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【談話】労働者派遣法の抜本改正を改めて主張する

2008年7月15日
全国労働組合総連合
事務局長 小田川 義和

  1. 7月8日、与党の新雇用対策に関するプロジェクトチームが「労働者派遣制度の見直しに関する提言」を発表した。(1)日雇派遣は原則禁止、ただし、それが常態であり労働者保護に問題がない業務はポジティブ・リスト化して認める、(2)登録型派遣の労働者で希望する者の常用雇用への切り換え促進の仕組みを設ける、(3)労災保険について派遣先の災害防止責任が反映されるような措置を取る、(4)派遣事業について、マージン率の公開など情報公開について義務化などの徹底をはかる、(5)専ら派遣について一定の規制をおこなう、(5)偽装請負、違法派遣の指導監督強化の措置をとる、などがその内容である。また、厚生労働省の「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会」も、「危険度が高く、安全性が担保できない業務や労務管理が担い得ない業務」についての日雇派遣の禁止などの議論をまとめ、7月下旬に報告書を取りまとめるといわれている。
     規制緩和一本槍で進められてきた労働者派遣法は、専門性をもたない立場の弱い不安定雇用労働者を大量に生み出し、貧困と人権侵害の温床となってきた。この事実について、与党がようやく問題意識をもち、規制強化の方向を検討せざるを得なくなったことは、多くの労働者・労働組合のたたかいの到達といえる。


  2. しかし、政府や与党の今回の検討では、内容も実効性も不明である上、労働者保護の枠組みとして不十分である。派遣事業を原則自由とした99年の改悪や、製造業への派遣を解禁した03年の改悪は、偽装請負や二重派遣など違法行為を横行させつつ、派遣による常用代替を様々な領域に広げた。極端な不安定雇用である日雇派遣を禁止しても、1〜3ヶ月の短期の派遣契約の低賃金・不安定雇用、パワハラ・セクハラ、労災多発・労災隠しなどは解消されない。現実に起きている問題の広がりと深さに対し、今回の与党案では部分的手直し程度の効果しかあげないだろう。
     全労連は、労働者派遣は例外的・限定的な雇用形態であることを法律上明確にすることや、問題の多い登録型派遣の原則禁止を規定し、違法が明らかになった場合には派遣先での期間の定めのない直接雇用義務を明記することなどが、最低限の法改正課題だと考える。


  3. 企業やマスコミの一部、政府の規制改革会議などには、日雇派遣禁止や規制強化で失業が増加するとの論議もある。それらの主張には、儲け優先で労働者を使い捨てにしてきた企業行動が、労働者の貧困化を進め、差別的格差社会の形成とその世代間移転を進め、凶悪事件の一因を生み出すまで社会不安を高めてしまったことを、どう考えるのか問いたい。今や支払能力十分の大企業でも、常に多くの派遣労働者を働かせている。「恒常的に」働くそれらの労働者の仕事は、派遣禁止後も存在するのであり、派遣労働者は、ただちに期間の定めのない直接雇用労働者となりうるはずである。


  4. 全労連は、派遣法の改正を、与党PTの水準にとどめず、すでに明らかにしている「労働者派遣法の抜本的改正法案要綱」の実現を求める運動を強化する。秋の臨時国会は、99年以降の法改悪によって崩された労働者の働くルールを取り戻すための正念場と考え、すべての仲間に運動の集中を呼びかける。

以上

 
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