【談話】

男女雇用機会均等法見直しにあたっての

労働政策審議会雇用均等分科会の「中間とりまとめ」に関する談話

2005年7月28日
全国労働組合総連合
事務局長 坂内 三夫


 厚生労働省労働政策審議会雇用均等分科会が、27日、男女雇用機会均等法(以下均等法)の見直し議論の中間とりまとめ「労働政策審議会雇用均等分科会における審議状況」(以下中間とりまとめ)と題する報告をまとめた。
 中間とりまとめは、男女の雇用機会均等法施行後の現状について次のような問題点の認識を示した。(1)非正規雇用者も含め、継続就業を希望する女性が妊娠・出産などを理由とした解雇や退職の強要、不利益な配置転換、パートタイムへの契約内容の変更の強要、雇い止めなどについて都道府県労働局雇用均等室に相談や個別解決援助を求める例が増加している状況にある、(2)セクシャルハラスメント、母性健康管理措置についても、非正規雇用者からの相談が多くなっている、(3)採用面・配置面ともに全体として目立った変化は見られていない、(4)従前女性がつくことが多かった職種などを中心に男性が採用を拒否される相談が目立つようになった、(5)管理職にしめる女性の割合の上昇が緩やかである。コース別雇用管理制度を導入している企業では、管理職にしめる女性の割合が相対的に少ない、(6)ポジティブアクションが大きな広がりをもった動きとなっていない、(7)セクシャルハラスメントの相談事案が半数を占める 

 こうした現状認識と問題意識は全労連とも一致したものであり、労働者の実感するところである。また、国連女性差別撤廃委員会の勧告でも指摘されたものである。こうした現状から、中間とりまとめが「男女雇用機会均等の確保を徹底するために必要な法整備をおこなうべき時期にきている」としたことは評価できる。

 しかし、こうした現状の問題を踏まえて分科会で議論されたものの、中間とりまとめは、公・労・使3者の合意されたものではなく、3者の考えかたを羅列したものであることはきわめて残念である。
 特に、中間取りまとめでも指摘されているように男女雇用機会均等が法施行後20年経た今日も確保されていないなか、使用者側が「慎重な議論が必要」とする以下のような意見が各論に併記されることは、実効ある法改正に逆行するものであり、きわめて遺憾である。
 (1)妊娠・出産による休業の権利行使を理由とする不利益取り扱いと能率低下や不就労に対する不利益取り扱いの判断は異なり、後者については公正の観点から慎重に議論すべき、(2)間接差別の概念はまだ浸透しておらず、合理性の有無に幅がある、対象が無制限に広がり混乱する、コース別雇用管理における転勤要件等はポジティブアクションとして進めていくべき問題であって、間接差別概念の導入は反対、(3)ポジティブアクションは一律に義務化すべきではない、(4)紛争解決については現行の救済制度で充分であるなど
 また、女性の坑内労働解禁へ道を開く見直しも検討されているが、母性保護の観点からも全労連は解禁には反対である。

 全労連は、男女雇用機会均等法を、男女労働者が性別によって差別されることなく、職業生活と家庭生活の調和が確保され、かつ、女性労働者が母性を尊重され、妊娠出産に関する保障を充分に受けることにより、充実した職業生活を営むことを基本理念とし、すべての労働者の均等待遇実現をめざす「男女雇用平等法」に改正するための取り組みに全力をあげる。