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【談話】労働基本権先送りでの使用者(政府)権限の強化に反対する
- 公務員制度改革に係る「工程表」の推進本部決定にあたって(談話) -

 本日、政府の国家公務員制度改革推進本部(本部長−麻生太郎内閣総理大臣)は、「公務員制度改革に係る『工程表』」を決定した。当初、1月末の決定がめざされていた。しかし、幹部職員等の一元管理の導入とかかわって、「級別定数の設定及び決定」の権限などを「内閣人事・行政管理局(仮称)」に移管するとの内容について、人事院が「憲法上の問題」を提起して再考を求めたことなどから、本日に決定が先送りされたものである。

 全労連公務員制度改革闘争本部は、人事院が主張するように、権限の移管が憲法違反であることを指摘し、政府の労使関係制度検討委員会で議論が進行中の労働協約締結権を含む「自律的労使関係制度」の検討結果を待って、労働基本権の代償措置に係る権限(公務員労働者の労働条件決定に係る事項での権限)の移管について結論を出すことを求めた。
 しかし、政府は、総人件費管理も含めた「一元管理」の必要性のみを強調し、「級別定数は管理運営事項」とする一方的な解釈を押し付けるだけで、われわれの主張に耳を傾けようとしなかった。

 等級別定数の労働条件性については、この間の公務員制度改革でも繰り返し論議となった。それは、弾力的、一元的な人事管理の要として、その設定権限等を早期に手にしたい使用者・政府と、給与決定の基準にほかならない事項は、労働基本権制約の代償措置との「パラレルな関係」で捉えた制度検討を求める労働組合との大きな争点であった。
 2001年11月の参議院総務委員会では、「(等級別定数は)勤務条件」(中島忠能人事院総裁)と明確にのべられ、「(等級別定数は代償措置に係る問題を)相当程度含んでいる」(片山虎之助総務大臣)と政府も答弁している。「工程表」は、こうした議論経過への配慮に欠け、政府答弁との整合性も説明していない。労働基本権を侵害する違憲の決定との批判は免れない。

 「工程表」では、能力・実績主義の徹底や定年延長の検討などとかかわって、給与や退職管理、年金、退職金などについての検討の方向や課題を明記している。そして、それらの労働条件については、決定の方向に沿った人事院の勧告等を「要請する」と明言している。使用者である政府の決定を代償機関である人事院に押し付けることも、労働基本権を侵害する行為にほかならない。
 政府が、このような決定を行うのは、憲法第28条に規定される労働基本権への理解の不十分さがあるからにほかならない。ILO(国際労働機関)が、日本の公務員制度の現状を国際労働基準から立ち遅れた水準にあり、早期改善を再三求めていることを理解していないからである。
 闘争本部は、改めてそれらの点を指摘する。政府が、「工程表」をもとに国家公務員法等「改正」を強行するならば、ILO への再度の問題提起などをおこなわざるを得ない。

 なお、「工程表」では、国家戦略スタッフ、政務スタッフ新設、官民人材交流促進を具体化する一方で、「天下り」の根絶については定年制延長等の検討結果を待っての実現に言及するにとどまっている。この点でも、公務員の公正・中立性とかかわって重大な懸念があることから、慎重な検討を求めるものである。

 2009年2月3日

全国労働組合総連合・公務員制度改革闘争本部
本部長  小田川 義和

 
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