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【談話】「緊急雇用対策」の決定にあたって

 10月23日の政府の緊急雇用対策本部は、失業率にも現れる雇用状況の悪化に対応した緊急対策を取りまとめた。
 鳩山政権がめざす「国民一人ひとりが安全と安心、生きがいを実感できる社会」実現の最も重要な基盤が「雇用の確保」とする基本認識や、雇用対策について「情勢に即応して『機動的』に対応」、「『貧困・困窮者、新卒者への支援』を最優先」、「『雇用創造』に本格的に取り組む」との三つの視点には、全労連としても賛同する。
 企業の成長いずれ雇用に寄与するとして進められた自公政権での「成長戦略」から明確に決別し、雇用の拡大と維持と労働者の貧困解消を国の責任で実施する政治への転換を明確に意識した施策の具体化を強く求める。

 決定された緊急雇用対策は、新たな財源措置をともなわない現行制度の活用が基本となっており、史上最悪の雇用状況からすればその不十分さは否めない。あるべき制度の中期的改善方向を明確にしつつ、年末に向け、状況の一段の悪化も懸念されており、次の三点での追加的な検討と早急な具体化を求めたい。

 一つは、失業者を今以上に増やさない施策である。エコ減税やエコポイントと言った財政援助を間接的に受けた自動車、電機などの製造業大企業に、正規・直接の雇用拡大をおこなうよう政府として強く要請すべきである。経営難に陥っている中小零細企業を対象に、雇用調整助成金の支給期間延長などの思い切った支援策を講ずるべきである。
 また、雇用不安の最大の原因となっている労働者派遣法の抜本改正と有期雇用の規制強化での政治的リーダーシップの発揮を強く求めたい。

 二つには、制度の網からこぼれる人をなくすセーフティネットの整備である。生活保護の機能が十分に発揮されるよう、必要な財源の全額国庫負担への回帰、担当職員増のための必要経費の国庫負担を求めたい。また、資産要件緩和などによる支給対象拡大の具体措置の実施も求める。
 さらに、雇用保険給付期間の延長、公的職業訓練施設の拡充など求職者支援制度の整備、高等教育にかかわる奨学金制度改善など、雇用破壊の現実を社会保険でカバーする緊急施策も検討されるべきである。

 三つに、現下の経済状況からすれば、国、地方自治体、公的関連機関での就労の場を早急に整えるべきである。介護などへの雇用の誘導は中期的な効果が期待されるものの、当面の対策としては緊急性に欠ける。すでに失業している労働者の雇用の場を100万人以上に規模で確保することを目標に、政府が直接雇用の場を提供すべきである。この間の同種施策の成功例や失敗例も参考にすれば、中高年者も対象に通年的な就労保障施策の具体化が求められていると考える。

 再び年越し派遣村を出現させないためには、雇用対策のスピードと規模が必要であり、その点での政治的リーダーシップが引き続き発揮されることを強く求める。

2009年10月26日

全国労働組合総連合
事務局長  小 田 川 義 和

 
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