国公労連は、全建労の委託労働者の組織化、全港建の非常勤職員の組織化を成功させている。

 地方組織では、福岡・北九州でケンタッキーフライドチキンに働く仲間をLUに迎え、不当労働行為を改善させた成果で組織拡大を進めている。

 <6-4>こうした行動を通じて、06春闘を通じた拡大月間だけで日本医労連、全教、自治労連、年金者組合、土建関係で4桁の組合員を拡大している。地方では、静岡、福岡(北九州)、佐賀などでローカル・ユニオンを結成し、全国で3桁の拡大となっている。組織拡大運動から、以下ように教訓が整理できる。①組織拡大基金に基づく大量宣伝の効果が発揮されてきていること、②全国統一行動を契機に、単産・地域が一体となって組織拡大運動が取りくまれていること、③労働相談ホットラインなど相談活動をつうじて非正規労働者の組織化が実現していること、④佐賀をはじめローカル・ユニオンが結成され組織化に寄与していること、などである。

 したがって、大量宣伝活動を引き続き重視し、拡大統一行動の実施、労働相談活動の強化などによって正規労働者はもちろんパート・派遣、請負労働者などに焦点をあて、第22回定期大会をすべての単産・地方組織が増勢で迎えることが出来るよう組織拡大を追求していく。

2.労働相談活動

 <6-5>労働相談ホットラインの宣伝として05年秋は東京、愛知、大阪の私鉄、06年春は、北海道、東京、愛知、大阪、福岡で私鉄・地下鉄宣伝を実施した。

 04年に引き続き今年度も8ブロックに分けて労働相談員養成講座を開催し、364人が参加した。

 05年1年間の労働相談件数は15,435件で前年比4,775件増加した。相談を通じての組合加入は808人で相談件数の6.9%となった。

3.争議関係

 <6-6>この1年間の主な争議解決は、05年9月の川崎重工争議団(解雇、賃金差別)、10月の全労連全国一般日本ケミファ労働組合(賃金・昇格差別、不当配転)、12月の新日鉄広畑争議原告団(人権侵害)、06年2月のJMIU東日本鉄工(倒産解雇)、全信労東京東信金労組(採用差別)、5月全労連全国一般三興管理(解雇)である。

 争議支援総行動は、05年秋の総行動を10月28日、35争議団、のべ4,400人、06年春の総行動は5月25日、30争議団、のべ3,200人の参加で行った。

 また、ネスレ労組のたたかいでは、茨城の解雇事件(最高裁で係争中)、姫路の家族的責任を有する労働者の遠隔地配転事件(大阪高裁で勝利判決)闘争などが重要局面を迎えている。巨大多国籍企業ネスレの社会的責任を追及しつつ全面解決に向け、兵庫、東京、茨城、静岡とともに対策委員会で全国的なとりくみを強めている。

 <6-7>裁判勝利をめざす全国交流集会は、6月9〜10日、自由法曹団・日本国民救援会との共催で開催し、130人が参加した。

 <6-8>06年司法総行動は6月2日、最高裁、東京地裁・高裁、法務省、警察庁、中労委に対する要請行動を展開、260人が参加した。

4.ローカル・ユニオンについて

 <6-9>地方・地域組織の運動発展を背景にローカル・ユニオン運動が前進している。全労連調査によると、昨年6月時点で37地方組織90ローカル・ユニオンがあり、4,589人を組織し、さらに拡大が進んでいる(03年11月、31地方68ローカル・ユニオン3,187人、02年11月、29地方66ローカル・ユニオン、3,208人)。ローカル・ユニオンは、単産の協力による組合員の二重加盟のバックアップも受けて組織力量を強化し、広大な空白地帯となっている中小・零細企業の未組織労働者やフリーター、大企業構内における臨時・請負など不安定雇用の組織化に役割を果たしている。ローカル・ユニオンは、労組法上の適格団体として団体交渉などに威力を発揮し、メールや携帯電話、機関紙など宣伝媒体も駆使しつつ連帯のネットワーク作りが進んできた。また、多くの地方組織で①労働共済、②常設労働相談所、③ローカル・ユニオン確立を「3点セット」と位置づけ意識的に追求してきたことが全国的な飛躍につながっている。

