全労連議長あいさつ

第19回定期大会議長あいさつ


全国労働組合総連合
議長 小林 洋二

 本大会の任務は、次の三点にあります。
 第一に、雇用をはじめ、労働者・国民の状態悪化が進むもとで、これをくいとめ、打開する方向を明らかにして、労働者の共同を土台に国民的たたかいにいかにして発展させるかです。
 その中心は、働くルールの確立や大増税反対、賃金の底上げなど大多数の一致点での大同団結をいかに発展させるかであり、共同から、行動の統一をいかにつくり出し大規模な運動に発展させるであります。
 第二は、全労連の強化拡大です。日本労働運動の団結と統一の軸は全労連です。全労連の強化拡大なくして、日本労働運動の発展はありません。10周年を過ぎましたが、全労連の組織現勢は、現勢を維持していることにとどまっています。それ自体重要なことですが、全労連に期待されている任務を考えるとき、現勢にとどまっているわけにはいきません。本大会は、財政問題もふくめて、組織の強化拡大にむけて新たな決意と体制で臨むことです。
 第三に、本大会は21世紀を展望する大会です。世紀の区切りというだけでなく、10周年を経た全労連として、前進をしようとする試みでもあります。その一つは常任幹事会を設け、機関の集団運営を強化すること。二つは大会を2年に1回にして、実践する期間を長くして実践を通じたいっそう豊かな方針を確立することです。21世紀の目標は、最賃制や社会保障など最低保障要求の実現を追求することや労働運動の統一、民主的政府など10年位の長い期間を通じて実現をめざそうとするものとして提起するものです。そして、その到達点は大会ごと確認しつつ、21世紀の展望であると共に一歩一歩確かめながら進もうとするものです。

総選挙の結果と政局

 総選挙の結果は、自民党が比例で28%しかとれず、与党全体でも40%の支持にとどまったことが最大の特徴です。小選挙区制に助けられ60%近い議席を確保し、森内閣はスタートしましたが、きわめて不安定内内閣であることは明白です。さらに選挙後、建設汚職や大企業への乱脈経営への対応など失政の続き、いよいよ混迷を深めています。一方、国民には大増税をおしつけようとしています。もはや自民党に政権を担当させるわけにはいかないという世論はさらに高まっています。内閣支持率は低下の一途であります。
 革新懇は名前をかえて、民主的な政府をめざす国民的運動を党派をこえて発展させようとしていますが、全労連もこの一翼をになって努力するときだと考えます。職場の声は政治をかえなければ、雇用もくらしもお先真っ暗だということです。自民党政治への不満は、業界をこえ、組織をこえ、党派をこえて広がっていることが特色です。全労連は憲法を守り生かすことを中心において、自民党にかわる政権を確立する国民運動に積極的に参加していきたいと考えます。
 こうした行き詰まった自民党は、今回の選挙のように反共謀略を行うことが考えられますが、これは一党にむけられた攻撃ではなく、国民的分断をねらったものであり、国民的反撃が必要です。ときの政府と与党に国民の主権を蹂りんする権利のないことは明かです。困難を一つ一つ打開し、条件を切り開いていきたいと考えます。

消費税など大増税とのたたかい

 政府税調は、消費税、課税最低限引き下げ、一律外形課税など、庶民大増税を答申しました。政府も加わって決めた方針であることは明白です。消費税など庶民大増税は断じて認めることはできません。消費税をはじめ今すべきことは庶民減税です。とりわけ、消費税の導入と引き上げが不況の最大の要因となったわけであり、消費不況を打開する決め手は消費税の削減です。改めて、増税どころか減税をきびしく要求するものであります。
 この大増税計画になんとしても許せないのは、第一に、645兆円にもおよぶ借金は、その原因にもとづいて解決されるべきであり、国民に転嫁は許されないのです。アメリカと約束した630兆円の公共事業や、バブルと不況でうきぼりになった大企業の乱脈経営への大量の税金投入など原因と構造にメスを入れ、情報を全面的に公開し、ムダを徹底してなくすことです。
 第二に不公平税制にメスを入れることです。大企業と大金持ちへの優遇税制を改めることがまず必要です。
 第三は、重大なことは、税金の最大の柱を消費税にしようとしていることです。政府と税調は、消費税を当面8〜10%、近い将来は15%を実行しようとしています。参院選後の具体化は必至の情勢にあります。10%をこえれば、最大の税額となります。まさに庶民大増税であり、あらゆるムダと不公平をさらに拡大して、雇用と営業・くらしに苦しむ国民に転嫁するものです。税財政の民主化なくして、国民要求の実現はないという立場で天下の悪税、消費税大増税反対闘争をよびかけるものです。

雇用をはじめ働くルールの確立

 ルールなき競争、競争原理主義と規制緩和の行き過ぎは、雇用と日本経済をあやゆくするだけでなく、社会や教育の荒廃をうみ、いよいよ深刻です。17歳犯罪や雪印乳業の安全無視も原因はここにあります。
 今なにをなすべきか!人権、命、母性を守るという最低のルールを一刻も早く確立することです。そうしなければ日本の将来はないのです。タダ働き、深夜労働当たり前、首切りも自由、どこに労働者の人権がありますか、命を守る保障がありますか、そして、女性にむかっては平等というなら義務を果たせと母性保護を事実上なくしてしまった。母性を守らずして、どうして民族の未来があるか、出生率はすでに1.3まで落ち込んでいます。
 そこで、タダ働き、サービス残業の実態告発を中心に、労働時間を短縮して、雇用を確保する闘争を改めて呼びかけたいと思います。やはり雇用闘争は時短闘争が原点であり、長時間労働を放置して雇用の拡大はできません。しかも、雇用の改善なくして景気もよくならないこともすでに明らかです。

