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(第2号議案)付属議案(当日配布版)

臨時国会のとりくみと秋年末闘争方針(案)

(99年国民春闘準備含む)

全国労働組合総連合

1、 臨時国会・秋年末闘争の課題と運動展開

 7月12日投票の参議院選挙の結果は、自由民主党の惨敗、日本共産党と民主党の躍進となり、2年半の間、労働者・国民の強い反対の声にもかかわらず悪政を強行しつづけた橋本内閣を退陣に追い込んだ。この結果は、前回に比較して著しく増えた投票率や各種世論調査などに示されているように、「今の政治を変えたい」との多くの国民の声と大企業本位でアメリカ追随の自民党政治に対する労働者・国民の怒りによってもたらされたものである。

 また、悪政反対と要求実現、国民的共同の先頭に立ってきたこれまでの全労連の運動に確信を与えるものとなった。今後、この結果に示された労働者・国民の怒りに依拠した要求・課題の実現運動と国民的共同の前進、衆議院を解散し総選挙の実現をめざす共同の運動の前進のためにいっそう奮闘することが重要である。特に、悪政推進の自由民主党の惨敗による参議院での完全な過半数割れやこれまで全労連と共同をすすめてきた日本共産党が、予算を伴う法律案の提案権を獲得した有利な状況を生かしたとりくみを重視する必要がある。同時に、自民党をはじめ国民犠牲の「行革」や規制緩和の推進をかかげて議席をしめた政党も少なくないが、この点も軽視しないでとりくむことが重要である。

全労連は「98年運動方針案」にもとづき、第143臨時国会と98秋年末闘争の課題ととりくみを次のように具体化し、たたかいの前進をはかる。

政府・自民党は参議院選挙後の早期に臨時国会を招集し、先の通常国会で国民の反対により成立できなかった悪法、とりわけ、「労働基準法改悪案」や「旧国鉄長期累積債務処理法案」、1、600万世帯の借家人にとって死活問題である「定期借家制度」を導入する借地借家法「改正案」、「盗聴法案」などの成立に加え、労働者派遣法の改悪や公的資金を金融機関に投入する不良債権処理の関連法案、法人税の引き下げなどをねらう税制「改正」、さらには医療の再改悪など、労働者・国民のいのちとくらし、平和と民主主義をさらに脅かす悪政をさらに推進しようとしている。

この間の全労連などの粘り強い運動や参議院選挙やその結果などによって国民世論となった、当面、消費税を3%に、医療も改悪まえに戻し、恒久所得減税の実現など消費を拡大して深刻な不況を打開するため、臨時国会や秋季年末闘争でのとりくみが重要となっている。

自衛隊の組織的武器使用を可能にするPKO(国連平和維持活動)協力改悪法の通常国会での成立強行とあわせ、アメリカの戦争行為に日本と国民を自動的に組み込む「新ガイドライン」関連法案が国会に提出されており、これに反対する国民的闘争を大きく前進させることが緊急な課題となっている。また、政府・自民党は、公務員賃金の凍結・抑制、能力・業績主義の導入・強化をはかろうとしており、この秋には99年「年金大改悪」に向けた年金審議会の「意見書取りまとめ」が予定されるなど、年末一時金闘争を含め、労働者・国民の生活と雇用、権利を守るたたかいがきわめて重要になっている。

(1)臨時国会と秋年末闘争の重点課題

全労連はこの様な状況のもとで、衆議院を解散し総選挙の実現をめざす共同の運動を前進させるために奮闘する。

 同時に、臨時国会における「労働法制全面改悪」や「新ガイドライン」関連法案などの悪法阻止、深刻かつ緊急な課題となっている「雇用・失業問題」、当面、消費税3%、医療制度を改悪まえにもどし、恒久所得減税の実現など国民本位の不況打開、「年金制度改悪阻止」、さらには公務員賃金改善・年末一時金・労働条件改善などを重点課題に、「働くみんなの要求アンケート」を含め「対話と共同」「10万人オルグ」運動などを地域や職場から大きく展開する。

(2)臨時国会での労働法制改悪など悪法反対のたたかい

1) 職場・地域から学習と宣伝活動をつよめ、国会にむけた請願署名(労働法制改悪反対、医療・年金改悪反対、消費税引き下げ、新ガイドライン立法反対、盗聴立法反対など)の取り組みをいっそう広げ、悪法を許さないたたかいを職場・地域から運動化する。

2)7月末招集といわれている臨時国会にむけ、労働法制・「女子保護」中央連絡会や国民大運動実行委員会、中央社保協などと共同して、政党・議員要請、議面集会などの国会行動を行う。同時に、国会論戦の重要段階では集会・デモ・座り込み行動などを展開する。

