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【談話】公務員制度改革基本法案の閣議決定に当たって

 政府は4月4日、国家公務員制度改革基本法案を閣議決定し、国会に提出した。その内容は、(1)総務省、人事院などの人事行政機関が担っている機能を移管するとされる内閣人事庁の設置、(2)その内閣人事庁による事務次官等の「幹部職員」や本省課長など「管理職員」の人事管理への関与、(3)国家戦略スタッフなどの新たな公務員の新設、(4)採用試験の根本的な再編、(5)協約締結権を付与する職員の範囲を検討することへの言及など、1965年の国家公務員法「改正」にも匹敵するものである。

 しかし、そのような大「改正」であるにもかかわらず、(1)関係労働組合も含め、国民的な論議がほとんど行われていないこと、(2)数次のILO勧告が求める公務員労働者の労働基本権回復について、それを論議した専門調査会の検討結果すら十分に反映されていないこと、(3)中央省庁再編など内閣主導、中央集権化の強化をめざす行政改革の総仕上げの位置づけで2001年以降繰り返され、頓挫し続けた公務員制度改革の延長線上で法案が取りまとめられていることなど、不十分かつ歪んだ経緯の改革論議であったことは指摘せざるを得ない。

 また、法案には見過ごせない多くの問題点がある。それは、(1)改革の基本理念で、内閣を支える公務員の確保、育成は強調されるものの、民主、公正、中立の公務運営を保障する人材の確保、育成という視点は極めて希薄であること、(2)労働基本権課題を含む改革課題については5年以内の検討、具体化を掲げながら、内閣による一元的な人事管理をめざす内閣人事庁については、先行して1年以内の法制上の措置を規定するという突き出しをおこなっていること、(3)国家戦略スタッフ職などの政治任用を拡大し、政策の企画・立案を担う本府省の幹部、管理職員や総合職試験合格者の人事を内閣人事庁で区分管理するとし、採用試験についても政策の企画・立案を担う職員と実施事務を担う職員を区分するとしていることなど、戦前の官吏制度の復活を思わせる改革内容となっていること、(4)官民人材交流ともかかわって兼業見直しをもとめるなど、公務の中立性がゆがみかねない検討課題をちりばめていること、(5)基本法と言いながら、給与や退職金、勤務時間、定年などの労働条件課題についての「見直し」方向を一方的に示していること、などの点である。

 我々は、この間、公務員労働者の労働基本権回復を中心にすえた民主的公務員制度の改革や、公務サービス充実のためにも公務労働者の労働条件安定につながる制度改革を求め続けてきた。その立場にいささかの変化もない。そのことからしても、閣議決定された公務員制度改革基本法案は受け容れられない。
 したがって、先に述べたような不十分かつ歪んだ検討の経緯を補完する国会審議を強く期待する。徹底した国会審議を通じて、法案の問題点が修正され、公務員制度の民主的改革が前進するよう強く求める。

2008年4月4日

全国労働組合総連合・公務員制度改革闘争本部
本部長  小 田 川 義 和

 
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