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許すな!「過労死促進、格差容認、非雇用型労働の普及」
8時間働けば、ふつうに暮らせる社会を実現させよう!
安倍「働き方改革一括法案」阻止!2.10決起集会を開催

労働法制中央連絡会

 労働法制中央連絡会は2月10日、全労連会館2階ホールで、「許すな!『過労死促進、格差容認、非雇用型労働の普及』8時間働けば、ふつうに暮らせる社会の実現を!安倍『働き方改革一括法案』阻止!2.10決起集会」を開き200人が参加しました。2月下旬に国会上程と言われる法案を阻止するため、たたかう決意を固めあいました。
 労働法制中央連絡会・小越洋之助代表委員が主催者あいさつ。「政府は働き方改革として、一括して法案を通そうとしている。世論を形成することが大事だ。廃案にさせるため奮闘しよう」と呼びかけました。
 日本共産党の高橋千鶴子衆議院議員が国会情勢を報告。「予算関連法案後、真っ先に働き方改革関連一括法案の審議がされる。一括は絶対ダメ、大切に議論をしないといけない。攻勢的に対案を出し、迫ることが大事だ。以前提出した野党共同法案にインターバル規制の時間を入れるなど全体的にバージョンアップをする準備が進んでいる。野党は、一致できるところで一緒にやっていく」と述べました。

写真 娘は生きる気満々だった
 時間管理がされていたら過労死は防げたはず

 講演として、NHK記者として働き、過労死した佐戸未和さんの母親の恵美子さんと東京過労死家族の会の中原のり子代表が話しました。佐戸さんは「未和は2013年の都議選、参院選の報道で土日もなく連日、深夜まで働いていた。直前1カ月は209時間、その前の月は188時間もの時間外労働だった。なぜ長時間労働が放置されたのか。上司は『記者は時間管理ではなく裁量労働、個人事業主のようなもの』と何度も言った。部下の命と健康を守るため上司が時間管理をしていたら防げたはず。未和は仕事に誇りを持ち、結婚を控え、生きる気満々でした。どんなことになっても生きていてほしかった」と声をつまらせました。

 働き方改革法案は、時間をかけて国民の声を盛り込んだ法案に

写真 中原さんは「働き方改革法案に反対だ。小児科医の夫は高度プロフェッショナル制度と同じ働き方をしていた。この働かせ方には過労死するワナがある。上限規制はありがたいが、80時間という過労死ラインはどうなのか。80時間を超えていて労災認定される人、79.5時間でも認定されない人もいる。80、100時間と人が死んでしまう時間を法律で決めていいのか。政府は労働者・国民を過労死させないという気持ちがあるのか。時間をかけて、労働者の声を盛り込んだきちんとした法律にすべきだ」と訴えました。

 働き方改革は悪法の上塗り 改善でもなんでもない

 自由法曹団の鷲見賢一郎弁護士が働き方改革一括法案について報告。はじめに「悪法の上塗りが今回の法案。改善でもなんでもない」と批判。働き方改革のキーワードは多様で柔軟な働き方であり、労働法の適用がない働き方を広げるものと指摘し、「雇用対策法は、雇用や労働法を根本から変えるものだと」批判しました。時間外労働の上限規制について、「脳・心臓疾患の場合45時間を超えて時間外労働が長くなるほど、業務と発症との関連性が強まる。労基法に100時間、80時間と書くことは過労死合法化だ」と述べ、「時間外労働と休日労働を合わせて1週15時間、1カ月45時間、3カ月20時間、1年360時間等の上限を罰則付きで法制化する必要がある」と強調しました。高度プロフェッショナル制度では「24日間連続24時間勤務を命じることも可能であり、年収要件が引き下げられる危険性がある」、「裁量労働は外回り営業などに拡大する狙いがある」、「同一労働同一賃金と言っても基本的な差別は残したまま、手当は少し変えるというもので、格差固定化・差別容認のままだ」と指摘しました。

 契約社員、アルバイトにも裁量労働の拡大狙う

 労働法制中央連絡会・伊藤圭一事務局長が情勢報告。「検討会や審議会では、非雇用型の働き方に移行していくための議論がされ、『雇用労働者は過保護すぎる』と、労働基準法などにおける労働者保護法制の水準を下げる話ばかりがされている。労働者保護法制をなくそうという流れ中で、一括法案が出されている」と述べました。裁量労働の対象について「政府は、契約社員やアルバイトにも裁量労働の適用ができるとの答弁書を決定した。みなし労働8時間で働くアルバイトが最賃で9時間働いたら最賃割れとなるのに、こうしたことが直ちに違反とはならないと答弁している。つまりみなし時間を超えた就労は裁量の名による自己責任とされる」と新たな問題点を指摘しました。「雇用されない働き方を普及し、雇用契約でも長時間労働も自己責任。労働法はあって無きがごとしになってしまう。与党は数を背景として強気。野党が足並みを揃えて対決するためにも、労働界がたたかう声をあげ、対決の構図を作らないといけない」と指摘しました。

