【談話】

雇用の流動化・不安定化を一層促進する労働者派遣法・職安法改悪法案の衆議院厚生労働委員会採択に抗議する

2003年5月21日
全国労働組合総連合
事務局長 坂内 三夫


  1. 本日、衆議院厚生労働委員会は「職業安定法及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の一部を改正する法律案」を野党の反対を押し切って可決採択した。職安法改悪法案では職業紹介事業の許可手続きを一層規制緩和し、本来、国民の勤労権を保障するために国家が責任をもって職業紹介を行うべきものを、営利目的の民間企業にゆだねる方向を強化しようとしている。労働者派遣法改悪法案では派遣期間を1年から3年に延長。物の製造への派遣を解禁しようとしている。
     全労連は改悪法案は派遣労働者の労働条件や権利を確立する方向でなく、劣悪な派遣労働の一層の拡大につながるものであり、断じて容認できない。日本の労働者の働き方を大きく覆す重大な法案を厚生労働委員会で十分な審議もつくさず採択されたことに強く抗議する。
     全労連はさらに参議院段階での廃案をめざして、奮闘するものである。

  2. 本来、派遣は一時的、臨時的なものであり、高度な技術を要する業務にのみ限り、例外的に認められるべきであり、事実上、一般事務も含めあらゆる業務に無制限で派遣労働が導入されている実態こそ、規制・監督を厳しくし、改めるべきである。物の製造への解禁はすでに擬装請負と言う形で違法派遣が行われている実態を追認することになり、一層の派遣導入を促進することになる。国会論戦のなかでは、野党側、参考人などから、正規労働者との代替が促進させられるとの危惧に対して、厚生労働省側は「一律規制はできない。歯止めは労使のルールで行ってほしい」と派遣法の欠陥を答弁せざるを得なかった。与党側参考人となった日本経団連松井氏の発言では派遣法改悪がまさに正規労働者を派遣労働者に代替していくことを促進するものであることを臆面もなく示し、政府与党が、労働者保護をかなぐり捨てて、企業・財界におもねる腐敗政治をおしすすめていることを露呈した。

  3. 自民党の坂井隆憲衆議院議員が人材派遣会社からの政治献金疑惑で逮捕されるなど、派遣法をめぐる疑惑が存在しており、衆議院での審議でも何ら解明されていない。派遣会社は今日の大不況のなかでも年間売上高1兆9千億、対前年比16.4%増と飛躍的に収益を伸ばしつつある。これはすべて、正規労働者の代替として、低賃金・劣悪な労働条件で派遣労働者の供給を拡大している結果である。
     私たちは同法の廃案を求めると同時に、参議院段階での徹底審議によって、派遣法の法的規制と監視を強め、派遣労働者の権利・労働条件の向上がはかられるよう、運動を一層強化するものである。
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