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【談話】低額・格差拡大の目安を乗り越え、時給1,000円に向けた着実な前進を
― 2013年度の中央最低賃金審議会目安に関する小委員会報告についての談話 ―

 1.本日、中央最低賃金審議会の目安小委員会が、2013年度の地域別最低賃金の引上げ額の目安をまとめた。Aランク19円、Bランク12円、C・Dランク各10円の引上げを妥当とするもので、加重平均では14円アップとなる。厚生労働省により最低賃金が生活保護を下回ったと認定された11地方中、10都府県の乖離はこの目安で解消され、北海道のみ22円の乖離を2年以内で解消すればよしとしている。
 3年ぶりに10円台の目安をまとめた審議会の尽力には敬意を表したい。しかし、参議院選挙前に政権政党が強調した「2%超(15円以上)実現」を下回ったことや、地域間格差をさらに広げたこと、1,000円への接近はもとより、800円以下を早期になくすとの労使合意には程遠いことなど、低賃金と格差の解消を強く求めてきた労働者の目線からすれば、期待外れの目安と言わざるをえない。
 とりわけ地域格差の拡大については、C・Dランク地方から強い不満が起こるはずである。目安どおりの改定が行われるならば、最高と最低の差は時間額207円。年間1,800時間働いて372,600円の違いとなる。「賃金格差が過疎を生み、地域振興や震災復興を阻害している」との地方の訴えを軽視したランク格差の付け方に対しては、金額決定権のある厚生労働大臣による再検討と是正を求めたい。

2.今年は諮問の場に厚生労働大臣が出席し、「予想される物価上昇率2%を超える賃金上昇で経済の好循環を」と述べて最低賃金の引上げを要請した。また、労働者側委員は、経済成長の視点に加え、格差・貧困問題への対処という点から、あるべき最低賃金の水準を議論した上で引上げるべきと主張した。
 ところが、使用者側委員は、最低賃金の引上げが、そのまま中小企業の経営難・雇用抑制につながるとの論調で引上げに抵抗し、規模29人以下の事業所の「賃金改定状況調査」の賃金上昇率(平均0.8%)重視を主張して、引上げにブレーキをかけた。
 中小零細企業の賃金上昇率と最低賃金の改定率を揃える考え方では、中小の賃金相場と最低賃金との均衡が保たれるだけで、低すぎる最低賃金をまともな水準に改善することはできない。「賃金改定状況調査」で注目すべきところは、賃金上昇率ではなく、賃金水準である。パート労働者の時間当たり賃金は平均996円、一般労働者の時間当たり賃金は平均1,469円あり、最低賃金を大きく上回っている。

3.また、今年の目安審議では、成長戦略に基づく「上げ幅論」が取り上げられる一方で、「できる限り早期に全国最低800円を確保し、景気状況に配慮しつつ、2020年までに全国平均1,000円を目指す」とした「雇用戦略対話」の合意がないがしろにされた。労使合意が成立している到達目標が、審議もされず、目安小委員会報告でも言及されていないことは大問題である。中央最低賃金審議会は、憲法、労働基準法、最低賃金法の趣旨をふまえた、あるべき最低賃金の水準を明らかにし、そこに至るプロセスとして「雇用戦略対話」合意を活用した改善計画を作るべきである。審議の在り方の見直しを、審議会と政府に対して求めたい。

4.全労連は、春闘から夏季闘争にわたり、中央・地方で数次にわたる統一行動を配置し、最低賃金引上げの運動を進めてきた。被災地をはじめとするC・Dランク地方で起きている「賃金格差に起因する労働力流出」問題を把握し、復興と生活再建、地域振興のためにも最低賃金の大幅引上げと地域格差の是正が必要であることを明らかにした。また、生計費原則に焦点をあて、最低賃金が目指すべき水準を明らかにする運動を各地で展開して、その成果を審議会にも提供してきた。
 今後、各地方最低賃金審議会が本格審議を開始する。全労連は、審議会と労働局が目安を大きく踏み越える改定を決断するよう、全国の仲間に要求に基づく積極的な運動を強めることを呼びかける。併せて、多くの未組織労働者に全労連運動への参加を訴える。

   2013年8月6日

全国労働組合総連合  
事務局長 小田川 義和

 
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