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2・18高齢者雇用と失業対策等について考える院内集会を開催
「雇用保険法等の一部を改正する法案」は十分な審議を
社会保障の充実を
全労連・労働法制中央連絡会

写真 全労連・労働法制中央連絡会は2月18日、衆議院第1議議員会館内で「高年齢者雇用と失業対策等について考える院内集会」を開き、50人が参加しました。予算委員会が開かれる中での急遽の院内集会でしたが、日本共産党の堀内照文衆議院議員が駆けつけ、あいさつをいただきました。

 今国会に上程されている「雇用保険法等の一部を改正する法案」は、雇用保険法、雇用保険徴収法、育児・介護休業法、高齢者雇用安定法、男女雇用機会均等法などが一括されている法案で、介護休業の分割取得、介護休業給付の拡充、65歳以上に雇用保険の適用拡大、シルバー人材センターの規制緩和などを内容とするものです。全労連・労働法制中央連絡会では、高年齢者雇用と失業対策について問題があると考え、実態を交流し、十分な日程をとって国会審議を行うよう求めています。

 全労連の野村副議長(労働法制中央連絡会代表委員)が開会あいさつし、「国会に雇用保険法等の一部を改正する法案がかかっている。さまざまな法案の一括法であり、よい部分、悪い部分があり、悪いところは修正させなければならない。年金・社会保障を充実させず、高齢者を働かせることで解決しようとしている。人間性を否定する働き方の実態を告発して運動を作っていこう」と呼びかけました。

 問題提起を全労連の伊藤常任幹事(労働法制中央連絡会事務局長)が行いました。雇用保険法等の一部を改正する法案について、「少子高齢化が進展する中で高齢者、女性等の就業促進及び雇用継続を図るためとされている。重要な法案なのに予算関連の一括法として、十分な審議日程を確保せずに通そうとしている。審議充実を求めていく」と述べました。雇用保険制度について「雇用状況は改善されていると言うが、不安定な雇用であり半失業状態だ。失業給付の機能改善は今も必要であり、国庫負担の原則通りの実施で財政確保をして、2003年改悪以前の給付水準へと戻すことや、給付制限の廃止などを求めていく」と強調。また、高齢者雇用問題については「年金改悪で働かなければ生きていけない高齢者を生み出し、その人たちを人手不足の産業分野で低賃金雇用あるいは有償ボランティアで活用しようという発想。高齢者の間に格差と貧困をもたらすとともに、労働市場全体に悪影響を及ぼす可能性がある。シルバー人材センターの雇用仲介機能を広げようと規制緩和を提案している点については、シルバー就労現場で多発している問題を告発し、改善策をとらせることが必要だ。シルバー人材センターが行う派遣・職業紹介事業の規制緩和は改善効果が発揮されるまでは見送ることを求める」と訴えました。

●65歳で解雇されたら50日分の一時金しか出ないのは問題

 全労働の河村副委員長が、雇用保険法のもとになっている雇用保険部会報告について報告。「そもそも雇用情勢は確実に改善しているというが認識が違う。再就職は容易ではない。雇用保険は再就職活動中の生活を安定させ、労働力を安売りにしないためのもの。給付を薄くし、再就職を急がせることは問題」と指摘。

 また、65歳以上への雇用保険の適用の拡大については、「例えば、64歳で解雇されたら失業給付が240日分だが、65歳で解雇されたら50日分の一時金しか出ない。給付の公平さ、負担と給付の公正さを欠いている。潤沢な積立金があるからと雇用保険料率を引き下げようとしているが、必要な給付を行ってこなかったからだ。必要な給付としていくら必要かを議論すべき」と指摘しました。

●高齢者にまともな仕事を

 建交労神田副委員長は「生存権・勤労権を守り発展させる立場で、高齢者・失業者などの就労促進を行ってきた。粘り強い交渉で、高齢者事業団を、高年齢者の雇用の担い手として認めさせることもしてきた。シルバー人材事業の規制緩和は、事業団や他の事業者にとって、圧迫となる可能性がある。16春闘の全国要請書には、高齢者雇用安定法の改正についての要求もいれている。これからも、まともな仕事をよこせ、公的就労第一と、国・自治体に要請していく」と述べました。