 3)「悪法反対」で一致する広範な労働者・労働組合、諸団体との共同を重視し、さまざまな共同行動、連携した取り組みを追求する。とりわけ、「労働法制改悪反対」ではこれまでの到達点を教訓にさらなる共同の拡大を追求する。また、「新ガイドライン立法」反対では「国民連絡会」の共同拡大と同時に、労働組合レベルでの共同の拡大を重視する。

(3)「対話と共同」「要求アンケート」の推進

1)すべての組合員はもとより、職場や地域の未組織・パートなどを含む圧倒的多数の労働者を対象に、それぞれの産別や地方・地域の広範な労働者に影響力を持ちえる積極的な目標で「働くみんなの要求アンケート」運動を10月〜1月に展開する。特に10〜11月を「推進期間」として集中的にとりくみ、12月末にはすべての組合員数の集約をめざす。

2)「対話と共同」を重視し、「労働法制改悪阻止」「働くみんなの要求アンケート」や「緊急雇用対策案」などを重点に、未加盟、中立労組などに積極的に共同を働きかけ、アンケートの集計結果の還元など、日常的・系統的な交流を活発にする。また、「はがきアンケート」「パートアンケート」なども活用しての未組織労働者への働きかけも重視する。

(4)98秋年末闘争の統一行動と集会等

 1)9月上旬〜11月上旬にかけて、広範な労働組合や諸団体との共同を追求しながら、「雇用・失業対策」や「地域経済の振興」、「財政健全化計画」による社会保障切り捨て・自治体リストラ反対、消費税減税など不況打開などの課題で全国的な「県内総行動」を展開する。また、その集約的な行動として11月6日を全国統一行動日に、98春闘の「2・26総行動」のような「全国一斉総行動」をすべての地方・地域で「目に見える」大衆行動を展開する。

この「県内総行動」は、@国民的な共同として展開するため、広範な諸団体への共同の申し入れと共同による行動の具体化で、A地域行動を基本にこれを全県内的に連鎖的に行う「県内キャラバン行動」として全国的に展開する。なお、医労連や国公労連などが計画している「キャラバン行動」との調整をはかり、統一できる場合は「医療改悪反対」や「労働者・国民犠牲の行革・規制緩和反対」などの課題も含めた行動とする。

この「県内総行動」では、@地域の広範な労働組合へ「労働法制改悪阻止」や「緊急雇用対策案」、「年金要求」「働くみんなの要求アンケート」「11・6統一行動への参加」などでの共同の申し入れ、A地方自治体や議会、経済(経営者)団体や業界団体などへの要請行動、B街頭宣伝や署名行動など目に見える大衆行動の地域からの展開などを重視する。

2)「労働法制改悪」を阻止するため、9月上旬頃の国会審議の山場にむけ9月2日に全国統一行動日を配置し、ストライキを含む戦術配置で職場・地域から総決起すると同時に、国会議員・政党要請、デモと決起集会を中心とした中央行動を展開する。

また、公務員賃金、年末一時金をはじめ労働条件改善などの秋年末要求の獲得をめざし、11月19日にストライキを含む全国統一行動を配置する。このたたかいを98秋季年末闘争最大の山場として、官民一体、単産・地方が連帯した職場・地域でのたたかいを展開し、国民春闘共闘、国民大運動実行委員会などと共同した行動などを追求する。

3)労働総研などと共同して、第3回地域政策交流集会として「雇用と地域経済を考えるシンポジウム」(仮称)を10月9〜10日に国・自治体の専門家、中小業者、学者、労働組合代表などを招いて北海道・札幌市内で行う。

4)すべての地域組織などからの参加により、春闘討論集会を兼ねた「第2回全国討論集会」を11月12〜14日に開催し、職場・地域からの運動を交流すると共に99年春闘方針案を討議する。

5)秋年末闘争全体を通して、未組織労働者の組織化と組織拡大を目的意識的に追求する。11月1日〜12月1日を「パート・臨時労働者の総決起月間」としてパート・派遣・臨時労働者の組織化と要求前進を重視したとりくみを行う。

2、労働諸法制の改悪阻止、労働条件改善のたたかい

(1)労働諸法制の改悪阻止、労働時間の男女共通の法的規制を

労基法改悪法案の攻防は臨時国会段階が主戦場となる。先の国会で「継続審議」となった経過には、法案の抜本修正や連合自身の「対案」にも程遠い「裁量問題で本人同意権、実施時期の1年延期(平成11年を12年に)、女子労働者の激変緩和として育児・介護にかかわり時間外労働の年間上限150時間」とする「修正案」のとりまとめに連合幹部が関与したという経過を含んでおり、これを廃案に追い込む短期集中的なたたかいの強化が重要になっている。

