2005/10/25

「労働契約法制」学習スライド・講師用シナリオ

―「働くルール破壊計画」の進行を許すな!−

厚生労働省研究会が考える「労働契約法制」が成立したら、

何が、どうかわるのか

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(表紙)「働くルール」破壊計画
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労働契約法の審議がスタート
 2005年10月から、厚生労働省の労働政策審議会に設けられた労働条件分科会で、「労働契約法制」についての審議がはじまっています。
 直接のきっかけは、2003年国会の付帯決議です。当時、労働基準法の改定をめぐり、解雇に関する法律の整備が議論の焦点となったことから、衆参両議院の厚生労働委員会は、「労働条件の変更、出向、転籍など労働契約について包括的な法律を策定するため、専門的な調査研究を行う場を設けて積極的に検討を進め、その結果に基づき、法令上の措置を含め必要な措置を講ずること」との付帯決議をだしたのです。 *(⇒背景については、Q&A参照)
 それを受け、04年4月から労働契約法制の検討を進めていた厚生労働省の「今後の労働契約法制の在り方に関する研究会」は、報告書にこう書いています。「今日、就業形態や就業意識の多様化が進んでいる一方、現行の法律や判例法理による労働契約に関するルールについては(中略)変化に十分対応できていない」と。
 時代の変化としてあげられているのは、
 (1)グローバル化と情報技術革命のもとでの企業間競争の激化、
 それに対応した(2)雇用システムや人事管理制度の個別化・多様化、
 (3)パートや派遣・請負などで働く有期雇用労働者の増加、
 (4)労働組合の組織率の低下による集団的な労働条件決定システムの機能の縮小、
 (5)低成長経済下での人員整理や労働条件引き下げに伴う個別労働関係紛争の増加、などです。
 報告では、有期雇用契約の増加や、能力主義管理の導入などの動向を、労働者の意識の変化を過度に強調して、あたかも労使双方の同意による流れであるかのように描いている点が、事実とは違いますが、たしかに、こうした変化は進んでいます。
 問題は、ここでいう、「変化に対応した新しい法制度」の中身です。
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こんな法整備が必要ですか
 まさに、「アッ」という間に給料下げられ、「エッ」といったらクビになるような法整備が、着々と準備されようとしています。
 実は、「今後の労働契約法制の在り方に関する研究会」は、05年4月13日に「中間取りまとめ」を発表し、パブリックコメントを募集しました。1ヵ月間に集った意見書は557件にのぼります。多くは労働者・労働組合からで、使用者団体や市民団体からのものもありましたが、それらのほとんどが反対や異論を述べていました。それにもかかわらず、9月15日に発表された最終報告書には、反対意見に基づいた労働者側の要求が盛り込まれることなく、当初の方針を貫き通した内容となっています。
なぜ、それほど多くの反対意見がだされたのか。使用者の言い分はさておき、労働者にとってきわめて危険な法制度が盛り込まれているからです。私たちは、研究会報告が進めようとしている「労働契約法制」の狙いは、労働者保護の強化ではなく、「働くルール」破壊にあるとみています。
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問題点をピックアップ
 研究会報告では、多岐にわたる論点があげられていますが、とりわけ重大な問題として、次の6点があげられます。
 1.雇用継続型契約変更制度
 2.解雇の金銭解決制度
 3.労使委員会制度
 4.就業規則の不利益変更
 5.試行雇用契約
 6.ホワイトカラー・イグゼンプション
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雇用継続型契約変更制度
 会社の一方的労働条件改悪を合法化
 この制度は、会社が個別の労働者に対し、「労働条件改悪に同意せよ。応じられないなら解雇する」と、契約変更か解雇かを迫る場面を想定した制度です。契約変更の中身は、賃金・労働条件切下げ、職種変更、広域配転など、なんでもありです。
 研究会は、こうしたケースで解雇された労働者は実際に数多く存在している、と問題意識をもっていますが、その回答は、使用者による一方的な契約変更を安易にさせないための規制の制定ではありません。労働者に「異議をとどめつつ」(イヤだと意思表示をしつつ)働き続け、裁判で争う権利を与えればよい、というものです。

