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介護職員処遇改善交付金を活用し、介護労働者の処遇改善をすすめよう
すべての介護事業者と介護職場で働くなかまへのアピール

 2009.9.1 全国労働組合総連合

 厚生労働省は、8月4日に平成21年度補正予算で介護分野における経済危機対策として「介護職員処遇改善交付金」(以下、交付金)を3,923億円計上し、介護職員の処遇改善に取り組んだ事業所を対象に、2年6ヶ月に限定した助成を行なうとして都道府県に通知しました。
 介護の人材不足が社会的な問題となるなかで、介護労働者の劣悪な労働環境の改善を目標に、4月に介護報酬の3%引き上げが実施されました。しかし、3%の引き上げは、多くの事業所で疲弊した介護事業所の赤字補填にとどまり介護労働者の処遇を改善にはおよばないことから、さらに、常勤換算で1人当り15000円の引き上げるとした交付金につながりました。今回の「交付金」は多くの介護関係者や国民世論の貴重な成果であり、介護職員の処遇改善に向けた1歩として評価し、すべての事業所が制度を活用にむけ計画を作成し交付金を申請することを呼びかけます。

 介護労働者の処遇改善を図ることは、高齢者や障害者が、その人がその人らしく住み慣れた地域で暮らすために必要であり、介護事業者にとっても経営を維持するために欠かせない課題ではないでしょうか。また、介護労働者が人間らしく働き続けられるために、働きやすい労働環境を作るにあたっては、国や都道府県・自治体の役割は大変重要だと考えます。
 介護労働者の処遇を改善することは、利用者・介護事業者とも共通した課題でもあり、共同した取り組みが必要ではないでしょうか。
 私たちは、介護労働者の処遇改善のために、介護労働者・利用者・介護事業者が共同した運動を早急に開始することを呼びかけます。
 ○すべての介護事業者が交付金を申請し、介護労働者の処遇改善に着手しましよう。
 ○「処遇改善計画」の作成にあたっては、労働組合や従業員と十分話し合い、「共同の計画」としましょう。

 なお、交付金には幾つかの問題点があり、改善が必要と考えます。
 第一に、交付金の期間が2年6ヶ月となっていることです。そのために、多くの介護事業者が、2年6ヵ月後の財源の見通しを見て、基本給や時給の引き上げでなく、一時金や手当などの引き上げを中心とした処遇改善計画になることが予想されます。
 第二に、交付金には、雇用制度について全く触れていないことです。そのため、直行直帰の登録型雇用で働く介護労働者の処遇を改善することは難しいのではないかと考えます。
 第三に、介護サービスごとに交付率が異なることや介護現場の労働者すべてが対象になっていないことです。居宅介護支援事業所や福祉用具などが交付金の対象から外されていることなど、介護労働者に分断が持ち込まれることを懸念します。

 以上を踏まえ、国に対し「交付金」の改善と継続、介護・福祉労働者の処遇の抜本改善を求めましょう。
○交付金を2年6ヶ月に限定せず、国に対しその後の保障を明確にするよう共同で申し入れましょう。
○国の一般会計から拠出し、介護労働者の処遇改善を目的とした介護報酬の緊急改定を要望しましょう。
○福祉人材確保法を恒久法とし、引き続き福祉分野の労働条件の改善の実施を要望しましょう。

 新たに誕生する政権のもとで、介護労働者の処遇改善が必要なことを国会に働きかけ、介護労働者が安心して働き続けられ、利用者がより良い介護サービスが受けられ、介護事業者が安定して事業が継続できるような介護制度を実現しましょう。そして、憲法25条で保障された権利として社会保障の実現そして介護保障の充実を共同の力で実現することを呼びかけます。

以 上

 
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