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【談話】民主党・野田政権発足にあたって

 本日、民主党・野田佳彦氏を首班とする政権が発足した。約5年で6人目の首相が誕生する日本の政治状況は、「回転木馬」(ワシントンポスト・8月27日付け)と指摘される「機能不全」に陥っている。そのことの悪影響は、3月11日の東日本大震災からの復旧、復興事業の遅れや、東京電力福島第一発電所事故で大量に放出された放射能による被害が広がり続けていることに端的にも表れている。
 政治の「機能不全」が、現在最も困難な状況におかれる震災被災者や、90年代後半からの雇用破壊で大量に作り出されたワーキングプア、無年金者などの生活弱者などに最も深刻な影響を及ぼしている。新政権には、困難を抱えている国民に寄り添う政治を強く望む。

 しかし、8月30日に指名された野田新首相が真っ先に行ったことが、自民、公明両党首と会談し、子ども手当や高校授業料無償化など09年総選挙「公約」の廃止・見直しを内容とする「3党合意」の遵守表明であった。政権への期待は、発足時から裏切られた。
 また、野田新首相は、社会保障と税の一体改革や、大震災復興を口実とする庶民増税、TPP(環太平洋経済連携協定)参加などを、民主、自民、公明3党の協議を重視して進めるという大連立重視の姿勢を明確にした。このような政治姿勢に、経団連などの財界団体が強い歓迎姿勢を示し、政権への協力姿勢を打ち出すという「応援」が始まっていることも見過ごせない。大連立体制下で、財界奉仕の政治が一気に加速する危険性は強い。

 3.11大震災、福島原発事故を経た日本では、輸出大企業の国際競争力強化の一方で踏みつけられてきた地域経済や中小零細企業の疲弊状態への不満が高まっている。雇用劣化と賃金低下を主因に内需が縮小し、経済効率最優先の構造改革が社会保障を空洞化させてきたことへの疑問が強まり、見直しを迫る動きが強まっている。
 象徴的なのは、産業政策を優先して安全対策を欠いたまま増設され続けてきた原子力発電に依存したエネルギー政策からの撤廃を迫る動きである。水産特区構想など、大企業中心で上からの震災復興を進めようとする宮城県などの動きに対する漁業者などの激しい抵抗である。これらは、大企業中心の政治と国民との矛盾の表面化に外ならない。

 政党の組み合わせと談合の大連立によって財界などが求める国民いじめの悪政を進めることと、国民意識の変化との矛盾が深刻化することは確実である。
 被災者が主人公の震災復興を求め、原発事故の早期収束と東京電力による損害賠償を要求し、原発ゼロをめざすエネルギー政策の転換を迫り、円高に苦しむ中小零細企業・事業者への対策と安定した良質な雇用と社会保障拡充を要求するなどの全労連の運動は、悪政と国民要求との矛盾を明確にし、政治の転換を大きな流れを作り出すことは確実である。
 全労連は、財界奉仕の政治への回帰を強めることが確実な野田政権との対決の場として2011年秋闘を位置付け、要求の一致点での共同とたたかいを前進させる。

  2011年9月2日

全国労働組合総連合
事務局長  小 田 川 義 和

 
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