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【談話】第211回通常国会の開会にあたって

2023年1月24日
全国労働組合総連合
事務局長 黒澤幸一

 第211通常国会が1月23日に開会した。この通常国会の焦点は、大軍拡を推進して戦争を開始する準備を進める岸田政権に対峙し、物価高騰で苦しむ国民のいのちとくらしを守ることにある。2023年度政府予算案に抜本的組み替えを求め、憲法改悪を許さない国会にする。

 岸田首相は、23日の施政方針演説で「歴史の分岐点に立っている」と述べるとともに、外交には裏付けとなる防衛力が必要だとした。5年間で43兆円の防衛予算を確保することに加え、将来にわたって毎年4兆円の新たな財源の確保を行うとした。一方で、日本の安全保障政策の大転換であるにもかかわらず、「『非核三原則』や『専守防衛の堅持』など平和国家としての歩みをいささかも変えるものではない」とごまかしている。
 大軍拡や敵基地攻撃能力の保有は、平和憲法と相いれるものではない。国民多数の願いは社会保障の充実や景気の回復であり、改憲ではない。故加藤周一氏は、「平和を望むならば、平和を準備した方がいい。戦争を準備しないほうがいいです。準備は容易に本当の戦争の方へ近づいていく。非常に早く強く」と語った。第2次世界大戦後の日本政府は、日本国憲法をもとに外交を進め、国際社会から高い信頼を得てきた。軍拡は戦争の準備に他ならない。

 施政方針演説では、「新しい資本主義」について「物価高対策」「構造的な賃上げ」「投資と改革」を進め、「貯蓄から投資」という流れをつくることで成長と資産所得の好循環をめざそうとしている。しかし、いつ雇い止めされるのかと不安におびえながら働いている非正規労働者が4割を超え、物価高で明日の生活もままならない年金生活者、生きていくのが精一杯という貯蓄なし世帯など、日本で進んでいる格差社会の現実が見えていない。
 必要なことは、すべての人がまともに食べられる、教育費の心配なく子育てができ、老後を安心して過ごせる社会をつくることだ。政府に対する信頼の薄さが納税意識を弱めているが、それは、社会保障や教育などで再分配が不十分であるからに他ならない。構造的な賃上げが必要なことは間違いないが、格差の是正は自己責任ではなく、政府による労働者・国民のための再分配政策が決定的に重要だ。
 その点で子ども・子育て対策を拡充することは優先課題だ。しかし、「出世払い型の奨学金制度」は、返還義務のある貸与型支援であり、かえって格差を拡大する役割をもたらすものである。権利としての教育を保障するために、給付奨学金を拡充するとともに、教育にかかる費用はすべて無償化とするよう強く求める。

 全労連は、大企業の利益優先と自己責任を強いてきた新自由主義を転換し、物価上昇分を超える賃金の大幅引き上げ、軍事費を削減して消費税減税をはじめ、国民のいのちとくらしを守り、中小業者の営業や生業を持続可能なものとする政策と財政支援の実現を求め、全国で2023年春闘をたたかう。
 新型コロナ対策では、2類から5類への見直しに反対するとともに、検査体制や医療・保健所体制の抜本的強化を国の責任で実施することを強く求める。全国一律最低賃金1500円の実現、軍拡と増税を許さないたたかいに全力をあげる。
 4月の統一地方選挙では、労働者・国民の要求実現を可能とする政治への転換をめざし、春闘段階から市民と野党の共闘を発展させる職場と地域からのとりくみを強める。

以 上

 

 
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