「その正体は ⇒ 会社の都合でいつでも賃金・労働条件の引き下げができる」
 本人同意は二の次とされてしまいます。

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研究会も、「制度を設けたことが安易な解雇や安易な労働条件の引き下げにつながることのないよう、労働者の保護に十分に留意する必要がある」と書いています。しかし、どうやって労働者保護をはかるかについては明言せず、十分な協議をつくせとか、労働者が熟慮する時間を十分にとれ、などの手続き規定をおく程度しか考えられていません。
 そもそも契約とは誠実に守らなければならないものです。民法第1条の信義則を軽視し、労働者本人の同意は二の次で、使用者にだけフリーハンドで労働条件の不利益変更権を与えるのは、いかにも不当です。労働条件の不利益変更に意義を唱え、解雇されて、その解雇の不当性を裁判で争うという道も確かにありますが、いずれにしても裁判しなければ異議申し立てができないなどというのでは、多くの労働者は泣き寝入りするしかなくなるでしょう。また、それを見越した乱暴な労働条件不利益変更が増えるのではないでしょうか。
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不当解雇の金銭解決制度 金さえ払えば違法解雇もOK
 研究会は、使用者が解雇した労働者に金銭を支払う制度を整備することで、解雇紛争を円滑・迅速に解決できるといいます。ただし、ここで取り上げられているのは、解雇事件について、裁判所が使用者の不当を認め、解雇無効と判断した場合でも、使用者からの申し立てによって解決金を支払えば雇用が終了したものと扱える制度を導入しよう、という提言です。ちなみに、解決金の額の基準については、法律で最低限をさだめることや、事前の集団的な労使合意を、労働協約や、後に説明する「労使委員会」で決めておくという案がだされています。
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 この制度は、03年の労基法改定で法案要綱にまでのせられましたが、労働者の強い反対をうけて断念されたものです。今回の研究会においても、ヒヤリングや意見募集において、使用者側は賛成しましたが、労働組合や労働者側弁護士からは強い反対があったと報告書の中で認めています。
 それもそのはずです。そもそも、違法な解雇を行なった使用者に申立をする権利を認めるなどは法の正義の観点からみて、筋のとおらないことですし、この制度が成立すれば、使用者は、あらかじめ一定額の金銭を見積もっておけば、気に入らない労働者を、裁判結果を気にせず、どんな不当なやり方であろうが解雇できることになります。つまり「解雇は自由に」という、とんでもない世界があらわれてしまうのです。
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解雇は原則禁止 解雇権濫用法理・整理解雇4要件について
 ここで、労基法の解雇規定についてふれておきましょう。労働基準法の第18条の2は、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と定めています。解雇は原則禁止ということです。
 この条文については、客観的合理的な理由とか、社会通念上の相当性といっても具体性に欠けるため、要件をもっと具体化してほしいとの要求が、労働者からはあがっていました。これについての研究会の回答は、合理的な解雇事由を分類して「基本的な類型」を明らかにすることと、事前協議などの手続き規定の措置を指針で示すという程度です。
 また、労働契約法として整備すべきとの要望が強くだされていた、整理解雇(経営上の必要性にもとづく解雇)については、(1)人員整理の必要性、(2)解雇回避努力、(3)被解雇対象者の人選基準の正当性、(4)労働者との説明協議手続き、という4つの要件(要素)を、解雇権濫用の有無を判断するにあたって考慮すべき事項として示すとしながらも、具体的に使用者が講ずべき措置については指針で示すことが適当という扱いにとどめています。

