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【談話】道理なき公務員賃金の引き下げに反対する

 菅内閣は、5月13日の閣議で、「俸給・ボーナスの1割カットを基本とする国家公務員給与の引き下げ」の方針を決定し、今通常国会に「給与法案」の提出をねらっている。
 この方針は、民主党政権が09年の総選挙のマニフェストでかかげた「公務員総人件費2割削減」の達成とともに、昨年の民主党代表選挙での菅首相の公約だった「人事院勧告を上回る給与の引き下げ」にもとづいて、昨年来、政府部内で検討されてきたものである。

 公務員の労働基本権制約下において、その「代償措置」としての人事院勧告にもとづかない給与法案の提出は前代未聞であり、そもそも、労働基本権保障をさだめた憲法28条に明確に違反することとなる。しかし、政府は、協約締結権の回復をはかる公務員制度改革関連法案が今国会に提出されることも視野に入れ、「極めて異例の措置」などとして、法案提出を強行しようとしている。そのこと自体、断じて許されるものではなく、「1割カット」の方針はただちに撤回すべきである。

 問題はそれだけにはとどまらない。国家公務員の賃金引き下げは、当然のことながら、地方公務員や教職員、医療・福祉など、公務・公共関連労働者の賃下げとも連動し、さらには、民間労働者の賃金にも影響をおよぼすこととなる。すでに、地方公務員給与に充てる地方交付税の10%削減の動きが伝えられており、財政難にあえぐ自治体への影響も避けられない。
 いま、東日本大震災が日本経済や国民生活に打撃をあたえているもとで、賃下げは個人消費を冷え込ませ、景気をさらに悪化させることとなる。労働者の賃上げと雇用確保による景気回復が求められていることとも逆行するものである。
 政府は、「国の厳しい財政事情」を今回の賃下げの理由としているが、もともと膨大な国の借金は、「構造改革」路線など歴代政権の失政のもとで積み増しされてきたもので、そのツケを国家公務員に回すことは認められるものではない。
 さらに、この間、東日本大震災が発生するもとで、政府は、賃下げの口実を震災復興の財源確保などとすりかえつつ、公務員の賃下げを露払いにして「震災復興税」と称した消費税増税など新たな国民負担をねらっていることも重大である。

 いま、政府がやるべきことは賃下げなどではなく、最低賃金の大幅改善など政治の力で労働者の賃金を底上げし、暮らしと雇用、国民生活の改善をはかることである。全労連は、すべての労働者・国民にかかわる問題として、公務員賃金引き下げに反対し、被災地はもとより全国各地で奮闘する公務労働者の賃金・労働条件改善、公務・公共サービスの拡充を求めてたたかう決意である。

2011年5月19日

全国労働組合総連合(全労連)
事務局長  小田川 義和

 
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