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実効性の薄い「改正」パート法の採決強行に抗議する(談話)

2007年5月25日

実効性の薄い「改正」パート法の採決強行に抗議する(談話)

全国労働組合総連合
事務局長 小田川 義和

 本日の参議院本会議で、「改正」パートタイム労働法が与党のみの賛成、修正なしで可決された。パート法制定後、初の法改正で、私たちは労働条件改善や均等待遇を実現強く求めた。成立した法律はその期待に応えておらず、国会審議を通じて、均等待遇を口実にした正規労働者の労働条件引き下げの懸念さえ生ずるという問題の多いものであり、採決強行に抗議する。

 安倍首相は、ワーキングプアに象徴される格差と貧困の拡大に対する世論の批判を受け、再チャレンジ政策の目玉として、パートタイム労働法改正を位置づけた。しかし、法案は、パート労働者の悲願である「均等待遇」実現どころか、格差を固定化、合理化しかねないものであった。差別禁止対象者を(1)通常の労働者と職務同一パート (2)人材活用の仕組みが通常の労働者と同じパート (3)期間の定めのないパート(繰り返し更新は期間の定めのないものとみなす)という三つの条件をクリアするパートにのみ限定しており、大多数のパート労働者は実効性の薄い「努力義務」にとどめ置かれた。

 正規労働者と同じ仕事をし、基幹的業務を担うパート労働者が増加している。私たちは、国際基準であるILOパートタイム労働条約に基づき、「同じ仕事をすれば、時間当たり賃金は同じ」という「均等待遇原則」をパートタイム労働法の基本原則に謳うことなど、実効性ある制度確立を求めた。採決にあたって8項目にわたる付帯決議が付けられたことは、私たちの指摘の反映でもある。

 しかし、差別的取り扱い禁止対象者の要件範囲、適用対象除外となっているフルタイムパート問題、有期労働契約問題など、国会論戦でも強く指摘された問題点の解決は先送りされている。

 また、財界の意図を受け、5月21日に発表された「規制改革会議」の『労働タスクフォース』は、「同一労働・同一賃金」原則を真っ向から否定し、「改正」パート法の差別禁止対象範囲の抑制さえ主張する報告を行った。
 財界は、生産性向上(コスト削減)を口実に、パート労働者を安価でいつでも置き換えのきく労働力として活用したいという「本音」を露骨に示しており、不十分な「改正」パート法さえ反故にしかねない姿勢にある。

 私たちは、格差と貧困拡大へのパートなど非正規雇用労働者の怒りをエネルギーに、「均等待遇」実現、最低賃金引き上げの要求を高く掲げ、職場での要求実現の取り組みと、不十分な制度の改善を求め、新たな決意でたたかいを進める。そのためにも多くのパート・臨時・派遣などの非正規雇用労働者を労働組合に迎え入れ、共にたたかう体制づくりに奮闘する。

 
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