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労使委員会 リストラに「合理性推定」のお墨付きを
 労働者の意見反映の代表的機関は、言うまでもなく労働組合です。労働組合は、団交権やストライキ権、民事・刑事免責など、使用者に対抗する権利をもち、会社による支配介入や不当労働行為は禁止されており、労働委員会という救済制度ももっています。これらの権利付与によって、かろうじて労使の対等性は保障される、というのが、憲法の考え方です。
ところが、研究会は、労働組合の組織率低下を理由に、新たな労働者代表制度として、常設の「労使委員会」が必要だといいます。
 労使委員会とは、「使用者が設置するもの」であり、「労使同数で構成し、(1)就業規則作成の際に意見聴取を行う場となる、(2)労使委員の5分の4(80%)以上の賛成で就業規則の不利益変更が可能となるほか、裁判では規則変更の合理性推定の根拠とされる、(3)解雇の金銭解決制度の導入と解決金の基準を設定する、(4)委員会の事前協議の有無が、配転・出向等の有効性の判断要素となる、など重大な機能をもった機関として構想されています。
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しかし、重大な機能が付与されたこの「労使委員会」には、労使の対等性を担保する規定はなにもなく、委員選出の公正さを保障する規定も考えられていません。人事権をもつ会社役員の前に、忙しい仕事の片手間に呼びだされた労働者が、規則変更の提案をうけても、法的後ろ盾も時間の保障もないのに提案を十分検討して自由に意見が言えるものでしょうか。御用組合すら少なくない状況の中で、会社の息のかかった従業員で労働者代表を構成し、好き勝手に就業規則が変えられる可能性も高いといわなければなりません。さらに、労使委員会決定に不服として裁判を起こしても、裁判所も労使委員会の決定には「合理性」を推定するという規定があるため勝ち目はないことになります。
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就業規則の不利益変更
 現在の判例法理では、一方的な労働条件の不利益変更については、相当の合理的な理由が必要であり、(1)その必要性、(2)事前協議などのプロセス、(3)代償措置や激変緩和措置などがなければ、権利の濫用とされます。研究会報告では就業規則の内容がそのまま労働契約となります。そして、労使委員会で決議されていれば、これらの要件がなくとも、使用者の勝ちです。今回の「労使委員会」制度は、「ないよりはマシ」な制度どころか、未組織労働者にとっては裁判を受ける権利を阻害し、既存の判例の積み重ねも覆し、労働組合の団交権と存立基盤を侵害しかねない制度だといえます。
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「労働契約法」の基本的考え方
 研究会報告は、「労働契約法を構想するにあたっては、労使自治を尊重しつつ、労使間の実質的な対等性を確保すること(中略)を基本的な考え方とした」といいます。また、労使自治が基本としながらも「労使当事者間には情報の質及び量の格差や交渉力の格差が存在し、すべてを労使の自由な交渉に委ねていては真の意味での労使自治の実現は期待できない」ともいっています。
 しかし、労使対等を確保する観点から「権利濫用法理を明文化したもの等の強行規定を設けること(中略)について検討を加えた」などといいますが、検討しただけで法案化を断念していますし、労使対等の目玉である労使委員会制度をみても、危険なワナが見え隠れしています。随所にでてくる「労使の実質的対等の確保」という言葉とは裏腹に、むしろ、「労使自治」の名の下に、個別労使を法と監督行政から遠ざけ、労働組合の規制力も、労使委員会制度などで形骸化させ、丸裸の個別労働者と使用者が対峙する「場」を作り出し、実質的対等どころか、あからさまな使用者による労働者支配を合法化するための法律づくりを、めざしているように思えます。
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労使対等とは?
 あらためて「労使対等」とは何か、いかにして実現可能か、ということを考えると、やはり、労働組合に行き着きます。わたしたち労働者は、労働組合に結集し、争議権を背景とした「交渉力」をもってこそ、労使の実質的対等をつかむことができるのです。
 法の整備も大切ですが、「労働組合」に結集してこそ、要求は前進する。未組織職場における労使の対等を、使用者の権力下にある企業内制度で実現しようとしても、それは無理なことです。