 一人が倒れるとドミノ倒しが起こる

 働き方改革の実態やたたかいの報告では、長時間労働、非正規雇用、請負・業務委託、女性労働、労働行政など各分野から10人が発言しました。
 全教の米田雅幸副委員長は「文科省の調査では、病気休職者のうち精神疾患者の占める割合が2005年から60%前後で高止まりしている。教員の1日あたりの学内勤務時間は小学校で11時間15分、中学校で11時間32分。1.4〜1.5人分の仕事をしている。教職員は100%の出勤率を前提に成り立っていて、一人が倒れるとドミノ倒しが起こる。文科省は、看過できない状況であるとしているが、働く権利を守る立場に立っていない。定数の改善が必要なのに、ドリルの丸付けを、人を雇ってやらせると言う考えだ。生徒がどこでつまずいているか、そこをどう教えるかが大事なのに。」と実態を述べました。

 国民の命と健康を守るために働く人たちが、健康でいられない状況

写真 医労連の松田加寿美中央執行委員は「医労連で、『医師の働き方改革に関する検討会での緊急的な取組骨子案』に対する談話を出した。医師の過労は医師不足が原因。ところが政府は、医師は増やさず、医師の業務を看護師に移行するという。これは安全にもかかわる。医師ユニオンとも共同して増員を求めている。研修医や看護師の過労自死が続いている。札幌KKR医療センターの新卒看護師は長時間・過密労働と自宅での自己学習で、睡眠が2〜3時間という状況で過労自死した。労災が認められず、裁判でたたかっているので、ご支援をお願いしたい。国民の命と健康を守るために働く人たちが健康でいられない状況で働いている。8時間働けば普通に暮らせることが大事だ」と訴えました。

 非正規を組織し、均等待遇めざす

 自治労連の西芳紀中央執行委員は「自治体では、正規の非正規への置き換えが進み職員3〜4割が非正規職員という状況。年収200万円未満のワーキングプアを生み出している。さらに総務省は会計年度任用職員というものを導入しようとしている。支給されていなかった手当が出るようになるから改正だというが、正規がやるべき業務を崩し、いつまで経っても非正規のままで雇止めの危険性にさらされ続ける人を増やすことになる。また、フルタイムとパートがあるが、1分でも短ければ格差をつける。自治労連では、正規・非正規つなぐアクションに取り組んでいる。非正規は未組織が多く、組織化することが大事だ。均等待遇をめざす」と報告しました。

 裁量も、労働者保護もない ストップ!ライドシェア

 自交総連の菊池和彦書記長は、「安倍政権は、一般ドライバーの自家用車による『ライドシェア』を解禁しようとしている。楽天の三木谷氏が理事長である新経済連盟は、ライドシェアは好きな時に働くことができる柔軟な働き方で、新たなライフスタイルを実現できるとしている。主婦や若者、シニア層が空いた時間に働けるなどという。しかし、雇用関係によらない働き方を拡大し、裁量もない、労働者保護もない、車も燃料も社会保険料も自己負担。ひどい働き方となる。アメリカではライドシェアが広がっていて、運転手が労働者であることが確認されている。ライドシェアをストップさせていきたい」と、ライドシェアの危険性とたたかう決意を述べました。

 フリーランスの推進でますます働き方が過酷に

 MICの是村高市副議長は「加盟組織の職場でも有期、フリーランスなど低賃金で働かされている実態がある。印刷業界では有期や業務委託がたくさんいる。昔は、印刷会社に勤める夫の妻の主婦が在宅で原稿を入力し、夫がデータを会社に持っていくということがあった。パソコン上でやり取りするようになると短期納期で朝までにデータ入力せよということになる。フリーランスの推進で、ますます働き方が過酷になる。3月2日に東洋大学の鎌田教授を講師に、雇用によらない働き方の学習会を開く」と話しました。

