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【談話】消費税の廃止こそが労働者の生活を向上させる

2019年10月1日
全国労働組合総連合
事務局長 野村幸裕

 安倍政権は本日、国民の反対や危惧の声に反して、消費税率の10%への増税を強行した。全労連は、労働者・国民の生活が困窮している中での5兆円もの負担増は更に貧困と格差を拡大し、景気を後退させるものであり、断固抗議する。
 併せて4月以降、予算委員会を一度も開かず国会・国民への説明を行ってこなかった安倍首相は首相の責任を果たしていないものであり許されない。
 全労連は安倍政権の誤った経済政策を労働者・国民本位に構造的に転換させるためにも、消費税の廃止を視野に、緊急に減税措置を実現させるためのたたかいを拡げ、強化する決意である。

 消費税は所得の少ない人ほど負担が重くなる逆進性の税制である。そもそも政府による所得間調整機能に反する。さらに度重なる増税によって中小企業の営業が困難になっている。GDPも97年から17年間に10%しか伸びておらず、大企業の内部留保のみが第二次安倍政権発足以降116兆円増やし、446兆円に達する中での消費税の増税は経済の悪循環をさらに促進する。
 そもそも消費税の増税は財界の意向によるものである。1989年4月に3%で導入した消費税に対して、財界は96年「魅力ある日本経団連ビジョン202O」 で消費税率を97年に5%、2000年に7%、05年に12%に引き上げる試算を示した。これを受けて97年橋本内閣は5%に、14年に安倍内閣が8%にそれぞれ税率を引き上げた。
 消費税導入の理由に挙げた社会保障は88年と今年を比較すると労働者の窓口負担がl割から3割に、国民健康保険料のl人当たりの年額が約5万6千円から9万円に、厚生年金の支給開始年齢が60歳から段階的に65歳に、国民年金保険料が月額7千7百円から約1万5円に介護保険料もO円から全国平均約5千9百円と負担も給付も改悪されている。財政収支も88年に約2兆円プラスであったものが93年以降マイナスに転じ、IMFの4月推計によると19年はマイナスl兆6千億円となっている。財政再建の役割も果たしていない。その要因は、消費税累計額397兆円に対して、法人3税減収額累計298兆円、所得税・住民税減税275兆円、合計573兆円という格差拡大政策にある。大企業や大資産家、高額所得層に対して消費税導入前の税率での課税を行うことによって、消費税減税はもとより多くの労働者・中小企業・国民に対する各種税の減税措置が可能なことを示している。更に中期防衛力整備計画(19年から5年間)に要する費用は約27兆47百億円であり、消費税増税5年分に相当する。税金の集め方も使い方も変えることによって消費税減税は可能である。
 さらに今回の増税に合わせて軽減税率の導入による制度の複雑化、キャッシュレス推進という他の政策課題と抱き合わせた暫定緩和措置、中小企業の税負担を大きくし、小規模事業者を市場から撤退させるインボイス制度など混乱の中で増税感の緩和を図ろうとしている。簡便な税制こそが民主的税制を支えるものである。それぞれの問題点を実態から告発し、増税による混乱を回避させるとともに消費税増税政策を労働者への減税政策に転換させる運動へつなげていく。

 全労連は、資本主義社会において発生する経済的格差を福祉・教育・環境・食料・社会参加など社会的格差にさせないために果たす政府の所得間調整機能の発揮を求めていく。労働者の賃金を実質的に増やすこととなる消費税の税率引き下げの運動を大いに広げていくことをここに表明する。

以 上

 
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