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【談話】国と東電は上告を撤回し、避難者等への謝罪と補償を行え

10月15日
全国労働組合総連合
事務局長 黒澤 幸一

 原発事故訴訟では最大の原告となる約3700人による「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟について、仙台高裁は9月30日に一審に続いて国と東京電力の責任を断罪する画期的な控訴審判決を下した。控訴審判決を踏まえて、避難者などに対する謝罪と損害賠償に応じなければならない国と東京電力が10月13日に最高裁に上告したことに断固抗議するものである。

 仙台高裁の判決では、東京電力に対して、「長期評価」などの重大事故の危険性を示唆する新たな知見に接したものの、新たな防災対策を極力回避しあるいは先延ばしにしたいとの思惑のみが目立つものであったと指摘している。そして、国に対しても、不誠実な東京電力の報告を唯々諾々と受け入れたものであり、規制当局に期待される役割を果たさなかったとし、双方の責任を断罪している。津波による過酷事故の発生が想定されたにも関わらず、利益優先でその対策を怠ったものであり、国と東京電力の罪の深さは尋常なものではない。

 判決は、政府の地震調査研究推進本部が2002年7月に策定した海溝型地震の発生可能性にかかる「長期評価」について、多数の専門学者が参加した国の機関である地震本部が発表したものであり、「相当程度に客観的かつ合理的根拠を有する科学的知見であったことは動かし難い」とし、「遅くとも2002年末頃までには10mを超える津波が到来する可能性について認識し得た」として予見可能性を明確に認めた。また、また重要機器室やタービン建屋の水密化等の対策により事故発生防止の可能性があったとして、国と東京電力の過失責任を認めたものである。

 原発事故から10年が経過しようとするもとで、いまだに故郷を追われて県外での避難生活を余儀なくされている県民は、福島県の発表でも約3万人にのぼっている。原発事故の収束のめども立たないもとで、避難者等の救済に背をむける国と東京電力の対応を許すわけにはいかない。上告は直ちに取り下げ、加害責任を認めるとともに、謝罪と補償を行うよう強く求める。
 全労連も参加する原発をなくす全国連絡会は、原発事故から10年を迎えるもとで本年11月から来年10月までの1年間のとりくみとして、原発ゼロと再生エネルギーへの転換を求める1千万署名を軸にした「福島の真の復興と原発ゼロ基本法の制定をめざす大運動」を提起している。全国各地でたたかわれている国と東京電力の責任を問う原発訴訟の勝利とあわせて、原発ゼロを実現するために奮闘するものである。

以上

 
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