底上げを軸に労働者の統一を

 日本の賃金はいっそう深刻な事態になっています。私たちはこの事実を直視して全力をあげて賃金闘争を強化しなければならないと考えます。それは成果主義、成績主義が急速に拡大され、賃金の個別化が進んでいることです。一方、パート・短期契約などの不安定雇用労働者がすでに全労働者の30%をこえ、1500万をこえて拡がっていることです。この財界戦略に真っ向から対決してすべての労働者の賃上げを実現するたたかいは、誰でもどこでもという底上げ要求で団結する以外にありません。この提案は、議論はありましたが、この1年間で全国で地道に実践され、着実に成果をあげることができました。この実践を大切にして、さらに広範な労働者に、経営者にもよびかけ、底上げ闘争を強化しましよう。底上げ最賃で広範な労働者が統一し、企業をこえて、地域で産別で広がるならば、財界はおさえることはできません。そして21世紀目標の全国一律最賃への道を確実にきりひらくことになります。

国際交流の大切さとその原則

 国際活動はこの間に急速に進んだ、特にILO総会に日本代表団の一員として参加したことであり、中華全国総工会と交流開始を確認したことは歴史を画することです。
 そこで中華全国総工会との交流にあたって三つの原則を提唱し、中華全国総工会にも賛同されましたが、国際交流の原則として確認したいと思います。
 第一に自主平等の原則です。対等平等、内部不干渉、一致する課題での共同です。
 第二に平和の原則です。ニ度と侵略戦争を許さないこと、アメリカの軍事基地に反対し戦争法の発動を許さないこと、一つの中国を支持し、平和解決を望むこと、一日も早い核兵器の廃絶、朝鮮半島の首脳会談を歓迎すること。
 第三に労働者の基本的権利と利益擁護の原則です。グローバリーゼーションの進行するもとで、ILOの労働基準を最低限守ることと共に経済の民主的発展への寄与について提起し、中華全国総工会側も賛意を示した。特に市場経済のもとで労働者の権益を得ることも重要だということが強調されたことが特徴でした。例えば、月の残業規制について経営者は44時間を主張したが総工会の主張が最終的に通り、月36時間になったことや、中国経済の最先端をいっている上海総工会は数年間での産業再編のもとで約100万人の労働者の再雇用を実現し、失業者は基本的に出さなかったことなど経験も聞きました。そして何より70年余の歴史のなかで一億人余の総工会を築かれたことに敬意を表しあつい歓迎に感謝し、全労連も5000万労働者の統一の道を歩むと決意を申しあげた。
またサミットは沖縄で開催したが、沖縄の心を踏みにじりアメリカのいいなりとなって米軍基地存続・強化を約束するという屈辱外交となりました。

国鉄闘争について

 国鉄闘争は重要な局面にあるが、すでに明かにした事務局長談話を基本として対処していただきたい。その中心点は、1047人の一括解決であり、分離は許さないこと。政府の責任において解決することのニ点が焦点であります。
 この点で、全労連に固く団結してたたかいましょう。機関中心、組織的対応でのぞむ時であり、あれこれの他の動向に左右されることなく、10年来のたたかいの人道的解決にむけて全力をあげることを表明するものです。

秋年闘争から春闘へ

 秋年闘争は、ゆきづまった森内閣をおいつめ、政策の転換をせまるためにも、一時金などの要求実現の上でも重要ですが、来春闘に直結するという点でとりわけ重要です。
 そこで消費税など大増税に反対し、雇用を拡大し、医療改悪を許さず、生活・福祉関連の公共事業の拡大などを要求し、総決起することをよびかけます。その焦点として11月18日に数万人規模の大集会を予定し中央行動とも結合したい。森内閣はぐらついています。今こそ追撃し、要求実現をせまるために全国津々浦々から総結集したたかいましょう。全国各地でも多様なたたかいに立ちあがることをよびかけます。そして、春闘にむけて職場・地域から共同を発展させ春闘のたたかう土台を築きm、あしょう。

全労連の拡大強化と労働者の統一

 産別の自主的な統一の動きが強まっています。印刷・出版労働者の間で、金融労働者の間で、金属労働者の間、東京など多くの分野で真剣な検討が始まっています。統一は労働者の力を倍化させます。激しい攻撃にたちむかうにしても、たたかいの土台を強固にするにしても重要なことであり、全労連は歓迎するものです。
 同時に日本労働運動の統一の母体、全労連を強化拡大するする方向で進まれることを心から期待するものです。
 そして全国に広がる労働相談は、未組織労働者の信張棒となっています。同時にそれらの活動を通じて、毎日、小さくても労働組合が結成され、自らの幸せは自らの手でいう団結が広がっています。全労連は10年を経過したもとで、みんな沢山の困難を抱えてたたかっていますが、未組織労働者の組織化は組織労働者の使命であることをみんなで確認し合い、一定の財政も出し合い、労働相談、未組織労働者の組織化へ全労連あげてとりくむ体制を築くために歩みを強めることをよびかけます。その土台は職場・地域です。地域労連の拡大強化と職場に基礎をおいた運動の強化がきわめて大切となっています。
 そして現勢維持の全労連から、拡大し前進する全労連に挑戦しようではありませんか。困難な課題ですが、この道以外に、労働運動の前進の道はありません。
 そして資本と権力による分断・弾圧・懐柔の20世紀の歴史をのりこえ、21世紀は5000万労働者統一の世紀をつくりましょう。

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