TOP 全労連紹介 ニュース オピニオン 労働法制 賃金闘争 憲法・平和 くらし・社会保障 非正規全国センター 全労連共済 青年 女性 English
 
BACK
TOP
オピニオン
 

【談話】第207回臨時国会の開会にあたって

2021年12月6日
全国労働組合総連合
事務局長 黒澤幸一

 第207回臨時国会が12月6日に開会した。約半年ぶりの国会論戦となるが、この間、憲法53条に基づいて野党が臨時国会の召集を求めたにもかかわらず、これを拒否してきた自公政権の強権的対応を改めて批判するものである。同時に、臨時国会では、オリ・パラ強行や無為無策のコロナ対応で多くの国民の命が失われてきたことに対する自公政権の責任をはじめ、国民の命と暮らし、営業を守る抜本的な対策の確立に向けた議論が求められる。自公与党は、総選挙において絶対安定多数の議席を得たといえども、この間に繰り返されてきた強権的な国会運営ではなく、労働者や国民の声と要求を踏まえて真摯に対応するよう強く求めるものである。

 臨時国会では、岸田政権が決定した総額36兆円にのぼる補正予算案が最大の争点となる。補正予算案は、「新型コロナの感染拡大防止」、「社会経済活動の再開と次の危機への備え」、「新しい資本主義の起動」、「防災・減災など安全・安心の確保」の4つが柱とされているが、全労連は、以下の点から抜本的な組み換えを要求する。
 「新型コロナの感染拡大防止」を掲げるものの、PCR検査の抜本拡大や医療体制の確立にはなお不十分と言わざるを得ない。困窮者への支援策も非課税世帯に限定することから、非正規労働者などには届かない。18歳以下への給付金でのクーポン支給にかかる967億円の事務経費増も納得できるものではない。中小企業や個人事業主などに対して持続化給付金や家賃支援給付金を再度支給することが求められる。「新しい資本主義」のもとで、看護師や介護労働者、保育士等の賃金引き上げが盛り込まれているものの、低額で限定的なものであり改善が実感できる水準でも内容でもなく、チームワークを分断するものでもある。大幅な引き上げなどを求める。「安全・安心」を掲げて軍事費に7738億円を盛り込んでいるが、当初予算編成以降の緊急性が要件とされる財政法の趣旨からも許されるものではない。

 憲法9条への自衛隊明記など改憲4項目の実現をめざす自民党は「憲法改正実現会議」へと推進体制を強化し、日本維新の会は国民民主党も巻き込んで憲法審査会での議論促進を主張している。しかし、総選挙中に行われた世論調査で国民が求めた政策は経済・財政政策や新型コロナ対策、社会保障制度などであり、改憲を求める声は少数であった。国民の多数は改憲を求めてはいない。米中対立が強まるもとで、東アジアでの軍事的緊張を緩和するためには、日本の軍事力増強ではなく9条に基づく外交努力に他ならない。国会に求められているのは、憲法改正に向けた議論ではなく、憲法に基づく政治の実施である。

 全労連は、「ケア労働者の大幅賃上げ」「最低賃金全国一律1500円」の要求実現に向けて、全組合員の力を結集し奮闘する。岸田政権による大企業優先政治やアメリカと一体で戦争する国づくりに反対し、総選挙に向けて市民連合と4野党が合意した「共通政策」の実現をめざして国会内外で市民と野党の共闘発展に力を尽くすことを表明する。同時に、「憲法改悪に反対する全国署名」を職場の内外で広げて改憲を阻止するたたかいを強化し、憲法を守り生かす政治を実現するために引き続き奮闘するものである。

以 上

 
〒113-8462 東京都文京区湯島2−4−4全労連会館4F TEL(03)5842-5611 FAX(03)5842-5620 Email:webmaster@zenroren.gr.jp

Copyright(c)2006 zenroren. All rights reserved.