【談話】

世田谷警察署・ビラ配布不当弾圧事件に断固、抗議する

2005年9月15日
全国労働組合総連合
事務局長 坂内三夫


1、総選挙投票日前日の9月10日午後、東京・世田谷区内にある警察官舎の1階集合ポストに、日本共産党の「しんぶん赤旗」号外を配布したとして、通報で待機していたパトカー警察官らが一人の男性を「建造物侵入罪」で逮捕し連行する事件が発生した。
 選挙の際、政党がかかげる政策などについてひろく国民に知らせ伝える政治活動をおこなうことは、民主主義上の基本である。このように正当な政治活動・選挙活動を、一般に出入り可能な集合ポストに配布したことを理由に「建造物侵入罪」で逮捕・連行したのはまったく不当である。東京地検の拘留請求にたいし東京地裁が9月13日、これを却下し、この男性が同日、釈放されたことからもすでにそれは明らかである。
 われわれは、この男性を不当逮捕・連行した警視庁世田谷警察署に断固、抗議する。同時に、東京地検公安部がただちにこれを不起訴にするようつよく求めるものである。

2、警視庁公安部は総選挙投票日翌日の9月12日夜、不当に逮捕したこの男性が国家公務員だとして「国家公務員法違反」で追送検した。しかも世田谷警察署が総選挙投票日当日の9月11日、この男性の職場と自宅を家宅捜索したことも不当きわまる弾圧と断じなければならない。
 「国公法」は戦後、アメリカ占領下のなか、マッカーサー命令によって国家公務員の政治活動の自由を著しく制限・抑圧した憲法違反の悪法であって、このような時代錯誤の「国公法違反」を適用しようとする行為はもってのほかという以外ない。

3、自民党が「公務員の政治的中立確保のため」と称して、いま関連7法(地方公務員法、教育公務員特例法、地方公営企業法、公職選挙法など)を改悪して、公務員全体にたいし政治活動・選挙活動をいちだんと制限し抑圧しようとねらっている。ビラ配布不当弾圧堀越事件(04年3月)も、この世田谷署・ビラ配布不当弾圧事件も、公務員の政治活動を抑圧し制限するこうしたたくらみと軌を一にした、公安警察権力の民主主義圧殺をねらった蛮行といわなければならない。
 本来、政治活動の自由はすべての国民に保障された憲法上の権利(憲法21条・表現の自由)であって、公務員もその例外ではない。全労連は、ILO勧告にそって、公務員の労働基本権を回復させ、公務員の政治的市民的自由の確立にむけひきつづき全力をあげるとともに、このような政治弾圧を断じて許さず、憲法で保障された国民の民主的諸権利を擁護するため断固、たたかうものである。

以上