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【談話】労働法制の根幹崩す残業代ゼロ法案の撤回を求める

 安倍政権は本日、いわゆる残業代ゼロ制度の新設を含む労働基準法等の大改悪法案を閣議決定し、国会に提出した。同法案は、法案要綱を審議した労働政策審議会の答申にさえ「認められない」という労働者代表委員の意見が付けられたように、三者構成という基本原則を逸脱し、経営側の主張に偏重した瑕疵ある法案であり、とうてい容認できない。撤回を強く求める。

 安倍政権は、「長時間労働を抑制するとともに、労働者が、その健康を確保しつつ、創造的な能力を発揮しながら効率的に働くことができる環境を整備する」ことが目的などと説明するが、実際にはいっそうの長時間労働を強いるものにほかならず、看板に偽りありといわねばらない。
 労働時間短縮措置として盛られた内容は、「著しい長時間労働に対する助言指導を強化するための規定の新設」「企業単位での労働時間等の設定改善に係る労使の取組促進」など、極めて実効性の乏しい内容となっている。労働時間の上限規制は経営側の反対を理由に見送られたが、過労死や健康破壊が後を絶たない日本の異常な長時間労働を改善するためには、現行の限度基準(月45時間)の法定化など、労働時間の上限規制が必要不可欠だということを強く指摘しておく。

 同法案の最大の問題点は、「高度プロフェッショナル制度」という名称で、労働時間規制の適用除外制度、いわゆるホワイトカラー・エグゼンプションが盛られたことである。
 「残業代ゼロ」「定額・働かせ放題」などの批判が強まるなか、安倍政権は「高収入の専門職に限定。希望者のみ」などと言い訳を強めているが、高収入だからといって、業務上の指揮・命令を受けて働く一般労働者の心身の健康をまもる労働時間規制を外してよいはずはない。労働者に対して労働時間の裁量を保障する規定もおかず、「労働時間ではなく、成果で評価する」というのだから、成果達成に向けた業務命令のもと、際限のない長時間労働になることは必至であり、「過労死促進法案」にほかならない。
 くわえて、企画業務型裁量労働制やフレックスタイム制の大幅な要件緩和も盛られた。安倍政権は「企画業務型裁量労働制の見直し」というが、盛られた「課題解決型提案営業」と「裁量的にPDCAを回す業務」の内容は、「企画、立案、調査及び分析という相互に関連し合う作業を組み合わせておこなうことを内容とする業務」という企画業務型の概念そのものを曖昧にし、対象労働者を大幅に拡大するものとなっている。また、労働者派遣の専門業務にみられるように、大量のグレーゾーンがうまれ、規制が働かなくなることが強く危惧される。

 今回の法案の本質は、8時間労働制という労働者保護法制の根幹を掘り崩すものである。このような改悪が実現すれば、労働者は無権利状態に置かれ、いっそうの長時間労働に駆り立てられることは明らかである。
 全労連は、男女がともに人間らしく働ける労働時間の短縮と雇用の安定を求めるすべての労働組合、市民との共同をいっそう強め、日本中をブラック企業にしかねない大改悪法案を廃案に追いこむために全力をあげる。

 2015年4月3日

全国労働組合総連合 
事務局長 井上 久

 
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