【声明】

第28期中労委労働者委員の偏向任命に対する抗議声明

2004年11月16日
労働委員会民主化対策会議
全国労働組合総連合(全労連)
純中立労働組合懇談会(純中立労組懇)
日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)


 政府・厚生労働省は11月16日、第28期中央労働委員会の任命にあたり、公平に公正であるべき行政の基本原則を踏みにじり、またもや15名全員の労働者委員を連合が推薦する候補のみ独占させる偏向任命を強行した。全労連・純中立労組懇・MICが推薦した今井一雄、泉部芳徳両候補を意図的に排除したこの不当な任命は、ILO第87号条約の結社の自由原則に違反し、憲法が保障する「法の下の平等」を政府自らが蹂りんする暴挙であり、我々は強く抗議する。

 労働委員会は不当労働行為から労働者・労働組合を救済すること、国営企業等のストライキ権剥奪の代償を担うこと等を目的に設置された行政委員会であり、構成する委員が公平・公正に選出されるべきことは当然である。旧労働省も任命の基準として労働組合系統別に配慮するよう通達をだしている(1949年・第54号通牒)。厚労省の調査によれば、連合の組合員約680万人に対し、全労連・純中立労組懇・日本マスコミ文化情報労組会議の組合員は120万人であり、組合員数の構成比でみても、連合以外の系統から推薦された今井・泉部両氏が任命されてしかるべきである。

 政府は、第21期から今期(第28期)まで、連続8期16年にわたって「連合」というただひとつの潮流のみを認知し、他の潮流を一貫して無視・排除し続けている。これは政府による「不当労働行為」とも言えるものであり、早急に是正されなくてはならない。このような政府の任命方法については、すでに02年6月、ILO結社の自由委員会から「政府が特定の一組織に特別待遇を与えることにより、労働者が所属しようとする組織に関する労働者の選択に直接あるいは間接に影響を及ぼすこと」は、「ILO87号条約に定めた結社の自由原則違反である」との勧告が出されている。さらに、03年3月には「第28期の任命の機会に是正措置をとることを希望する」との是正勧告も出されている。しかるに政府はこの勧告すら無視した。

 長引く不況の中、倒産・解雇・組合潰しが横行し、労使紛争が頻発しているにもかかわらず、労働委員会にもち込まれる事件数は微増にとどまっている。長期に続く政府の偏向任命が、多くの労働者・労働組合の労働委員会への信頼を喪失させ、労働委員会の審査の長期化による機能低下とあわせて、労働委員会制度そのものの形骸化を押し進める一因となっているということを、政府は直視すべきである。

 われわれは、政府の労働者委員不公正任命に抗議し行政不服審査申立を行うことを確認した。幾度となく繰り返されつづける偏向任命という異常な行政を正すため、今後、さらに多くの労働組合と力をあわせて引き続き闘う決意であることを表明する。