 昨年6月に開催したローカル・ユニオン全国交流集会では、①ローカル・ユニオンは、職場・地域に存在する「一人ぼっち」の労働者をなくすため、組織化を通じて連帯と交流を強め、労働者の要求実現をはかる役割がある、②ローカル・ユニオンは、労働組合としての学習・教育運動を強め活動家を育成する役割がある、③雇用形態を問わず労働者を結集し、臨時・請負、派遣、嘱託などの不安定雇用労働者の組織化ととりわけ青年、外国人労働者を労働組合に組織する課題がある、とした2つの役割と1つの課題を確認した。

5.地方共済会の結成と労働共済の拡大

 <6-10>この1年間に、労働共済・労働共済連の協力を受けて、新たに宮城、島根、高知で地方共済会が結成され、現在38地方で地方共済会が確立された。さらに石川、愛媛、山口などで結成の準備がすすんでいる。また、この間、北海道、長野、神奈川、静岡、奈良、兵庫、近畿ブロックなどで、全労連も加わった労働共済拡大交流会や実務者研修会が開催され、共済運動の大きな前進をつくりだした。労働共済は、05年10月から2年間で、10万人80万口数をめざす拡大運動を展開しているが、こうした活動の中で、すでに10万人を突破、加入口数も57万口以上に到達した。

6.労働運動における男女平等推進をめざすとりくみ

 <6-11>第22回大会までに女性役員比率30%の努力目標にむけ、ポジティブアクションの強化や労働運動に男女平等課題を位置づけるとりくみをおこなってきた。

 女性役員比率向上の到達状況は、06年2月現在、全労連幹事会13.0%(04年調査14.0%)、単産平均18.9%(同11.4%)、地方組織平均13.8%(同10.4%)であり、04年調査と比べると若干だが前進している。女性役員比率15%以上の目標達成は9単産・17地方組織(同6単産・10地方組織)、複数の女性役員を達成したのは14単産・35地方組織(同10単産・33地方組織)、女性役員ゼロの組織は4単産3地方組織(同6単産・4地方組織)となっている。

大会代議員・評議員会への女性の参加を「3分の1以上」とする規約改正の実行や女性役員比率30%の努力目標にむけ、ポジティブアクションの強化や労働運動に男女平等課題を位置づけるとりくみを強化することが求められている。

7.パート・臨時労組連絡会のとりくみ

 <6-12>第5回総会を05年10月14日に開催し、06年度の運動目標を「均等待遇・最低賃金・公契約」の三つの課題にすえることを決定した。秋から春にかけて「均等待遇実現と最低賃金引き上げ」署名は15万筆を超えて集約した。

 <6-13>06春闘では3月10日に「青年・女性・パートに光をあてる」全労連統一行動には全国から800名を超えるパート・臨時労働者が中央に結集し、街頭宣伝行動、議員要請行動、中央集会、日本経団連要請行動などを展開した。

 06年5月20日〜21日に第14回パート・臨時ではたらく仲間の全国交流集会を愛知で開催し、延べ682名が参加した。丸子警報器長野判決から10年目を迎え、改めて長野判決の今日的意義を問い直す全体集会は参加者の感動を呼んだ。また、新しく設けた派遣・請負問題での分科会や青年の分科会などでも活発な議論が進められた。集会参加も14単産、33地方組織と運動の広がりを示していた。

