全労連第20回大会議長あいさつ
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 第20回定期大会議長あいさつ


2002年7月24日
全労連議長 小林洋二


 全労連第20回定期大会に参集された皆さん、ご苦労様です。来賓の皆さん、たいへんありがとうございます。

 本大会は、国会最終盤のきわめて緊迫したなかでの大会です。幹事会は、国会情勢によっては、大会を中断して国会に駆けつけることもありうるということを含めて本大会を召集いたしました。
 さて、この大会にもっとも重要な、最大の課題として提案しなければならないのは、全労連組織の拡大であります。私たちは13年経ちましたが、約10万人ほど後退を余儀なくされました。その速度は、最近になってさらに早まっています。私たちはこの事実を直視し、そして増勢に転じる、組織的な攻勢に転ずる大会にしたいと思います。
 労働運動は、波があります。決して一時的な組織の後退に恐れたり、萎縮したりすることはないと思います。が、事実をしっかり見極めて、果敢に挑戦しなければ、重大な事態を招くことは言うまでもありません。
 したがって、本大会を通して、このことについて積極的に討論し、深い意思統一をしたいと思います。

私たちの運動がここまできている

 そうした立場から、二つの面からあいさつ申し上げたいと思います。
 一つは、情勢と運動の面、もう一つは、直接的に組織拡大に挑戦するという問題であります。
 第1の面では、いまの国会にもっとも情勢の焦点があると思います。先日の7・19集会の際に申し上げましたが、私たちの運動がここまできている、ということを象徴的に現していると思います。それは、医療改悪について、日本医師会が最後の最後まで断固反対という態度を表明したことであります。日本医師会は申し上げることもありませんが、自由民主党を支持し続けた団体であります。この日本医師会と全労連の主張がぴったり最終盤で一致したということは、史上初めてであります。
 それから、有事3法案について、日本弁護士会が、これまた最後の最後まで反対し、憲法と人権に照して断じてこの法案は許せない、という態度を、日本弁護士会の代表が、6・16集会でも、7・19集会でも明確な表明をされました。
 私はここに、自民党、いまの小泉内閣と国民との矛盾が非常に象徴的に現れているし、私たちの運動の到達点がそこまできているということを申し上げたいのです。
 これは、日本医師会と保団連や民医連など民主的な医療活動との関係が非常にあると思いますし、日本弁護士会では、労働弁護団と自由法曹団がそれぞれ約1割、その力が大きく反映していることも言うまでもないと思います。
 皆さん。国民の世論は、そして私たちの運動は、そこまできています。だが、有事3法案は継続審議にしようという策動を強めています。今週が山であります。医療改悪法案は25日にも強行採決かという、きわめて緊迫した状況にあります。
 皆さん。われわれは最後まで堂々とたたかいます。しかし、こうした国民世論のもとで、小泉内閣、自民党と公明党が強行をやるならば、彼らには未来はない、国民はそのような政権を必ず許さない、ということに私たちは確信をもって、国会最終盤をたたかいぬきたいと思います。

リストラの先行きは見えてきた

 さて、もう一つの重大な問題はリストラ問題です。まさにリストラの嵐がいま吹き荒れています。しかし、これもいま破綻せざるえない、破綻しつつある情勢にあると思います。
 つまり、リストラの本質は競争万能論であります。競争がすべての価値に優先するという考え方であります。これがまさに日本経済をダメにし、そして小泉内閣の支持率を後退させ、深刻な状態を創り出しています。これは、単に日本だけではなく、アメリカの経済も世界の経済もそういう事態になっています。
 しかし、これではいけない、これに対する規制、ルールをつくらなければいけないという世界の流れが、いま大きく始まっています。オセアニアや南半球やヨーロッパで、そうした流れが大きな流れになりつつあります。
 私は先日、ニュージーランドにいく機会がありましたが、ニュージーランドでは労働党政権が一度国民の支持を失ったのですが、その反省をして、規制緩和路線は間違いであったということを明確にして、そして再び労働党が政権をとり戻し、いま規制緩和を見直す政治を行っていました。
 そのなかから、経済の再建、あるいは雇用やくらしの前進という方向が明確になって、ニュージーランドは南半球の小さな国ですが、希望が見え始めていました。ヨーロッパでも同様です。
 したがって、リストラの先行きはもはや見えてきたと思うのです。国民のくらしや労働者の雇用、生活や権利を守らずして経済の発展はありえないということが非常に鮮明になってきたと思います。

不安定雇用労働者の賃上げが最大の焦点

 そうした点から、私たちは、すべての労働者の賃上げという方向を打ち出してきましたが、いまの財界の方向は、すべての労働者の賃下げであります。そして、限りない雇用破壊であります。賃下げと雇用破壊に日本経済再建の道は絶対にありえない、ということももはや鮮明だと思います。
 したがって、私たちは、すべての労働者の賃上げ、とりわけ、どんど広がるパートをはじめとする不安定雇用労働者の賃上げを徹底してたたかっていく必要があると思うのですが、政府・財界は、私たちの正規労働者と不安定雇用労働者の均等待遇という要求に対して、均衡だと言っています。均衡とは何か、均等とは中身は全然違います。正規労働者の賃金を下げて、パート労働者と均衡にしようという、まったく本末転倒のものであります。それは、ヨーロッパなどの流れとは根本的に違います。
 いま必要なことは、パート、不安定雇用労働者の賃上げを行って、均等待遇を実現する、つまり時間当たりは変わらない、こういう状態を実現することにいま最大の焦点があると思います。もしこれを実現しなければ、どんどん不安定雇用労働者は拡大していますから、半失業状態が広がっていますから、これでは日本経済や私たちのくらしがよくならないことはあまりにも鮮明であります。
 私たちは、ここに最大の焦点をおいて引き続きたたかっていきたいと思っているところです。

