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【談話】最低賃金の地域間格差の縮小は地方の奮闘の成果
地方最低賃金審議会の異議審でさらなる引き上げを求めよう

2022年8月30日
全国労働組合総連合
事務局長 黒澤 幸一

 8月2日に中央最低賃金審議会が厚労相に答申した「目安」は、ABランク「31円」、CDランク「30円」、加重平均で961円(3.3%)と、地域間格差を1円広げ222円としました。

 8月23日にすべての都道府県で最低賃金の引き上げ額の答申が出そろいました。今年の特徴は、中賃がABランクとCDランク格差を広げる目安が出されたのに対して、地域間の格差是正を求める地方の奮闘と運動の広がりで、CDランクを中心に目安を上回る改定額を答申したことです。目安を3円上回ったのが5県、2円上回ったのが8県、1円上回ったのが9道県で47都道府県中22道県(46.8%)にものぼり、地域間の格差も221円から219円と2円縮まりました。これは、私たちが主張してきた「全国一律最低賃金制度」の実現を求める運動の成果です。

 「答申」のもう1つの特徴は、中小企業に対する支援を求める付帯決議が増えていることです。
 8月23日に出された岩手県の「答申」の付帯決議は、「中小企業・小規模事業者への実効性のある支援のための現行制度の拡充及び早急な制度創設を次のとおり政府に対し要望する」として、以下の3点を挙げています。@賃上げのための環境整備として、業務改善助成金の拡充、及び賃上げ分を補填するような新たな助成金の早急な創設、A企業間取引の適正化、価格転嫁に関する問題解消等の施策の実行、B賃金引上げに起因する就業調整の原因となる税控除制度の見直しや社会保険料の減免措置等の検討、を求めています。また、滋賀県でも「中小企業、小規模事業者に対し、価格転嫁できる環境と各種支援策を拡充すること」などの要望が付帯されました。これは私たちが中央最低賃金審議会や地方最低賃金審議会への意見書の提出や意見陳述などでの主張が反映されたものです。

 一方、Cランクの北海道が920円に引き上げられたのに対してBランクの山梨が898円と逆転するなどランク制度の整合性が失われており、ランク制度の見直しが求められます。
 また、大分では昨年は意見を述べる場が設けられましたが、今年は設けられませんでした。愛知では、8月4日に開かれた地方最低賃金審議会で、これまで行われてきた関係資料の配布や説明がなされず、一切説明もされずに答申が行われるなど、審議会の民主制・公開性にも課題を残したことは問題だといえます。

 全国労働組合総連合(全労連)は、1989年の結成時から全国一律最低賃金制度の確立を掲げてきました。翌年の1990年10月には「全国一律最低賃金制にたいする全労連の政策」を発表し、最低賃金の決定基準を「健康で文化的な生活を営むために必要な生計費を基本」とすることや、最低生計費は「単身者の理論生計費によって算出」することなどとし、最低生計費試算調査を取り組んできました。これまで、27都道府県で4万6,800人の協力を得て「最低賃金は都市と地方で差がないこと」「月額25万円・時間額1,500円(月150時間)以上必要」であることを明らかにしてきました。

 今、多くの地方で地賃の異議審に対してさらなる引き上げを求めて再審議を求める異議の申し出などが展開されており、全労連も地方の取り組みを全力で支援する決意です。

以上

 
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