 誰もが保障されている団結権を行使し、「労働組合あってこそ」という世論を、この機会にあらためて社会に大きくアピールしなければなりません。
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試行雇用契約 「雇止め」の踏み絵で労働者を選別
 厚生労働省には、有期雇用契約の上限を3年(一部5年)に延長した03年法改定を受け、有期雇用の実態調査とトラブル解消に向けた法整備を行うべし、とされていました。しかし、研究会が出してきた結論は、「(労働者の)退職の自由の制限」や「試行雇用契約」など、労働者にとって酷な法律の提案です。
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 「試行雇用契約」は、有期雇用の試し雇用制度です。現在、行われている「試用期間」は3〜6ヶ月の期間のなかで適正などをみるものですが、あくまでも正社員としての採用を前提とした雇用です。解約権が留保されているといっても、解雇するには、経歴詐称などの重大な瑕疵があるといった相当の理由が必要とされています。
 しかし、有期雇用契約での試用雇用が可能となれば、試すだけ試して、かんたんに雇止めをすることができます。正規採用を絞り込み、多くは期間満了で「雇止め」にしてしまい、その他の人は働き続けたければ、有期の繰り返し雇用で使えるのです。正規雇用にするからといって、期待をもたせ、必死で働かせようとするひどい経営者は、今もいますが、この手法を合法化しようというのが研究会の提案です。しかも、上限期間については、「業務の専門性等により適格性判断の期間が長く必要である場合に対応するために(中略)上限を定めないこととすることが適当」などと結論づけています。あくまでも使用者本位の姿勢がよくわかります。
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ホワイトカラー・エグゼンプション 労働時間法制の解体狙う
 聞きなれない言葉ですが、規制緩和の先進国、アメリカの制度を輸入したいという財界の要望をそのまま飲んだものです。ホワイトカラーの範囲は明確ではありませんが、一般的には現業系の労働者を除く、企画・事務・営業職種や管理職層を指します。また、エグゼンプションというのは、(義務の)免除、適用の除外という意味です。
 この制度は、創造的・専門的能力を発揮するため「昼夜の区別なく働くことを希望する労働者」のために、労働時間規制をやめてしまっても合法とする、という制度の提案です。今の労働時間規制は、集団的・一律的で、これら創造的な労働者には、がんじがらめのしがらみで、とても能力発揮ができない、というわけです。
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 なぜ、時間管理をしなくてもよい、というのでしょうか。理由は、知的労働に従事する労働者は、オフィスにいるときだけ仕事をしているわけではない。電車の中でも仕事のアイデアを練り、帰宅しても考えているから。つまり、固定した労働時間管理と、仕事の内容、成果とが、一致しないからだというのです。
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 一定の給料を払えば、何時に働き始め、何時に就業しても会社は関知しない。「成果」がでるまで、働き続けるというこの制度。ただ、残業代が払われないというだけではありません。仕事の量や締め切りをコントロールする裁量は、本人に与えられず、無制限な長時間労働に陥ることになるのです。
 日本では横行する「不払い残業」が沈静化する兆しはありません。04年だけでも20,299件の違反摘発がなされているという始末です。しかも、優秀で創造的な労働者が、バタバタと過労死しています。時間規制の適用除外などすれば、今は違法の不払労働が、合法化され、時間規制を失った事務・技術・営業系の労働者は、さらなる長時間労働を強いられ、健康と家庭生活の破壊、メンタル・ヘルス悪化、過労死・過労自殺続出という事態に陥ることが、容易に予想されます。
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情勢の流れをつかむ
 労働者保護法としての労働契約法を求めた国会付帯決議を根拠にしながら、それを踏みにじり、労働者リストラ促進法を提起する厚生労働省・研究会報告。その姿勢に、事態を知る労働組合・弁護士・市民団体から怒りの声が沸き起こっています。
 なぜ、労働契約法が、リストラ促進法になってしまうのか。背景には、これまで以上に、政府への直接的な介入を強めている日本経団連の「雇用流動化」政策と、小泉構造改革路線の存在があります。
