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「私たちは奴隷じゃない」
中国人研修生裁判、熊本地裁で完全勝訴判決

写真 全労連の熊本ローカルユニオンに加盟し、2007年に裁判に立ち上がった中国人研修生ら4人(22〜25歳)が、熊本県天草市でワコールの女性用下着の縫製会社2社(共に廃業)と受け入れ機関などを相手取り、未払い賃金や慰謝料の支払いなどを求めた訴訟の判決が1月29日、出された。
 熊本地裁の判決は完全勝訴となった。裁判長は、2社と受け入れ機関に計約1,730万円の支払いを命じた。同様の訴訟で受け入れ機関の責任を認めたのは全国初。賠償を命じられたのは、縫製会社と研修生受け入れのため事業者が設立した「プラスパアパレル協同組合」で、財団法人国際研修協力機構(JITCO)に対する訴えは棄却された。
写真  4人は中国・山東省出身で06年4月と7月に来日したが、1日約13時間働き、休日は月1日程度で、給料は最低賃金以下だった。判決は、「『研修』とは名ばかりで実態は労働者だった」と指摘し、研修1年目は禁止されている時間外労働もあったとした上で、熊本県の最低賃金額を適用し、未払い賃金や残業手当など約1290万円、慰謝料など440万円の支払いを命じた。また経営者が4人の預金通帳や印鑑を管理していたことは労働基準法で禁止された「強制貯金」にあたるとし、逃亡を防止しようと旅券を預かったことも「違法な労働状態を助長する」と指摘した。
 全労連大会に出席し、熊本県労連の代議員として発言したこともある谷美娟さん(22)は「うれしくて涙が出た。外国からの労働者たちと日本人と仲良く区別なく働けるように頑張らないといけない」と語った。
 弁護団は、「判決で流れができた。全国の訴訟に大きな影響を与える意義がある」「受け入れ機関の責任を認めたのは初で画期的。昨年の津地裁に続き、勝利の流れができてきた」と、判決の意義を強調した。

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 裁判で、受け入れの窓口となった協同組合の責任を認めたのは全国初のことで、研修生や実習生にとって権利確立のための画期的な第一歩となった。
 2月9日、原告の2人と熊本県労連事務局長、弁護団らが上京し、日本共産党国会議員団と懇談、終了後、法務大臣宛の「手紙」を持って法務省を訪ね、入国管理局の田内正宏局長に会見した。2人は、入管で「(中国)青島から夕方、日本に着くと社長にパスポートと印鑑を取り上げられ、その日から働かされました」と、体験を切々と紹介した。ワコール末端の下請けの縫製の仕事は午前8時半から夜10時まで、月給は6万円で残業代は時給300円、寮は1部屋12人、ノルマが終わらないと「ばか」と怒鳴られたことなどを話し、日本における奴隷的な労働実態について、一日も速く改善されるように訴えた。

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 夜は、全労連会館で「馮 桂芹さん、谷美娟さんを励ますつどい」が開かれ、大黒作治議長がこの間のたたかいにねぎらいの言葉をかけ、2人は事務局員らと親しく懇談した。
 「私たちは、この制度の問題点を告発し、全労連が呼びかける『多民族・多文化共生の社会の実現』に向けて、中国に帰ってからも頑張っていきたい」「日本で得た精神的な支柱を中国の皆さんに伝え、日中友好のため頑張りたいと思います」「日本人はみんな社長みたいな人かと思ったけど裁判を通じてやさしい人もいると、日本を好きになりました」と話した。

 
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