労基法・派遣法改悪の先取りが大企業職場を中心に拡大し、労働協約見直しで法改悪成立を前提とした提案の動きが強まっている。これをはね返すため、職場や地域から現行法の違反や法改悪の先取り・導入を許さない運動と一体のものとして、労基法・派遣法改悪法案を廃案に追い込むたたかいを強化する。したがって、職場を基礎に産別、地方・地域一体のたたかいと全労連が軸となり広範な団体・組織で構成する地方・地域での労働法制・「女子保護」連絡会(43都道府県で確立)の運動拡大に努める。連合労組や中立組合に対する要請・対話をさらに強め、一致する要求での共同の拡大を追求する。

1)学習・宣伝を強化するとともに、署名運動を集中的に取り組む。

300万筆(6月18日集約約120万筆)を目標に地方・地域連絡会で具体的な計画目標を設定し、職場・地域から中立組織・団体、連合職場、未組織労働者などへ短期集中で積極的に打ってで、署名運動で改悪反対の世論をつくる。署名用紙はこれまでのものを活用し、参議院へ持ち込むことを前提に、これまで署名をした労働者に対しても再署名を訴える。

2)決議の衆・参院議員、政党への送付

組織・団体および加盟単位組織などのすべての大会・総会などで改悪法案反対の決議を行ない、衆・参国会議員(労働委員)への送付や地元、中央での行動で活用する。

3)地方議会での意見書・決議運動

議会決議の取り組みは、これまで18都道府県で取り組まれ(6月16日現在)、衆議院での議員要請行動などで効果的なとりくみとなっており、さらに強化する。空白29県・地方では6月地方議会での採択運動をすすめる。また、すでに取り組んだ18都道府県でも採択にいたっていない議会は改めてとりくみを具体化する。意見書・決議はただちに政党本部、地元選出議員へ集中するとともに、議員に対しては中央要請行動などで直接わたすなどで活用する。

4)労基法など現行法違反の実態チェック

 労基法や派遣法など現行法の違反、改悪先取り状況について、実態チェック運動をすすめ、報告集を作成。報告書などにもとづく労基局・署交渉(是正・勧告など)、政党・議員への要請行動、マスコミへの発表などを行う。

5)新聞投稿運動

 国会での審議を通じて、問題がいっそう明らかになってきており、新聞投稿運動の取り組みを強化し反対の世論形成をはかる。

6)宣伝の強化

 中央連絡会のチラシ版下などを活用し地域での宣伝、電車・バス車内「えらいこっちゃ」運動を強化する。世論形成のために、「タイム イズ マネー」をシンボルとしたチラシ清刷作成と同ポスターの大量宣伝―全商連、民医連などへ要請。車内吊り広告、意見広告など、宣伝のゾーンを設定し全国・地方で具体化をはかる。

(2)雇用確保、労働時間短縮、人べらし「合理化」反対のとりくみ

多くの労働者・労働組合、諸団体と共同して「雇用・失業対策」を国や自治体、企業にとらせることは、地域経済振興とあいまって最重要・緊急の課題となっている。

 1)全労連の「緊急雇用対策案」を「県内総行動」などで広範な労働組合、諸団体に呼びかけ、幅広い共同を追求しながら、国や自治体、多くの企業に雇用・失業対策をただちに行うよう運動を広げていく。

2)全労連のすべての職場で、賃下げなしの「拘束1日8時間・1週40時間以下」「年間1800時間」「完全週休二日制」の協定・実現を98秋闘の重点課題としてとりくむと同時に、長時間労働・サービス残業をなくすための「労働時間チェック運動」を運動化する。

3)雇用拡大の視点からも、サービス残業の解消や年次有給休暇の完全消化、変形・裁量労働の拡大阻止、深夜交代労働の改善のたたかいをすすめると共に、そのためにも職場の増員闘争を重視する。

 4)不当な解雇や配転・出向など規制する団体協約の締結、「事前協議・同意協定」の締結、「首切りをはねかえす10章」「最高裁判例の整理解雇の4要件」の活用など、職場・地域から首切りやリストラ「合理化」に反対する運動を強めと同時に、解雇規制の法制化をめざす。

 5)正規労働者の労働条件の引き下げや雇用不安のを拡大するような派遣労働者や非正規労働者の職場への導入・拡大を一方的に許さないとりくみと同時に、現に職場にいるパートや非正規・不安定雇用労働者の雇用をまもり、労働条件を改善するたたかいを重視する。