●低賃金で働く年金受給者ドライバー

 自交総連の菊池書記次長は「タクシー・バスの仕事は、低賃金で労働条件が悪いので若い人が入って来ない。高齢者が多く、年金をもらいながら働いている。これが賃金低下を加速させている。中には、『年金とあわせて最賃を割っていないから問題ないだろう』と真顔で言う経営者までいる。年をとれば身体機能は低下するし、肉体的にきつくなる。年金がしっかり出ていれば、体に鞭打って働く必要はなくなる」と実態を紹介しました。

●経費削減のためシルバー人材を活用

 自治労連埼玉県本部の林特別中央執行委員は、「学校用務員など正規、非常勤、シルバー人材センターが混在して働いている。シルバーは労基法が適用されず、ある当局は経費削減のためと公言している。別の自治体でも、正規、非常勤、シルバーがパッカー車でごみを収集している。その中には70代の高齢者もいる。民間は人手不足で、そこに委託すると支出が多くなるから、シルバーの活用が当然ということになっている。そうした中で、シルバーの就労中の事故、死亡事故も起きている」と自治体の委託事業の現場の状況を報告しました。

●シルバーで働くのは「生きがいではなく、生活のため」

 八王子労連の中村事務局長は、シルバー人材センターで働いているSさん(68歳)から聞き取り調査をした内容について報告。「65〜70歳までが登録できるが、1度登録すれば80歳でも働ける。登録費は2000円で、仕事がなくて辞めても戻ってこない。Sさんは、タバコの吸い殻清掃を1日5時間、月10〜11日、最賃違反の時給869円で行っている。屋内の仕事である市のホール清掃や接客はしたがる人が多く、なかなか就けない。Sさんのような屋外の仕事は人気がない。シルバー人材センターの管理部門は、市からの天下りだ。ホールで働くシルバーの人たちが疲れるからと休憩を求めても、『5時間なのだから休憩はさせない』と言い、みんなが不満を持っている。生きがい就労などというが、生きがいをもち、エンジョイしながら働いているという人はいない。生活のために働いている」と訴えました。

●生涯現役と言って高齢者をだまして働かせる政府

 年金者組合の高山書記次長は「年金受給額は5万円未満が19.5%、10万以下が37.1%と半数が10万円以下だ。年金が連続引き下げされて低水準となっていることを、生涯現役だ、生きがいだと言ってだまし、高齢者を働かせようとしている。豊かに暮らしていける老後にすることが重要だ。年金者組合では最低保障年金制度を作り、月8万円を保障させ、支払ってきた保険料にみあった上乗せをするよう要求している」と訴えました。

●シルバー人材センターが介護の安価な受け皿に

 中央社保協の前沢事務局次長は「2015年4月から介護保険が改悪され、要支援1・2のヘルパーとデイサービスの給付が廃止されて、市町村事業に移行された。サービスの内容や価格、利用者負担は市町村の裁量で決められることから、予算の範囲に抑えられる。

 東京・大田区の計画には、訪問型サービスの実施者に、シルバー人材センターが入っている。利用者負担は1回500円、30分以内。資格もない人を、ただ安価に使おうとする高齢者の活用は問題だ」と指摘しました。

●65歳以上の失業給付が一時金では法のもとの平等に反する

 報告を受け、参加者が発言。建交労北海道本部の俵さんは「シルバー人材が派遣・紹介事業を進めると、地域が混乱する。若い人たちの賃金・労働条件の引き下げにつながる。都市部では、民間事業者と競合し、料金が低い方に流れていくことになる。雇用保険の適用拡大について、65歳以上だと失業給付が一時金しか出ないのは、法のもとの平等に反する。一般の人と同様にすべき」と強調しました。

 全労連の仲野常任幹事・社会保障局長がまとめ・閉会あいさつを行いました。「雇用保険法等の一部を改正する法案」について「介護休業の分割取得など改善面もあるが、毒まんじゅうであることを大きく訴えていく必要がある。参院選挙もあり、会期延長がないことから、十分に審議させることが労基法改悪法案を審議入りさせないことにもつながる。

 交通・運輸だけでなく、居酒屋チェーンのキッチンなどでも高齢者がたくさん働いている。事故が多発しており、高齢者の労働安全衛生の問題は深刻だ。高齢者雇用問題で、おおきな運動を作っていこう」と呼びかけました。

 
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