8.ヘルパーネットのとりくみ

 <6-14>05年11月5日に『働き続けられない・利用できない改悪ストップ!「介護保険の改善をめざすみんなの集会」(第4回ヘルパー集会)』を、中央社保協、ホームヘルパー全国連絡会共催で開催した。集会には、ルパーネット構成単産と21都府県から162名が参加した。現場のヘルパーやケアマネ、サービス提供責任者などの発言により、介護保険制度発足後の実態が告発されました。鹿児島大学の伊藤周平先生の講演や、仲間の発言を聞いた参加者には、自分が動けば変えられるという確信につながる集会となった。

 <6-15>05年12月11〜22日にかけて在宅介護労働者の組織化において進んだ実績を持つアメリカのSEIU(国際サービス従業員労組)への調査団を派遣した(4単産3地方組織9人)。在宅介護労働者の運動には、地域コミュニティーの支持が不可欠なことや、組織化については戸別訪問が有効なこと、そのための大量なオルグ養成、組合員教育や利用者との共同行動など多くのことを学んだ。また延べ11日の調査日程で多くの組合スタッフと出会い、交流を強めた。3月8日には調査報告会を開催、報告集を発行した。

 <6-16>06春闘では3月10日に全労連の中央行動に初めてヘルパーネットとして参加、全国から40名のヘルパーが集まり、厚生労働省交渉と国会議員要請を行い、現場のヘルパーの実態や今回の介護保険改正の影響について訴えた。厚生労働省交渉の中で、厚生労働省が外郭団体を通じて例年行っている介護労働者の実態調査について、5,000人規模の調査から3万人から5万人規模の調査を行うことが表明された。この間粘り強く要請してきた「介護労働者の実態をつかむこと」への政府の対応が実現できた。また、国会議員要請行動では、現場の実態を語る現場労働者の声に、共感の意を表す国会議員も多かったと報告がよせられた。

 <6-17>05年秋から06年春にかけて 地方でヘルパー集会が開かれ、介護保険の改善やヘルパーの労働条件の改善を訴えてきた。全労連としてヘルパーネットのリーフ、組織化に役立つアンケートの作成、労働相談マニュアルの作成を行った。

 <6-18>06年5月24日、第2回総会を行い1年間の運動の総括と方針を確認した。ヘルパーネットが結成されて1年、各単産の努力でヘルパーの組織化は大きく進み5単産のヘルパー組織人員はすべて増勢となった。3年後の報酬改定に向けてさらなる組織化の前進と、介護制度改善に向けての世論形成、介護労働者の労働条件改善をめざし活動を進めていく。

9.女性部のとりくみ

 <6-19>全労連女性部は、男女平等の実現、仕事と家庭の両立、女性の争議支援、平和と憲法、教育基本法をまもるたたかいを強めてきた。

 第161臨時国会では、育児休業の1歳6ヵ月までの延長をはじめ介護休業の取得回数制限の緩和、有期雇用労働者への適用拡大、子どもの看護休暇の新設など不十分ながらも「育児介護休業法改正」を一定改善させた。また次世代育成推進法の活用、改正育児介護休業法を反映させるために解説パンフレットを発行・普及し春闘を通して職場からの労働協約闘争を強めてきた。

 <6-20>実効ある男女雇用機会均等改正の取り組みでは、パンフ「男女ともに人間らしくはたらける社会めざして」での学習、職場チェック運動、学習決起集会、厚生労働大臣宛て署名、05年11月16日の厚生労働省前行動、雇用均等・児童家庭局との交渉・懇談におこなった。法案の国会提出以降は、国会議員要請や国会内集会、署名提出にとりくんだ。法改正では、妊娠・出産に関する不利益取り扱いの禁止やセクシュアルハラスメント対策を事業主の配慮義務から措置義務にするなどの改善面はあるものの、間接差別の範囲を狭めるなどの問題点を残したものとなった。国会審議では、間接差別の限定列挙の問題点が明らかとなり、5年後の見直しの附帯決議がつけられた。提出した署名数は厚生労働省宛10万4千筆、国会請願署名15万筆となった。