(3)「労働者のいのちと健康を守る」とりくみ

深刻な不況下での雇用不安と長時間・過密労働が多くの労働者に心身共の健康破壊と「安全衛生は二の次」となって表れ、自殺を含む過労死や重大災害が増えるなど「労働者のいのちと健康を守る活動」は、ますます重要な課題となっている。

1)関係団体や学者・研究者、全労連加盟組織と多くの労働組合を結集する「働くもののいのちと健康を守る全国センター」(仮称)の12月結成をめざし、「設立準備会」が行う10月31日〜11月1日の「学習交流集会」の成功と「過労死全国調査」をふまえた「なくせ過労死、守ろう健康」の運動を重視する。

2)自殺過労死の認定基準作りに対する要請・交渉など重視すると共に、労災・職業病の認定・補償闘争でたたかう仲間を支援し、労災認定の改善を求める共同行動を強める。、建設一般などがゼネコンを相手に進めているトンネルじん肺闘争を重視してたたかう。

3)労災保険審査会参与・労災防止指導員や労働関係の審議会などの労働側委員の選出と取り組み状況を地労委、地賃などの委員と合わせ全国的な調査を行い、取り組みを強化する。

(4)雇用における男女平等、実効ある介護休業制度実現などのとりくみ

 99年4月に、「改正」均等法の施行および介護休業法がすべての事業所で施行され、同時に「女子保護」規定の撤廃(施行予定)など、職場の就業規則が大きく変わる。労働者にとって実効ある内容に規則化させるために、職場の要求を結集したとりくみが重要となっている。

1)「改正」均等法の実行を具体的に事業主に迫り、職場の女性差別是正にとりくむ。

2)介護休業制度を実効ある内容で就業規則化させる。

3)「女子保護」撤廃に空白期間をおかないで男女共通規制の法制化をさせるたたかいと 職場での上限規制を就業規則に盛り込ませるようにとりくむ。

4) 臨時国会での民法改正法案の成立にとりくむ。

3、人勧凍結・成績主義導入を許さない公務員の賃金改善、最賃闘争、年末一時金のたたかい

 夏から秋、年末にかけて、労働者の切実な経済要求である公務員賃金の改善、法定最低賃金の改善、年末一時金獲得のたたかいを重視し、各々統一行動を配置して要求実現をめざす。

(1)公務員賃金の改善をめざすたたかい

 1)今年度は、財革法によって「総人件費抑制」が決定されていることなど、「凍結・抑制」の圧力は前年よりもきびしくなっている。加えて人事院が、高齢者の昇給延伸・停止年齢を3歳引き下げる昇給制度の「見直し」改悪を画策している。

 2)公務員賃金をめぐる政府の態度は、「人事院勧告の維持尊重が政府の基本姿勢であり、国政全般との関係を考慮しつつ、その早期完全実施に最大限努力する」(総務庁)など、従来の基本姿勢に固執した回答にとどまっている。また、民間賃上げ状況(2.6%前後)や国営4企業にたいする中労委の仲裁裁定(2.65%)などから、98年人勧が昨年の1.02%を下回るのではないかとの報道もみられる。

3)全労連は、「公務員労働者の生活改善につながる大幅な賃金引き上げ」という要求にもとづき、凍結・抑制反対の立場から公務単産をはじめ民間単産、地方組織とも協力しながら、官民一体での勧告(8月4日頃)前、閣議決定期のたたかいを重視してとりくむ。また、橋本「行革」の本質を明らかにしながら大量宣伝、政府交渉、全国各地の地方自治体などへの申し入れ、共同のとりくみ、労働組合での決議運動などを推進する。

(2)最賃闘争の推進

 1)最賃署名は個人署名・団体署名ともに9月末まで追求する。その推進のため「最賃デー」を具体化し、それを節に宣伝・署名活動をすすめると共に署名推進ニュースを発行する。

2)「最賃デー」を9月と11月に実施する。9月は地方議会にむけて、全国一律最低賃金制の確立と現行最賃の改善、課税最低限の引き上げなどの意見書採択を中心にとりくむ。

11月は下旬の「最賃周知旬間」にあわせて、パート労働者の要求を積極的にとりあげ、行動を具体化する。

 3)産業別最低賃金の新設にむけて、関係単産会議を開催し、共同のとりくみを追求する。

 4)地域別最低賃金の引き上げについて、史上最低の春闘賃上げを受け低額の中賃「目安」答申(7月下旬)が予想されることから、「意見陳述」など各地方審議会での引き上げのとりくみをつよめる。8月段階ですべての地方組織が異議申立をおこなう。  地方最賃審議会委員選任問題で「不服審査請求」をおこなっている地方組織のとりくみを支援する。

