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【談話】改憲をすすめるための改憲手続法改定法案と戦争準備・国民総監視の土地利用規制法案の強行採決に抗議する

2021年6月16日
全国労働組合総連合
事務局長 黒澤幸一

 6月11日、国民投票法(改憲手続法)改定案が参議院本会議で成立を強行したことに続き、土地利用規制法案も深夜に強行、成立させられた。コロナ下で国民の生活苦が深刻化するなか、国会最終盤において徹底審議と廃案を求める国民の声を無視して、憲法を破壊するものであり、強く抗議する。

 改憲手続法は、最低投票率の定めがないことやCM規制、公務労働者の国民投票にむけた活動の制限など2007年に成立したときから付帯決議で示された重大な問題点がなにも是正されず、欠陥法である。参院憲法審査会での参考人質疑で与党推薦者も含めて三者ともに指摘した「国会での熟議が足りない」と指摘する意見を無視した。「公職選挙法ならび」でよしとする今回の改定は、最高法規である憲法改正手続きとして許されない。修正によって措置をとるとされた3年の解釈も与野党で一致していない。
 安倍政権が自衛隊の9条明記や緊急事態条項の創設など4項目での2020年改憲をめざすなかで、その呼び水として同法案の成立がねらわれてきた。立憲主義、民主主義を破壊する安倍改憲に反対する市民と野党の運動の力で、8国会にわたって同法案の成立を許さなかった。今、菅政権からはコロナ対策が進まないことを憲法のせいにし、緊急事態宣言と全く異なる緊急事態条項を意図的に混同した発言が繰り返されている。菅政権のおそまつなコロナ対策によって日々国民のいのちが失われているもとで、改憲4項目の議論ではなく今こそ憲法をいかしたコロナ対策に集中すべきである。

 土地利用規制法案は、「重要施設」とされる自衛隊や米軍、国境の離島、原発などの「生活関連施設」の周辺1キロの土地の利用者、住民および関係者すべてを調査、監視するものである。「重要施設」の周辺の土地を外国人や外国資本から守るためとされているが、防衛省の調査でも外国資本などの所有によって基地運営を阻害した事実は確認されていない。この法は「重要施設」の機能を阻害する行為及びそのおそれがある行為を処罰の対象にしているが、なにをすれば機能を阻害する行為になるのか、法には具体的に示されておらず、あとで閣議決定される基本方針や省令に白紙委任となっている。総理大臣がなにを「重要施設」とし、機能を阻害する行為がどのようなものか、調査の範囲やその方法などすべて決定するというものであり、参院内閣委員会の参考人質疑でも与党推薦の参考人も「歯止めがない」ことを問題視した。国会が関与できず、総理大臣に白紙委任するものであり、改憲派が執拗に求める緊急事態条項を先取りする法といえる。今、南西諸島での自衛隊基地の軍備増強、全国各地での米軍機の低空飛行や軍事演習が繰り返されている。バイデン政権のもとで中国への強硬姿勢が強まり、台湾有事への自衛隊参加が現実化されようとしている。そのような状況で、「安全保障」のために軍事基地から半径1キロ周辺の住民を対象に土地利用の調査と称して広範囲の調査を行うことは、基地や原発反対運動を抑圧、弾圧するためと考える。戦争法、特定秘密保護法、共謀罪とともに土地利用規制法の廃止を求めてたたかう。

 2つの法にもあらわれているように菅政権は安倍政権以上に改憲、強権政治を強めている。国民のいのちとくらしを守るため、立憲野党はそれに代わる選択肢を一刻も早く示すべきである。
 改憲発議反対の運動を強め、改憲反対の運動をいっそう強める。迫る都議選と総選挙で政権交代を実現するため、全労連は全力を尽くす決意である。

以上

 
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