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【談話】最低賃金の目安小委員会報告について

 厚生労働省の最低賃金審議会目安小委員会は7月27日午前0時過ぎ、「労使の意見の隔たりが大きく、遺憾ながら目安を定めるには至らなかった」として、全国加重平均を時給24円引き上げ、822円とする公益委員見解を示し、目安小委員会の報告として確認した。

 全国加重平均24円は、昨年度実績の18円を6円上回り、目安が時給で示されるようになった2002年度以降で最も高い引き上げ額ではあるが、ワーキングプアや実質賃金の低下による消費低迷が大きな問題となるなかでは、不十分な目安として批判されねばならない。
 今回の公益委員見解は、「ニッポン一億総活躍プラン」など安倍政権の意向に強く配慮したものとなったが、年3%程度の引き上げを続けても、全国加重平均1,000円への到達は7年後の2023年である。あまりにも遅々とした引き上げであり、経済的な波及効果も限定的に止まる。

 また、Aランク25円、Bランク24円、Cランク22円、Dランク21円と、地域間格差がさらに拡大する目安報告となったことも容認できない。もし、目安どおりに改訂されたとすると、最高額は932円、最低額は714円であり、格差は218円にひろがる。これでは、若者などの地方からの流出が続くことは明らかである。
 全労連は、全国各地で「最低生計費試算調査」を実施し、その結果をもとに政府や審議会に対する要請を強めてきたが、調査結果からは全国どこでも22〜24万円(時給1,500円程度)が必要となっており、大きな格差は存在しない。ランク分けという現行制度の制度的な矛盾があらためて明らかになったといえる。

 全労連はこの間、「社会的な賃金闘争」を強化し、とりわけ最低賃金については、全国一律最低賃金制度の実現を求めるとともに、「今すぐ最賃1,000円以上」の実現を求めてとりくみを強めてきた。こうしたもとで、先の参議院選挙では与野党を問わず、ほとんどの政党が「最賃1,000円」を掲げ、選挙戦でも大きな課題として浮き彫りになった。
 全労連はあらためて、安倍政権と最低賃金審議会に対して、「今すぐ1,000円」の政治決断を強く求めるとともに、目安答申を受けて本格化する各県の地方最低賃金審議会の改定論議に対しては、目安答申を上回る積極的な改訂、とりわけ、C・Dランク県での格差是正を求めて、全国各地でとりくみを集中的に展開していく決意である。
 また、今年度の目安報告からも現行制度の制度的な限界が鮮明になったもとで、生計費原則に基づいて、すべての働く人に人間らしい最低限の生活を保障する「全国一律最低賃金制度」を実現する運動を抜本的に強化していく。

 2016年7月27日

全国労働組合総連合
事務局長  井上 久

 
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