(3)年末一時金のたたかい

消費税増税にともなう消費者物価の高騰、ベア・ゼロなど史上最低水準の賃上げ結果によって、労働者の年末一時金にたいする依存度、期待感は例年以上に高まっている。各単産は、組合員の要求にもとづいた要求方式、要求月数・金額、最低保障額などを決め、10月中旬〜下旬に要求書提出、11月上旬から中旬にかけて回答指定日を設定する。交渉にあたっては、目減りしている組合員の年間収入が実質的に増えることを考慮する。 全労連として、11月19日に全国統一行動日を配置し、全国的な統一行動を背景に要求の前進をめざす。

4、医療・年金改悪反対、「行革」、規制緩和反対のとりくみ

(1) 医療・年金改悪反対、社会保障拡充のたたかい

 政府・厚生省は年金・医療・福祉の抜本改悪にむけて、この秋にも各審議会の報告をとりまとめ、99年通常国会で一気に社会保障の総改悪をおこなおうとしている。全労連は医療・年金闘争を社会保障総改悪反対闘争の主軸にすえ、中央・地方における社保協の強化・確立とあわせ、全ての労働者、国民と共同してたたかいを発展させる。

 1)医療・年金改悪反対闘争について

 @ 医療の抜本改革については、厚生省は9月から本格的な審議を再開し、通常国会に法案提出をめざしている。医療改悪反対、97年9月以前に戻せの署名は6月段階で700万筆を超えているが、中央社保協は前回を超える署名運動を展開すること確認している。医師会などをまきこむ世論づくりをしながら、医療福祉審議会への働き掛けを社保協とともに追求する。

 A 年金審議会は9月をめどに報告書をまとめ、臨時国会と並行しながら、法案準備、2月の通常国会に法案提出というテンポで進めようとしている。この秋の年金闘争は大会決定の「年金要求」の全組合員学習を基本にすすめながら、年金審議会の動向に運動の焦点を合せ、厚生省の「5つの選択肢」粉砕をめざす。そのために年金審議会へのハガキ要請(7・8月を集中月間とする)、懇談、申入れ行動(9月)をおこないう。署名運動は中央社保協に結集してとりくみ、全労連として家族を含め1組合員最低10筆程度の集約をめざす。

2)福祉事業法改悪反対、介護保険などの福祉充実を求めるたたかい 社会福祉の儲け本位の営利化、民営化を進める社会福祉事業法の改悪法案が同じく年内最終報告、通常国会に「改正法案」として提出さようとしている。この改正法案は「介護保険法」の実施にもつながる内容をもつもので、内容が理解されていず宣伝不足となっている。年金・医療と同様審議会対策とともに学習、宣伝をおこなう。

 また、介護保険法の実施をめぐって、自治体での具体化がいよいよ本格的に始まり、住民の前にさまざまな矛盾や問題点が吹出している。国への意見書採択運動や自治体要請行動、交渉などを地域の社保協と共同でとりくむ。

 3)宣伝、学習活動の強化

 社会保障総改悪反対闘争を成功させるために、職場、地域での学習、宣伝行動にとりくむことが重要となっている。とりわけ重要なのは教育・学習活動であり、「年金パンフ」や中央社保協作成のビデオなどを活用しながら、職場や地方・地域から「すべての組合員が必ず一回は参加」する学習活動を徹底的に重視する。また、9月から第3金曜日を年金改悪反対全国統一宣伝行動日として、中央をはじめ地方、地域で宣伝にとりくみ、世論の喚起に努める。

4)厚生省交渉・座り込み等

年金・医療・社会福祉事業法改悪反対の要求で、敬老の日の翌日から3日間(9月16日から18日まで)、厚生省交渉と厚生省前座り込みをおこなう。また、審議会への要請や懇談などを継続的におこない対策を強化する。

5)年金フオーラム・地域シンポ等の開催 中央社保協を中心に10月16日に学者、文化人等を交えたフオーラム(2千人規模)をもち、世論に訴える。また、地方・地域で関係団体とも共同して年金・医療・介護問題などでシンポ等をとりくむ。

 6)組織づくりとオルグ、活動家養成

 すべての都道府県に社保協をつくる。あわせて、地域社保協づくりを全労連の地方組織のあるところでの結成をめざす。

(2) 国民本位の行政確立、財界本位の規制緩和に反対するとりくみ

橋本「6大改革」を全体としてとらえ、労働者・国民犠牲の行革・規制緩和、人減らし「合理化」に反対し、中央省庁再編、自治体リストラ、各産業別の規制緩和問題などを国民的規模のたたかいに発展させるため、全労連としてイニシアチブを発揮できるよう努める。

