【談話】
ゆきすぎた「規制緩和」・「民間開放」への反省もなく、
公共サービスを営利企業に開放する法案の決定に抗議する
−いわゆる「市場化テスト法案」の閣議決定にあたって−

2006年2月10日 全労連「もうひとつの日本」闘争本部
                          事務局長 坂 内 三 夫


 政府は本日、公務・公共サービスを民間営利企業に開放する「競争の導入による公共サービスの改革に関する法律案」(以下、「市場化テスト法案」という)を閣議決定し、国会に提出した。いま、「住」の安全・安心をないがしろにした耐震強度偽装事件、「食」の安全にかかわる米国産輸入牛肉の危険部位混入、金融緩和のもとでのライブドア事件、さらには「格差の拡大」など、小泉「構造改革」がもたらした問題に国民の強い疑念と批判が急速に寄せられている。こうしたなか、暮らしや安全にかかわる国や自治体の責任を棚上げし、競争入札によって民間営利企業に公共サービスをゆだねる「法案」を決定したことに、全労連は断固抗議するものである。あわせて、教職員も含む国・地方の公務員の大幅純減やいっそうの「民間開放」促進など、小泉「改革」の継続を国民に強いる「行革推進法案」の策定作業も直ちに中止するよう強く求めるものである。

 いま、国民が政府に求めているのは、市場万能論や利益至上主義による「弱肉強食」社会、格差社会ではない。この間の世論調査でも、市場原理導入や規制緩和など小泉内閣が推し進めてきた構造改革について「見直すべきだ」との声が過半数を占めたように、暮らしの安心や安全確保にむけた国の責任こそが問われている。

 政府は、公共サービスを競争入札することでサービスの質の維持向上と経費の削減を図るとしているが、そもそも民間営利企業に公共サービスをゆだねることの是非が問われなければならない。「指定管理者制度」により民間営利企業が参入したところでは、公共施設の利用料を値上げしたり、保育サービスでも利用料で格差をつけるなど、公共サービスの変質が問題となっている。同時に、効率や利益優先の「規制緩和」・「民間開放」のもとで起こっている民間企業の不祥事や違法事件の究明や反省もなく、公共サービスの「民間開放」をさらに進めることは断じて許されない。

 大企業やアメリカの利益・権益しか眼中にない小泉政権の本質が露わになるもとで、「小さな政府」をめざす「構造改革」が、所得や地域間の格差を拡大し、国民の安心・安全を破壊するものであることが国民的にも明らかになってきている。

 全労連は「もうひとつの日本」闘争本部を軸に、「小さな政府」や「官から民へ」は、国民の大きな負担になるなどの問題点と本質を広範な国民に訴え、公共サービスの切捨てを許さないたたかいを展開する。同時に、安心・安全な社会の実現をめざす「もうひとつの日本」にむけた国民的な共同を呼びかけるものである。

以 上