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【談話】労働者の「痛み」に背を向ける予算案の大幅な組み換えを求める
- 09年度予算政府原案の閣議決定にあたっての談話 -

 本日、政府は、総額88兆5480億円の一般会計をはじめとする09年予算政府原案を閣議決定した。12月20日に閣議決定した08年度予算第2次補正予算案とあわせ、アメリカ発の金融危機や、それを口実とする大企業主導の雇用破壊の防波堤となる予算案が求められていた。しかし、2つの予算案とも、その期待に応えていない。09年予算案にいたっては、国民を苦しめ続けている「構造改革」を具体化する「骨太方針」や行政改革推進法に固執し続けている。
 社会保障抑制、保育、教育をはじめとする公務・公共サービスの民営化・民間化の強行、大企業への補助金の温存、在日米軍基地再編強化と軍事費の聖域化、都市再生・大型プロジェクト中心の公共事業を継続などの予算案の内容は、「構造改革」の土台を転換できない自公政治の限界を示している。

 この予算案では、「100年に一度の津波」に翻弄されている労働者・国民の生活を守ることはできない。各省別、予算項目別の予算総枠を先に決定して予算を編成する「シーリング方式」では、激動する世界経済に臨機に対応する予算編成はできない。
 公的分野での緊急の雇用確保、内需拡大のための生活関連分野への積極的投資、温暖化対策や食糧自給率向上につながる「グリーンジョブ」創造をめざした産業構造転換などを柱にした大胆な予算の組み換えのための政治の決断を強く求める。

 政府予算案のとりわけの問題は、次の4点である。
 第1に、補正予算案で2兆円の給付金を盛り込んだことである。この規模の予算が確保できるのであれば、公的就労の場を政府の責任で作り出し、あるいは2000年代の社会保障予算抑制の結果改悪された医療、介護などでの自己負担増を元に戻すなどの施策に使うなど、より有効な使い方をすべきである。
 第2に、道路特定財源の一般財源化を完全に骨抜きにし、無駄な高速道路などの建設に引き続き多額の税金を投入し続けようとしている点である。福田前首相の「公約」さえ踏みにじり、道路建設予算確保を最優先する結論であり、認めがたい内容である。
 第3に、社会保障費抑制幅の補填や基礎年金への国庫負担を2分の1に引き上げる財源に、特別会計などの「埋蔵金」を振り向けている点である。「埋蔵金」の活用は必要としても、有限のそれを毎年必要な社会保障関連の予算の穴埋めに使うべきものではない。このような予算編成の姿勢からは、社会保障財源を口実にした「3年後の消費税増税」の狙いしか見えてこない。
 第4に、09年度は08年度と比較して、7.5兆円もの税収不足を見込んでいるにもかかわらず、投機利益への税減免を継続するなど、大企業優遇の税制度を改めようとしていない点である。外需頼みから内需中心の経済への転換が求められている今こそ、税による富の再配分機能を強め、格差の是正と貧困解消に政府が積極的な役割を果たすべきである。歳入面でも、歳出面でもそのような姿勢はまったく伺えない。

 予算案は、新年早々に召集が予定されている第171回通常国会で審議される。その問題点を国民世論に訴え、大企業の横暴の犠牲となっている労働者・国民のたたかいを組織し、政治の転換を求める国民的な運動との共同を強め、予算案の抜本組み換え、政治の転換を求める国会闘争を強める。

2008年12月24日

全国労働組総連合
事務局長 小 田 川 義 和

 
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