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【談話】川内原発再稼働を厳しく糾弾する

 九州電力は本日、川内原発1号機(鹿児島県薩摩川内市)を再稼働させた。
 福島第一原発事故すら収束していないもとでの、再稼働など断じて許されるものではない。全労連は九州電力と安倍政権の無責任な姿勢を厳しく糾弾し、現地・鹿児島や全国の仲間と力をあわせて、再停止を早急に実現するため、運動をいっそう強化していく決意である。

 第一に指摘すべきは、巨大噴火への備えなど安全に重大な懸念があることだ。安倍首相は「世界一厳しい安全基準に合格した原発は順次再稼働させる」と繰り返しているが、そもそも原子力規制委員会は、新規制基準に合格しても「100%の安全」という意味ではなく、安全宣言ではないという立場だ。
 とくに川内原発の場合は、周辺に活火山があることから巨大噴火の危険が指摘されている。九州電力は観測を継続し、噴火の兆候を感知すれば対応は可能としており、安倍首相も「川内原発の運用期間中は(破局的噴火の)可能性は十分小さいとの報告を受けている」と答弁しているが、火山の専門家からは「数十年先に起こる事象を正しく予測することは不可能」と批判されている。専門家の指摘さえ無視する安倍政権と九州電力の姿勢は、新たな安全神話にほかならない。

 第二に指摘すべきは、避難計画が不十分であることだ。鹿児島県は5キロ圏内の避難を優先し、その後に30キロ圏内が避難という計画を策定したが、肝心の避難訓練は先送りされたままだ。計画どおりに避難ができるのか、お年寄りや傷病者、障害のある方などの避難がスムーズにできるのか、何の担保もない。くわえて、ヨウ素剤の住民への配布も一部に止まっている。
 住民のいのちと安全を軽視する安倍政権と九州電力の姿勢は許されない。

 第三に指摘すべきは、今回の再稼働は世論に真っ向から挑戦するものであることだ。各種世論調査でも、再稼働に「反対」は6割前後を占め、地元・鹿児島でも「反対」が増えて6割に達している。
 周辺住民からは住民説明会の開催が求められていたが、九州電力はそれすら拒否した。安倍政権も「どういう形で住民の理解を得るかは個々の事業者にまかせている」(宮沢経産大臣の国会答弁)などと無責任な態度に終始している。

 以上のとおり、川内原発の安全性はなんら担保されていないのであって、福島第一原発事故の教訓はいかされていないといわねばならない。
 安倍首相は「省エネルギーと再生可能エネルギーの最大限の導入をすすめ、できる限り原発依存度を低減させる」などと繰り返しているが、これも世間をあざむくものだ。政府の新エネルギー政策では、2030年時点の電源構成で原発の比率を20〜22%としているが、これを達成するには原則40年の運転期間を超えた老朽原発の稼働や新たな原発の新増設も必要になる。
 したがって、川内原発の再稼働は、伊方原発をはじめ多くの原発の再稼働の突破口にほかならない。全労連は「全国はひとつ」の思いで、世論と行動をさらに強めていく。

 2015年8月11日

全国労働組合総連合 
事務局長 井上 久

 
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