 辞めるか、個人事業主になるかと迫られ

 全労連・全国一般の林博義書記長は「丸八真綿の販売子会社ハッチー二丸八の労働者を組織化した。50人のうち正規が10人、他は個人請負だ。正規で働いていた人たちが『会社を辞めるか、個人請負になるか』を迫られ、個人事業主になっていった。売り上げの管理がされ、32%が手数料として支払われ、そこから車のリース、ガソリンなどの経費が引かれる。そのうえ国保・年金の保険料、税金と自己負担となる。収入より支払いが過剰となる『マイナス賃金』のケースもある。暮らしが成り立たず、ダブルワークをする人もいる。正規に戻せ、労働条件の改善をとたたかっている。ただし、正規と言っても、50時間のみなし残業代が付いて24〜25万円。ノルマで100万円以上売らないと賃金が増えないので、若い人も辞めていく。働き方改革法案が通ったらハッチー二のような働き方が当たり前になる」と、警鐘を鳴らしました。

 権利を知って生かそう

 新婦人の小島妙子中央常任委員は「働き方の問題でも基本は憲法。憲法を生かすことを基本にすすめている。働き方を見直そうと『働き方カフェ』に取り組んでいる。ある組織では『2人目の子どもが生まれて、正規の保育士からパート保育士になった。夫は有期の3年契約で働き、2年半経ったら半年のクーリング期間がある。つまり半年間仕事がなくなる。その間レストランで働いているが、残業代も出ないし、社会保険もない。子どもが病気になったらどうしよう、将来が心配』と話していた。5年有期雇用の無期転換の問題では、多くの女性が権利を知らないで働いている。権利を知って生かすことが大事だ」と女性の労働実態を話しました。

 求人と違っても明示さえすれば許される!?

 全労働の河村直樹副委員長は労働行政について発言。「監督行政は、強化が求められているが、監督官は増えても、全体が減らされている。労災、安全衛生の担当者が減らされて業務にひずみが出ている。労働行政全体の増員が必要だ。ハローワークで職業紹介をしている人は、ほぼ非常勤。1年有期雇用で3年勤めたら自分の仕事が公募に出され、そこに応募することになる。クビになるかと心配で眠れないとの声が聞かれる。また、新しい職安法が1月に施行された。求人の時と実際に働いた時の条件が変更されていたら明示しなければならないというものだ。厚労省が作成したリーフには『30万円の求人が実際は28万円だった場合は明示する』『基本給25万円、営業手当3万円との求人が、実際には営業手当がなかった場合は変更明示する』と書かれており、事業主から『こんなことをやっていいのか』との問い合わせが来ている。求人票だけでは実際の労働条件は、どうなるか分からない。これは危険だ」と指摘しました。

 めざす社会を提起することが大事

 日弁連貧困問題対策本部委員の中村和雄弁護士は「2月28日に日弁連で『労働時間法制を考える院内市民集会』を行う。上限80時間などとんでもないと反対を明確にする。チラシをご覧いただきたい。アメリカのホワイトカラーエグゼンプションの調査に行ったが、アメリカの労働省の高官も『高度プロフェッショナル制度はとんでもない』とコメントしていた。1日8時間、月40時間以内の労働時間で暮らせる社会に変えていこう。最賃の引き上げや、社会保障のグランドデザインを作り、社会保障の改正を実現させることも必要だ。あるべき働き方、まともな賃金を打ち出す。同じ仕事には同じ賃金、困った人はみんなで支え合う、めざす社会を提起することが大事だ。人間らしい働き方、暮らし方をめざしてがんばる」と決意を述べました。

 働き方改革法案つぶすために全力で行動

 エキタスの山本耕平さんは「政府の『最低賃金でも裁量労働制は適用できる』との決定に反対し、2月25日に新宿でデモを行う。労働者はなめられている。安倍政権は、戦争法を通せたのだから、高度プロフェッショナル制度もどうってことはないと思っているのだろう。人の人生を軽く見ている。法案をつぶすため全力で行動する」とたたかう決意を述べました。

 職場・地域から法案阻止のたたかいを

 全労連の三木陵一副議長が行動提起。@地域・職場で学習と宣伝対話をすすめ国会請願署名をひろげるよう、A労働組合は統一ストを軸に3・15春闘統一行動に総決起しよう、B産業・業種や地方・地域で「働き方改革一括法案」に反対する集会・デモなどを計画し、「8時間はたらけばまともにくらせる社会を」の世論を大きく広げよう、C国会議員に労働者の怒りの声を直接ぶつける取り組みを強めよう、D「安倍働き方改悪」を持ち込ませず、時間外規制、均等待遇実現など職場要求の実現をめざそう、と呼びかけ、働き方改革一括法案阻止に向けて全力をあげる決意を「団結がんばろう」で固めあいました。

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