 審議会であれば、厚生労働省の認めた枠の中であっても、公労使の三者構成で審議が進められます。しかし、小泉政権に顕著なのは、首相直属の諮問機関によって、政策の方向性を打ち出し、それを閣議決定して押し付けてくるという手法です。諮問機関のメンバーには、ゴリゴリの規制改革論者、市場万能主義者の財界メンバーや学者らがそろえられています。労働者不在の偏った機関の中で、労働者の雇用と暮らしを左右する重大な方向付けがなされ、財界の意向を丸呑みした新自由主義的政策が押し付けられてくるのです。
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財界がねらう労働者支配
 市場原理をすべての分野に広める「新自由主義」のもとで、弱肉強食の競争が、進められています。雇用の破壊・流動化による「非正規雇用」労働者の増大。成果・業績主義による、人事労務管理の個別化。賃金・労働条件の個別化。これらは、労働組合の弱体化をすすめ、労働者搾取をさらに強化しようという、財界の意向を顕著にあらわす方向です。
 国際競争力を高めるため、かつて日本企業の強みといわれた「日本型雇用システム」すら解体し、賃金・労働条件を、中国、東南アジアなみに引き下げようとしています。
 それを、全体をひとしなみに下げるのでなく、競争させながら、落ちるものは自己責任、というアメリカ型社会のイメージを使いながら、進めていくのが、日本経団連の作戦です。
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 こうした手法はすでに95年から準備されていました。「新時代の日本的経営」では、「雇用ポートフォリオ」なるものを提唱しています。その手法は、雇用する労働者を(1) 長期蓄積能力活用型グループ、 (2) 高度専門能力活用型グループ (3) 雇用柔軟型グループにわけ、基幹的な労働力となる長期雇用をしぼりこみ、その分を不安定雇用で補い、組み合わせることで「アジア水準」の低コスト体制を実現しようというのが、雇用ポートフォリオの下で「多様性」を活かすという経営の本質です。
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 さらに成果主義賃金の導入で、賃金の個別化をすすめ、個別労働者を雇用形態別に差別しつつ、また、同じグループの労働者を競わせて、全体としての総額人件費を引き下げていこうとしています。
実際に、こうした雇用流動化策は、「非正規雇用」の急激な増加と、「正規雇用」の減少をもたらしています。
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財界の意向に沿った制度実現ねらう小泉構造改革
 多様な雇用・就労形態を生み出し、労働者の個別・分断と差別の体系を複雑化するために、経営者の好き勝手をする際に邪魔となる規制=労働法・労働行政はどんどん後退させ、労働時間規制や派遣労働規制は緩和・撤廃させようというのが、財界の狙いです。
 こうした狙いに、政府のお墨付きをあたえカタチにしたものが「規制改革・民間開放推進3ヵ年計画」です。それを根拠に、厚生労働省には直接に、労働者保護の後退と労働市場の柔軟化の政策実現が命じられているのです。労基法、労働者派遣法、そして労働契約法制と、このままでは改悪の流れが続くことになります。
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当面の運動の方向
 審議会は、今のところ、来年7月に「中間とりまとめ」を出し、法案要綱を作成して、2007年国会への法案提出することをめざしています。国会の勢力は、その時も、与党が三分の二を占める小泉構造改革推進体制にあることは間違いありません。そうなると国会上程前の審議会段階での運動が、きわめて重要ということになります。

 (1)まずは学習活動をすすめ、職場の仲間に、「働くルール破壊計画」が進行していることを広く知らしめ、運動の底力をつけておくことが大切です。
 (2)つぎに、実態をふまえた要求の声をあげることが大切です。採用から、雇用関係の終了にいたる、あらゆる場面に関連して、わたしたち労働者が職場で抱えている問題、労働者の実態をまとめ、それをどうするのか、要求とあわせて、審議会に意見提出+資料提出していく運動が求められています。

 審議会では、冒頭、研究会報告をベースとした審議はしない、ことを公労使で確認し、これからの審議は、働く現場で直面している問題をとりあげ、それをいかに解決するか、という視点からはじめることになっています。現場の声で、学者の机上の議論を打ち破る好期です。
 労働諸法制の改悪は、憲法法改悪にも連動するものです。「働くルール破壊計画」に対抗し、仲間の力を結集し、国民的共同を広げてたたかおうではありませんか。