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【談話】女性の活躍推進法案の成立にあたって

 本日、参議院で女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案(女性の活躍推進法案)が賛成多数で可決成立した。
 同法案は女性の職業生活における活躍を推進するために、国、地方公共団体、民間事業主の責務を定め、従業員301人以上の企業の事業主に対して、(1)女性採用比率、(2)勤続年数の男女差、(3)労働時間の状況、(4)管理的地位にある女性の割合などを把握し、改善すべき点を分析して、数値目標・行動計画を策定し、それらを公表することを義務付けるものである。

 現在、働く女性の6割が非正規雇用労働者であり、正規雇用であっても、雇用管理区分で総合職採用に占める女性の割合は1割に過ぎない。この結果、女性の平均賃金は男性の半分(男性平均年収511万円、女性272万円/2014年9月発表・国税庁民間給与実態調査)に過ぎず、ワーキングプアと言われる年収200万円以下が44.9%となっている。
 女性の活躍推進法案に求められていたのは、雇用管理区分・雇用形態による差別によって、働いても貧困状態から抜け出せない女性労働者を視野に入れて、すべての女性労働者が正規雇用や昇格・昇進から排除される仕組みを是正する有効な手立てを盛り込むことであった。この点において、成立した女性の活躍推進法案は不十分といわざるを得ない。
 とくに、法案審議において、女性差別の実態が端的に現れる賃金について、事業主が実態を把握し、改善計画を策定する項目に入れよと意見が出されたが、盛り込まれなかったことは問題である。また、実態の公表内容が企業任せとされたことで、恣意的な数値が公表される懸念をぬぐえない。
 法の実効性を高めるためには、労働者側から差別が指摘されれば、企業に差別がないことの立証責任を課す必要がある。今後策定される省令・指針では、実効性ある具体的な措置が求められる。

 衆議院の審議において、労働者全体の長時間労働が問題視され、女性の活躍を阻害している状態把握項目に「労働時間の状況」を盛り込む修正がなされたことは一歩前進である。
 しかし、今通常国会には労働基準法の改悪法案が提出されており、労働時間の規制緩和により、女性労働者がますます正規雇用から排除されることが懸念される。また、「多様な働き方」に資するなどとして労働者派遣法改悪法案が審議されているが、女性労働者のなかで今まで以上に不安定雇用が増えることが懸念される。女性の活躍促進のためにも、両法案は廃案にし、男性も女性も、すべての労働者が人間らしい働き方を実現できるようにすることが求められる。
 全労連は、女性労働者に対する差別を改善し、すべての労働者が仕事と生活を両立させながら人間らしく働けるようにする条件整備のために、今後とも運動をいっそう強めていく。

 2015年8月28日

全国労働組合総連合
事務局長 井上 久

 
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