【談話】

サラリーマン世帯狙い撃ちの大増税計画に反対する

=政府税制調査会「個人所得課税に関する論点整理」報告について=

2005年6月21日
全国労働組合総連合
事務局長 坂内 三夫


  1.  6月21日、政府税制調査会(石弘光会長)は個人所得課税改革を柱とする「個人所得課税に関する論点整理」の報告書を発表した。
     報告書は、06年税制改正について、(1)05年度改正で半減された定率減税の廃止、(2)国から地方への税源移譲に伴い、所得税の税率区分を4段階から5段階に見直すなど所得税、住民税の抜本改悪を打ち出している。
     とくに定率減税の廃止と同時に給与所得控除や配偶者控除をはじめ各種控除の縮小・廃止までもおこなうというサラリーマン世帯を中心に大幅な負担増を強いるものである。全労連は断じて容認できない。

  2.  今回発表された報告書では、「様々な歪み、不公平を是正し、公平・中立・簡素な税制を構築していかねばならない」としながらも、その実態は、配偶者控除や特別扶養控除をはじめ給与所得控除、退職金への課税などサラリーマン世帯を狙い撃ちしたかのような大幅負担増となっている。研究機関である日本総研の試算によれば、この改悪がおこなわれれば06年分定率減税の廃止をふくめ「10兆円台前半規模の税負担増」であり、国民1人あたり年8万円にのぼる増税になる。唯一の減税である「子育て支援」の所得税税額控除など、まったく効果は期待できない。
     全労連は、こうした大増税計画の一方で、公共事業や軍事費などの浪費や史上最高益の利益をあげている大企業、高額所得者への優遇税制には一切手をつけず、「取れるところから取る」という庶民大増税には反対である。
     また財務省の諮問機関である財政制度等審議会では、2015年時点で、国の一般会計のプライマリーバランス(基礎的財政収支)は24兆円9千億円もの赤字になることが予想され、この約25兆円もの赤字解消にむけ、「消費税率19%分の引き上げが必要」と指摘している。
     今回の増税案は、将来の消費税大増税にむけた第一歩であり、これを許すならば、「定率減税の廃止」「各種控除の縮小・廃止」「消費税率引き上げ」のトリプルパンチで労働者・国民の生活や家計は壊滅的打撃を受けるのは必至であり、安定した日本経済の回復など到底のぞめない。

  3.  全労連はこの間政府および政府税調に対し、憲法に則って応能負担原則を徹底し、現在の不公平税制を改め、税負担の公平確保のため、(1)累進的な総合課税による所得の再配分機能の確保など税負担の公平確保の実現、(2)大企業優遇税制の是正、(3)消費税率引き上げ反対、(4)政府税調等の税制改革審議に対する全面的情報公開を求めてきた。
     全労連は労働者・国民を「増税地獄」に陥れる政府の大増税計画に強く反対し、国民諸階層と共同し、増税ストップにむけてたたかう決意をここに表明する。