1)行革・省庁再編に対するとりくみ

労働者・国民の生活と基本的権利に重大影響をおよぼす労働福祉省創設、巨大利権官庁としての国土交通省など中央省庁再編と設置法制定問題、また情報公開法や企業団体献金、天下り禁止などの実現を重視し、公務共闘や国公労連など大産別組織・単産の協力を得て地域経済振興、雇用・失業対策を求める「県内総行動」の中で位置づけてとりくむ。

2)地方行革・自治体リストラに対するたたかい

省庁再編と連動する地方行革、「自治体リストラ新指針」、地域経済の破壊、産業空洞化に反対し、民主的行財政と地方自治の確立をめざしてたたかう。そのため、「県内総行動」(県内キャラバン)と一体のものとして、各地方組織から住民団体などとの共同を広げ、国民署名、自治体・議会への申し入れ、地域での懇談会やシンポジウムなどの開催を具体化する。

3)規制緩和反対の共闘のとりくみ

「行革・規制緩和問題労組連絡会」のとりくみを重視する。そのため、大産別共闘のとりくみを強め、中央集会として10月に規制緩和反対中央集会、中央総行動を具体化する(臨時国会の推移もみつつ時期判断〜日比谷野外音楽堂規模)。また、地方から労組連絡会など共同の地方組織作りを重視する。

 「行革を考える国民懇談会」の運動推進のため積極的役割を果たす。また、特殊法人合理化を考える共闘組織などとの連携をいっそう強化する。

 行革・規制緩和、医療・社会保障など広範な国民要求を掲げ、地域からの行動の中で「告発・橋本行革、規制緩和シンポジウム」などを具体化する。

 国会段階では、議面行動、国会請願署名などを推進・具体化し、世論を広げる。

4)たたかいの意思統一と体制強化

行革・規制緩和問題でのたたかいの全国的交流と意思統一を行うため代表者会議を9月中旬に開催する。会議では、橋本行革・規制緩和問題の本質をあらためてとらえ、それに対決する運動を交流するとともに、たたかいを地方・地域から組織しつつナショナルセンター規模の運動として発展させるための意思統一を行う。

5)政策活動などの強化

 行革・規制緩和、内閣機能の強化、独立行政法人の導入、地方行革、行政の民主化などの課題で必要な見解・談話の発表、政策提起などを行う。

 各単産・地方組織などの行革・規制緩和へのたたかい、政財官の癒着構造の打破、情報公開、予算執行の適正化、労働基本権奪還問題など全体の運動を束ねることを重視する。

5、消費税3%減税の実現など国民生活擁護のとりくみ

(1)消費税減税の実現などのとりくみ

 消費税減税は、この間の全労連などの粘り強い運動や参議院選挙やその結果などによって国民世論となり、その実現への新たな展望を切り開くものとなった。また、全労連などが、この間、進めてきた医療も改悪まえに戻し、恒久所得減税の実現など、消費を拡大して深刻な不況を打開するたたかいも新たな有利な状況が生まれている。

この条件を生かすし、消費税廃止各界連絡会に結集し、当面、消費税減税などの実現をめざし、国会解散・総選挙実現と国政を変える運動とも結びつけ、署名・宣伝活動やいっそう広範な団体・個人との共同の実現など旺盛な運動を推進する必要がある。

 1)署名・宣伝活動を大規模にすすめ、消費税減税の実現で一致する広範な団体・個人との共同行動を推進する。

 2)政党・議員・議会への申し入れ、FAX運動(自民党本部や首相官邸)を実施する。

 3)地方議員、首長への働きかけと9月議会にむけ意見書採択運動をすすめる。

 4)各地域などの各界連の活動を再開・拡大する。

 秋以降の具体的な闘争展開については、消費税廃止各界連絡会の全国代表者会議(8月21日予定)の方針などもふまえて具体化する。

(2)震災被災者への支援と災害対策のとりくみ

1)被災者生活再建支援法」にもとづく「基金」設立と予算措置実現をめざし地方自治体レベルの要請行動を取り組む。同時に、欠陥ある同法を補填する独自メニュー要求も行う。

2)秋の政府予算要求段階を含め、阪神・淡路大震災被災者への支援策充実と防災対策充実めざし、省庁交渉を実施する。

(3)農業・食糧問題のとりくみ

1)WTO協定の改定をめざし、全国食健連などが計画している10〜11月の「全国キャラバン行動」の成功をめざし奮闘する。

2)「WTO協定の改定を求める国民署名」運動を継続し取り組みながら、この秋から準備が始まる「食糧自給率を向上させ、国民の食糧と健康、日本の農業を守るためのアピール賛同」運動を成功させる。

