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【談話】民意を蹂躙し、法を無視した国の暴挙に強く抗議する
- 国土交通大臣による辺野古埋め立て承認撤回の執行停止決定について -

 10月30日に石井国土交通大臣は、沖縄県名護市辺野古での米軍基地建設をめぐり、沖縄県が8月31日に行った埋め立て承認撤回処分の執行停止を決定した。
 9月30日の沖縄県知事選挙でも明確に示された沖縄県民の民意を踏みにじり、県知事の権限を行政不服審査制度の濫用で制約するという民主主義と法治主義を蹂躙する暴挙に、満身の怒りを込めて抗議する。

 石井国土交通大臣は、執行停止の理由として、「普天間飛行場周辺の危険性除去や騒音被害防止を早期に実現することが困難となるほか、日米同盟にも悪影響を及ぼしかねないという外交・防衛上の不利益が生ずる」と記者会見で述べた。
 この決定は、繰り返し示されている民意よりも政府の辺野古での基地建設計画を優先したものである。また、防衛大臣が埋め立て承認の条件に違反して貴重な自然資源の保護策をとらず、新たに判明した活断層への対策や軟弱地盤対策もとらないという不法行為を不問にしたうえの政策優先の決定である。石井国土交通大臣が言う「不利益」とは、辺野古新基地建設を国策とする政府の意向が損なわれることを指しているに過ぎない。国による自作自演の証左であり、安倍政権の権力的な姿勢を如実に示している。
 この決定に対し、玉城デニー沖縄県知事は「自作自演の極めて不当な決定と言わざるを得ない。公平性・中立性を欠く判断がなされたことに強い憤りを禁じ得ない」と批判した。その批判は正当であり、同じ立場を共有する。

 10月17日の岩屋防衛大臣による不服審査請求と執行停止申立てに対し、110名の行政法の学者が制度の濫用を厳しく批判した。
 行政不服審査法が、国民の権利救済を目的にし、行政機関を相手方とする処分については行政不服審査法7条の2で明示的に適用除外とされていること、国に対する公有水面の埋め立て承認制度と国民に対する埋め立て免許制度等は区別されていること、などを根拠とする道理を尽くした批判である。この批判に対して石井国土交通大臣は、承認撤回による不利益は「私人も国も変わらない」と強弁し、立法趣旨や法律違反について説明責任も果たしていない。安倍政権の体質そのものである。

 安倍政権が、行政不服審査制度を濫用してまで辺野古への土砂投入を急ぐのは、安倍政権が追いつめられていることの裏返しでもある。国際情勢の危機感の口実とされてきた朝鮮半島での緊張緩和をはじめ、周辺状況の変化、アメリカ海兵隊の任務や移動の実態によって「辺野古に絶対基地はつくらせない」との県民の総意、結束が強まった。同時に、沖縄県民と連帯した私たちの「普天間基地の即時閉鎖・撤去と辺野古新基地建設断念」を求める運動が世論の変化を生んできた。テレビ朝日の世論調査で51%が「辺野古への米軍基地建設を良いと思わない」と回答し、マスコミでも「辺野古基地は白紙に」の社説を掲げ始めている。
 政府の立憲主義無視の姿勢を許さず、私たちの生活と労働を保障させ、民主主義と平和を守るため、沖縄の仲間と固く連帯し、全国でさらに運動を拡げ、強める決意である。

2018年10月31日

全国労働組合総連合
事務局長  野 村 幸 裕

 
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