純粋持株会社に対する挑戦をNTTリストラ問題で

 さて、最近のリストラは、純粋持株会社を通して行うという新しい手法に移りつつあります。中心がそこにきています。
 私たちは日産の拠点闘争に続いて、NTTリストラとのたたかいに焦点を移してきました。NTTのたたかいは、全国の皆さんの通信労組を包んだたたかいによって、50歳定年制を拒否した皆さんの不当配転を最小限に食い止め、たたかいが継続しています。しかし、これからまだ5万5,000人のリストラが続きます。
 NTTリストラの仕掛け人は、純粋持株会社であります。団体交渉に応じていないこの純粋持株会社を、私たちは中央労働委員会に不当労働行為で訴えてたたかいたいと思っています。法的にはむずかしい点もありますが、いま弁護団に研究していただいているところです。純粋持株会社に対する、日本労働運動の初の挑戦を、NTTリストラ問題でやりたいと思っているところです。
 その点でも、中央労働委員会労働者委員の私たち候補者、今井一雄さん、藤田忠弘さんにはぜひ労働者委員になっていただく必要があります。幸い、千葉で地労委労働者委員を確保しました。全国6人目です。東北と東海などブロックでまだ労働者委員のいないところで頑張っていただきたいし、次は四国・徳島で増えるのではないかと期待しているところです。これも流れです。全労連系に地労委労働者委員を渡さないなどということは時代遅れです。一挙に追い込んでいきたいと思います。

公共事業見直しを全国で

 もう一つ、長野県の田中さんの知事不信任をめぐって話題を呼んでいますが、田中さんは不信任されて世論の支持が高まるという結果を作っております。ぜひとも勝利していただく必要があると思いますが、私は公共事業をめぐるたたかいだと思うのです。
 村山内閣の時、94年に、630兆円の公共事業をアメリカから押しつけられました。これを歴代内閣は唯々諾々と忠実に実行してきました。これが長野県のダム問題であり、徳島の可動堰問題であり、まさに自然を破壊した公共事業問題だと思うのです。したがって、私たちはこの公共事業見直しを全国で展開したいと思いますし、いわゆる財政危機問題で、私たちは公共事業のムダをなくすというたたかいを本格的に実行していきたいと思っているところです。

組織拡大を全労連運動として力をあわせて

 最後に、組織拡大について訴えたいと思います。
 組織の拡大は、私たちは頑張ってきました。全国にいま100人余の労働相談員がいます。この方々が1万件以上の労働相談に応じ、400以上の労働組合をつくるというようなたいへんな努力をしています。
 しかし、こうした努力、拡大にもかかわらず、リストラや労働力流動化による後退の方がはるかに大きいのです。したがって、私たちは組織拡大の波、活動をもっと大きくしなければならないと思います。
 そのためには、お金と人がやはり必要です。だから全労連は、組織拡大推進基金の創設という提案をいたしました。
 皆さん。私たちは、この運動を、全労連運動として、全労連として力をあわせて臨むことに挑戦したいと思います。
 全労連として、というのは、地方組織(県労連)の場でやることが、地域・職場を基礎とした時に決定的に重要だと思います。
 いまこの運動を成功させる上でどうしても必要なことは、企業主義、産業別労働組合のセクト主義、これを乗り越えて、地方組織の場で、地域・職場を基礎にして全労連運動して力をあわせて組織拡大に乗り出すことを決意することだと思います。
 かつて総評は、総評オルグ数百名をおきました。これは総評運動の基礎を作り発展させる決定的な力になったと思います。だが、若干の問題もありました。それは、総評が全部お金をつけて総評から人を配給するという方式でした。したがって、地方の自主性が若干弱まるという傾向にありました。
 私たちは、そういう方法ではなくて、地方組織、地域労連、地方の自主性を基礎にして、全労連運動として前進していくことがこの運動のカギだと思います。
 運動は、カンパと恒常的財政という二つの方法でいきますので、しばらく財政問題は遅れます。だが、地方組織を中心に、ボランティア――フロンティアがいいという意見も出ていますが、若干収入はなくても頑張っていただく、そういう方々を先頭に、運動を先行させていきたいと思います。
 私たち幹事会も、自らカンパも出して先頭に立ちたいし、私も本大会の最後にカンパを渡したいと、いま同士を募っているところです。

 そういう能動的・運動的にこの問題にとりくんでいきたい。決して怯むことなく、萎縮することなく、果敢に挑戦すれば、労働者は必ず結集できる。そして私たち、全労連運動の最大の目的は、5,000万労働者の統一でありますので、共同し統一することをめざす、その母体をしっかり造っていかなければなりません。私たちが1割の力、500万人の力をもった時には、日本労働運動は、抜本的に変えることができると思います。
 そこをめざして、後退から前進へ、停滞から攻勢へ転ずる、そういう大会にするために、皆さんの積極的な協力をお願いしてあいさつといたします。ありがとうございました。




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