6、労働委員会民主化、国鉄闘争、争議勝利にむけたとりくみ

(1)労働委員会民主化闘争

1)中労委労働者委員の任命をかちとる課題は、政府・労働省に全労連を社会的存在として認知させるための結成以来の重要課題であり、中労委に迅速かつ公平な労働者救済機能を発揮させるうえでもきわめて重要となっている。さらに、多くの地労委で不公平な任命が行われている状態を突破するうえで全国的にも大きな影響をあたえる。

2)ことし10月には中労委労働者委員(第25期)の任命が迫っている。今期こそ、全労連も加わる「労働委員会民主化対策会議」(全労連・純中立懇・MIC)が候補者を一本化し推薦している磯崎氏(民放労連顧問)の任命をかちとることが、決定的に重要となっている。

3)10月の任命にむけ、現在とりくんでいる磯崎氏の任命を要請する「団体署名」を8月末目途に1万以上を目標とし、すべての職場地域からとりくむ。また、労働省へむけて毎週の宣伝・要請・大衆行動、衆参労働委員への要請、現職労働委員・OB、学者、弁護士、有識者の推薦アピールなどにとりくむ。

4)7都府県で行われている「任命取り消し訴訟」及び中労委を含めた高裁の勝利判決のために裁判闘争の連携と交流を重視し、「対策会議」を開催する。また、中労委労働者委員24期委員の任命取り消し訴訟は現在、高裁(21〜23期)、地裁(24期)で争われており、この勝利のために、裁判傍聴・宣伝、「労働委員会パンフ」の大量活用をはかる。なお、中労委裁判は、高裁での審理が山場をむかえており特別に重視する。

(2)国鉄闘争をはじめすべての争議解決にむたとりくみ

1)東京地裁における国労採用差別事件での5.28判決、中労委控訴という局面のもとで、「JRの使用者性」に言及した民事19部高世裁判長のもとで行われている全動労採用差別事件の審理が重要になっている。全動労事件は7月30日の審理から今秋にも予想される判決にむけて、裁判闘争を強める。

2)国鉄長期債務28兆円の処理法案が参院選後の臨時国会で重要な焦点となる。国鉄闘争の重要課題として、国民犠牲の処理法案反対、国民合意の処理を求めて全国的な宣伝行動、国会審議山場での国民大運動実行委員会などと協議し国会闘争にとりくむ。

3)1,047人問題の早期解決、国鉄長期債務の国民負担反対、公共交通としての安全体制の確立を一体のものとして国民世論の結集を図る。9月1日の「一の日」行動を特別に重視しするとともに、10月1日の清算事業団の解散を視野に、9月下旬から10月上旬にかけて政府・運輸省、JRに対する大衆行動・宣伝行動を全国的に展開する。

4)国鉄闘争においては、「一致できる要求・課題」での広範な団体・個人との共同を重視し、その集中点として大規模な集会を9月中・下旬頃の開催を追求する。

5)大企業をはじめとする差別・解雇などの争議が重要な局面をむかえており、そのひとつひとつを勝利解決するために引き続き支援と連帯の行動をつよめる。

「国鉄闘争とすべての争議解決をめざす第8回争議支援中央総行動」(10月30日)、「全国争議交流集会」(10月31日)を東京で実施する。

7、新ガイドライン立法反対など平和と民主主義を守るたたかい

あらゆるかたちの核実験禁止、期限をきった核兵器全面禁止国際条約の締結にむけた運動強化と新ガイドライン関連法案(「周辺事態措置法」案、自衛隊法改悪案、「周辺ACSA[日米物品役務相互提供協定]改悪案」を成立させないたたかいの強化が求められている。

 1)新ガイドライン立法反対の「国民連絡会」の行動に積極的に参加し、署名、国会行動などと同時に、職場、地域での学習・宣伝、共同のひろがりをつくることを重視する。

 2)新ガイドライン立法など諸悪の根源である日米安保条約の危険性を見すえ、職場内外の世論と運動をひろげることに努力する。

3)沖縄県民の海上基地建設反対と普天間基地撤去をもとめる運動。米軍による全国各地のNLP、超低空飛行訓練、実弾砲撃演習や日米合同演習など基地強化・固定化策動に反対するたたかいに、ひき続き連帯・支援のとりくみをつよめる。

11月投票の沖縄県知事選挙を全国的な課題として位置づけ、取り組みを重視する。

4)「核戦争阻止、核兵器全面禁止・廃絶、被爆者援護・連帯」の原水爆禁止98年世界大会(国際会議・広島大会・「核兵器をなくそう女性のつどい98」・長崎集会)。「軍事同盟打破、基地撤去」の98年日本平和大会(国際シンポ・集会など)に、職場、地域から代表派遣する積極的とりくみをすすめる。「安保廃棄10・21全国統一行動」を、全国で展開する。

