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【アピール】今こそ、「消費税10%」を許さない声を大きく

 参議院選挙が始まり、消費税をはじめとする税制が一つの争点になってきました。
 菅首相が、6月21日の記者会見で税制改革にふれ、「超党派での本格的な論議」、「(消費税率は)自民党が提案している10%を参考に」と述べたことが契機です。
 菅首相は、当初、「(消費税10%は)公約と受け止めていただいて結構」とも述べました。

 民主党の参議院選挙公約(マニフェスト)では、「消費税を含む税制抜本改革の協議を超党派で開始」、「法人税率は簡素化を前提に引き下げ」としています。
 自民党は、「消費税率10%に引き上げ、法人税率を20%台に引き下げ」ることを掲げています。「新党改革」や「たちあがれ日本」も、実施時期が違うだけで自民党と同様の主張を掲げています。「みんなの党」は、消費税には触れず、法人税引き下げを主張しています。
 法人税率引き下げは、日本経団連など財界が強く求めているものです。その財界の要望にこたえるために、消費税率の引き上げをめざす大連合が形づくられようとしています。それが、参議院選挙が始まってからの状況の大きな変化です。
 今、消費税率引き上げ反対、「消費税10%」は許さない、の声を上げ、行動しなければ、参議院選挙後に、消費税増税と法人税減税が、一気呵成に進む危険性が生まれています。

 民主党が描く消費税増税のスケジュールが、2010年度末までに税制関連法案をまとめて成立させ、2012年度以降に実施するものであることも明らかになっています。改めて総選挙を実施して、消費税率引き上げを国民に問うというスケジュールではありません。
 今回の参議院選挙が、消費税率引き上げを許すか否かの選択選挙になってきました。

 生活必需品である食料品や衣料にもかかる消費税は、所得の少ない人により大きな負担を強いる逆進性の強い税金です。消費税中心の税制にすることは、富の再配分機能を低下させ、社会保障の機能を低下させて、貧困と格差をさらに深刻にします。
 商品価格に転嫁できる大企業は消費税を1円も負担しなくて済みますが、それが出来ない中小零細企業・事業者は、消費税率引き上げが経営を直撃することは必至です。
 1円も消費税を払っていなくても、商品を輸出する大企業には「輸出戻し税」が還付されています。05年度には、トヨタなど輸出上位10社だけで、消費税収の23%に相当する1兆円が還付された「実績」があります。消費税率引き上げは、このような大企業の「益税」をさらに増やすことにもなりかねません。
 これらは、消費税が導入されてからの20年余りで、検証される事実です。

 民主党や自民党は、日本の法人税率が高くて国際競争の妨げになっているから、引き下げだと主張しています。
 しかし、03年度から09年度の平均で、電機の大企業・ソニーの法人税負担率は12.9%でしかありません。サラリーマンの所得税、住民税率より低い実効税率です。経常利益上位100社の平均でも33.7%です。
 大企業優遇税制で税金を免除されるため、法人税率40%という数字は見せかけのものです。例えば、三菱東京UFJ銀行などのメガバンクは、この数年、不良債権処理を口実に、1円の税金も払っていません。
 社会保障と税を合わせた企業負担は、日本が8.0%に対し、ドイツ・8.4%、フランス・13.9%、スウェーデン・14.6%と、国際的には低い水準にあることも見過ごせません。
 税・社会保障負担が国際競争力を妨げているというのは、事実を覆い隠した、ためにする論議でしかありません。
 このような矛盾などは隠したまま、法人税率引き下げのみが主張されているのです。法人税引き下げのための消費税率引き上げは許さない、その声を今大きくすることは、その点でも重要になっています。

 大企業が国際競争に打ち勝てば経済は成長し、やがて労働者・国民の生活はよくなる、地域経済は活性化する、といって進められたのが「構造改革」でした。その結果、労働者の賃金は低下し続け、国内の需要は縮小してしまいました。
 今、日本社会は、貧困と格差が深刻化し、「デフレ経済の罠」に喘いでいます。その時に、国民と中小企業に負担を押し付ける消費税増税を強行すれば、内需がさらに冷え込むことは必至です。大企業、大金持ち優遇の税制はそのままに、庶民増税だけを先行すれば、貧困と格差がさらに深刻化し、地域経済の疲弊が進行することになります。

 参議院選挙の投票日までに残りわずかです。消費税率引き上げに反対し、大企業優遇税制の是正や大企業の内部留保の社会的還元を求め、運動を進めてきた全労連として、消費税率引き上げ、法人税率引き下げを既定事実化しかねない参議院選挙の現状を黙って見過ごすことはできません。
 「消費税10%は許さない」、「大企業優遇税制の是正を」といった声を職場と地域に広げましょう。
 全労連新聞や、消費税廃止各界連絡会が作成したポスターなどを使い、職場での学習会を早急に実施し、「消費税10%」反対の声をあげましょう。
 緊急に作成した宣伝テープも活用し、労働組合の運動として、宣伝カーによる巡回宣伝など、地域に事実を伝えため、取り組みを集中しましょう。
 要求実現を政治に迫る行動を今すぐ起こしましょう。

   2010年6月29日

全国労働組合総連合常任幹事会

 
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