 <6-21>女性部の憲法改悪反対の宣伝・学習活動として、05、06春闘で「署名つきリーフレット」「かがやけ9条カンバッチ」を作成し、単産・地方で活用をすすめてきた。また、オーロラビジョン放映を企画し、05年、06年2年連続で渋谷ハチ公前放映。カンバッチを広げ、宣伝のカンパとして集める取り組みを行なうとともに、05年の5月にオーロラビジョン前で憲法改悪反対、06年には教育基本法改悪反対の宣伝行動を展開した。

 <6-22>世界女性行進、日本NGO大会の成功に貢献し、女性の共闘団体、日本婦人団体連合会、女性の憲法年連絡会、国際婦人年連絡会、第50回はたらく女性の中央集会、国際女性デー中央大会、核兵器をなくそう女性につどい、日本母親大会、女性の春闘懇談会の役員・事務局団体として、これらの諸活動を支えてきた。

10.青年部のとりくみ

 <6-23>全労連青年部は①憲法改悪阻止、②青年の深刻な雇用・失業状態の打開、③運動と結んだ組織の拡大・強化を3つの柱に運動を進めてきた。

 憲法改悪阻止の運動では、全労連青年部の学習交流集会(ユニアカ)で憲法学習を位置づけた。全教青年部が提起した「九条にカンパイ」企画は、全労連青年部としても呼びかけ多くの地方労連青年部で共同のとりくみとなった。「核兵器なくそう・世界青年のつどい」準備委員会に結集し、青年部で独自に憲法運動推進キャラクターを作成した。

 <6-24>青年の雇用問題では、最低賃金体験に未組織の青年も含めて青年が積極的に参加するよう呼びかけた。民青同盟、全学連などと実行委員会を結成し、秋に全国青年大集会を成功させた(1,400人)。また日高教、全労働などと就職連絡会の運動に結集し、青年の雇用問題が深刻であるという世論を広げてきた。就職問題での政府交渉や権利手帳の街頭での配布、フランスの代表を招いた7月1日の青年雇用シンポジウム(100人以上)を成功させた。

 青年組織の強化では、全労連規模での学習交流集会(ユニアカ)を年一回開催すると共に、ブロックや地域での活動、学習・交流の推進に取り組んだ。

※組織建設の点は?

11.教育・宣伝活動などについて

 <6-25>春闘学習資材として、「学習の友・春闘別冊」を労働者教育協会と共同編集で毎春闘ごとに学習資材として発行している「学習の友〜春闘別冊」は、各年2万5千冊以上を普及した。幹部活動家向けの「春闘白書」は、全労連と労働総研の共同編集として発行した。06春闘を契機に、これまでのB5版からA4版にサイズを変更、同時に、データブックとして統計・調査データを重視した編集に改善した。この2年間それぞれ5千5百冊程度の普及となった。

 02年1月に発行した全労連編集の「組合員教科書」は、05年に改定し第4刷として増刷発行した。勤労者通信大学「憲法特別コース」の募集に協力し、全体で7千名を超える受講生を組織化した。

 <6-26>大会方針に基づき、「全労連新聞」「月刊全労連」の定期刊行物の改善・変更を進めてきた。両刊行物は、05年5月号から一斉にリニューアルし、同時に発行回数や頁建てなども変更した。「全労連新聞」は、これまで月2回各8頁建から月1回4頁建に変更した一方で、年2回(総選挙・秋のキャラバン)全組合員を対象に大量発行してきた。「月刊全労連」は、これまでのB5版48頁建からA4版48頁建に拡大、活字も大きくデザイン的にも改善し、100号(05年5月号)を契機にリニューアルした。リニューアル1周年を記して読者アンケートも実施しさらに紙面改善を進める。部数拡大にも取り組み、この1年間で3桁の定期読者を拡大しているが、目標達成には到達していない。「ホームページ」の改善は、現在準備している。

以 上

 

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