8、国際連帯・交流活動

1)マレーシアでAPEC首脳会議が開催されるにあたって、地域NGOの「アジア・太平洋国民議会」(クアラルンプール、11月10〜15日)が開催され、多国籍企業・独占の利益中心のグローバル化と対決し、労働者・国民の権利と政策要求・課題を提起する。

全労連は国内の他の民主団体・NGOとも協議をすすめつつ、これに積極的に参加し、アジア太平洋地域の労働組合とのつながりを強める。

2)ヨーロッパの運動の経験を学び、交流を深めるためフランスCGTとの交流を今秋中に具体化する。原水爆禁止世界大会・平和行進に参加するインドCITUなど海外労働組合からの参加者と交流する。

3)全労連結成10周年記念事業・国際シンポジウム開催をはじめ、次回ILO総会対策・代表権問題、国際労働組合権利センター(ICTUR)との協力関係強化など、それぞれについて具体的な検討をすすめる。

9、組織拡大・強化のとりくみ

98年度運動方針案では、「組織拡大強化をすべての組織が『力を集中』すべき重点課題」と位置づけ、98年末を期限とする「第2次3ケ年計画」にもとづくとりくみに全力を上げる方向を提起している。組織拡大における秋年末闘争のとりくみを以下のとおりとする。

(1)「第2次3ケ年計画」(96年1月〜98年12月)達成の展望を切り開く

1)9月〜12月に「組織拡大強化」を重点に「力を集中」してとりくむ。そのため、すべての単産・地方は、「県内総行動」「対話と共同」「要求アンケート」などのとりくみと結合し、組織拡大・確立に全力をあげる。

2)単産はそれぞれの産業での影響力拡大、多数派形成をめざし、職場内未組織・未加入者の組織化をはかる。同時に関連職場、産業での組織化を大胆にすすめる。

3)地方は未組織の組織化、地域組織の確立・拡大をはかり、県都での地域組織の未確立を克服する。全労連として5千人未満の地方組織を解消するため「対策会議」を第21回評議員会2日目の午後に開催する。

4)単産・地方代表を含めた「組織拡大推進委員会」を9月中に立ち上げ、組織拡大を推進するとともに、「第3次3ケ年計画」(組織政策)を検討する。

5)「対話と共同」「10万人オルグ大運動」を中心的に担い、組織拡大を本格的に推進する「専門的オルグ集団」の組織化にむけた担当者会議を年内に開催する。

6)中立・単独組合の結集と空白産業・地域に全労連の組織を確立するため、「対話と共同」を追求しつつ広範な労働組合に全労連加盟を意識的にはたらきかける。

(2)不安定雇用・未組織労働者の組織化を特別に重視する

1)組織化の対象は中小企業労働者とパ−ト・派遣・臨時労働者を重視し、「未組織チラシ」の重点的・効率的活用をはかる。

2)「パート・臨時労働者の総決起月間」を11月1日〜12月1日とし、12月1日には東京で「中央行動」を実施する。月間中に全地方で「パート集会」「パートネットワーク」などのとりくみをすすめ、この時期に「パート法改善要求署名」に集中してとりくむ。

3)中小企業・未組織労働者を対象にした「労働相談・ホットライン」を全国一斉(11月16日〜11月21日)に実施し、全地方で「労働相談センター(仮称)」の常設化をめざす。

4)不安定雇用労働者の実態把握の調査を行い「要求と政策」づくりに着手する。また、派遣労働者対策を強める。

5)膨大な未組織労働者を視野に、組織化と結合し、労働共済連と連携し全地方に労働共済の確立をめざし、そのための「担当者会議を」を11月に開催する。

10、99春闘準備と態勢確立

 1)99国民春闘方針案については、第21回評議員会(10月22〜23日)に提起し、評議員会や第2回全国討論集会(11月12〜14日・場所未定)での討論をふまえ、第22回評議員会(99年1月21〜22日)で決定する。

2)99春闘を攻勢的に進めるため「99国民春闘共闘委員会」を早期に発足させ、春闘討論集会で意思統一をはかるとともに、産別・地方・地域における春闘共闘の強化・拡大をはかる。春闘共闘結成の原点である「一致する要求」での広範な労働者、労働組合との「共同」を重視し、中央・地方での「1日共闘」もふくむ「多面的・多様的な」共闘・共同を追求する。

3)春闘解体・変質攻撃が強まる下で、「生活と労働に根ざした」要求づくりを重視して、「春闘パンフ」「検証―大企業の内部留保(ビクトリーマップ)」の内容を改善し、発行する。