【談話】

問われる規制緩和、「構造改革」路線−ライブドア堀江貴文社長らの逮捕に対する談話−

全国労働組合総連合
事務局長 坂内 三夫


1.1月23日、ライブドアグループによる証券取引法違反事件で、東京地検特捜部は同社社長の堀江貴文容疑者、投資・財務担当取締役宮内亮治容疑者ら4人を同法違反(偽計取引、風説の流布)容疑で逮捕した。関連会社が自社の株価をつり上げるために、ウソの情報を流したり、決算で売り上げや利益を水増しするなど、株価を上げるためには「何でもあり」の堀江流「錬金術」に本格的なメスが入った。容疑が事実なら、投資家や証券市場をあざむく重大な犯罪行為であり、逮捕し全容を解明することは当然である。

2.自社株と相手企業の株を交換して企業買収をできるようになった1999年の商法「改正」に続いて、2001年の商法「改正」では株価を上げる株式分割への規制がなくなり、野放しになった。不正な株価つり上げの追い風となったのが、小泉改革と財界がいったいとなって進めた規制緩和、「構造改革」路線にあることは明らかである。マネーゲームに突き進んだ新興企業の犯罪とともに、それを生み出した小泉政治そのものが問われている。

3.昨年の総選挙で自民党がライブドア堀江氏を支援したことについて、小泉首相は「別の問題だ」と開き直っている。しかし、「人の心はお金で買える」と豪語する堀江氏を「勝ち組」のリーダーとして持ち上げてきた小泉首相の責任は免れない。また、「小泉内閣が構造改革をすすめなければ堀江氏は出てこなかった」(安倍普三官房長官)、「役人天国、重税国家がいやなら民営化しましょう。ホリエモン、私がスクラムを組みます」(竹中平蔵経済財政担当相)、「党改革で知恵を貸してもらいたい」(武部幹事長)などの発言を繰り返してきた小泉内閣の閣僚や自民党幹部は、その責任をとるべきである。

4.あいつぐ鉄道事故、航空機トラブル、欠陥自動車、耐震強度の偽装、ずさんな米国産牛肉の輸入再開など、異常な利益至上主義のもとで国民の安全と安心が脅かされている。全労連は、規制緩和、「官から民へ」「小さな政府」をとなえ、ルールなき競争によって格差を広げる小泉政治に対し、安全・安心、平等、平和ではたらく仲間が元気の出る「もうひとつの日本」をめざして、広範な国民との共同を広げてたたかう。