政府案の問題点が次々と明らかに
−−厚生労働委員会の審議

 21日厚生労働委員会で年金改革関連法案の質疑が、22日参考人の意見陳述と参考人に対する質疑がおこなわれました。

■保険料未納額5兆4千億円

 21日厚生労働委員会では、民主党が年金保険料に群がる業者と厚生労働省官僚の収賄疑惑を追及。調査を約束しながら、いまだ、調査結果を発表しない坂口厚生労働大臣を厳しく追及しました。

 また、日本共産党山口富男議員は、「保険料の未納額が平成4年から12年まで5兆4千億円であり、未納者の所得状況は、月収20万円以下の人が5割を占めている。この制度の根幹を揺るがす問題の対処として、現在厚生労働省がおこなっている対応は、保険料の強制徴集だ。手始めに強制徴集がおこなわれたのが沖縄だが、沖縄は全国一保険料納付率が低い。懲罰的な強制徴集では問題は解決しない」と厚生労働省を批判するとともに、政府案の保険料の引き上げでは、ますます、保険料未納者を増大させるだけと、同法案の問題を指摘しました。

■大量の無年金者が生まれる危惧

 衆院厚生労働委員会は22日、年金制度改革に関する政府案と民主党案の審議のため、参考人質疑を行いました。

 同日午前の質疑では、山崎泰彦神奈川県立保健福祉大教授が「年金改革は先送りできない。保険料引き上げと給付の適正化を図りつつ、何とか安定軌道に乗せてもらいたい」と政府案の早期成立の必要性を強調。米沢康博横浜国立大教授は、年金積立金の運用について、「今後のマクロ経済から見て、予定利率は妥当な水準」と述べ、安定的な運用が行われるとの見通しを示した。

 一方、高山憲之一橋大経済研究所教授は、「政府案の通り保険料の引き上げを行うと、企業のリストラや年金空洞化などが進み、結果として景気の低迷を招くと指摘。政府案は600兆円の債務超過をどうするかだけに着目した案であり、将来的な安心を確約したものではない。保険料固定方式で、給付も固定するのは至難の業だ。更なる保険料の引き上げもありうる。年金への税金投入をどうするのか議論する必要がある」と政府案を批判しました。

 公文昭夫年金実務センター代表も、基礎年金の国庫負担引き上げについて、財源が明示されていないことを挙げ、「事実上の先送り」と政府案を批判。また、国民年金2237万人のうち免除・滞納・未加入者が1160万になる実態を紹介。社会保険庁の調査でも、保険料が高くて払えないと答えている人が71.4%、厚生年金も新規法人の2割が未加入、国民年金への移行に歯止めがかからないという朝日新聞の記事を紹介しつつ、「このままでは、大量の無年金者が生まれる」と政府案の保険料引き上げを批判。5年毎の審議をなくして、保険料引き上げ・給付の削減をおこなう仕組みは「民主主義の形骸化だ」とし、積立金も2100年になっても136.7兆円が残る計算となっていることを指摘、「ドイツ・フランスは給付の1か月分しか積立金を持たず、それが国際的にはあたりまえ。積立金を民主的に運用させるために、国民の代表をいれた運用組織を作らなければならない」と提案しました。また、「労働組合、政党が最低保障年金制度を提案し、多くの国民の声となっているにもかかわらず、無視されているのは問題」と政府の姿勢を批判しました。



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