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非正規雇用労働者全国センター準備会発足

 全労連は3月19日、非正規雇用労働者全国センター(仮称)準備会の発足集会を開催。非正規で働く仲間をはじめ、労働組合役員、研究者、弁護士など96名が参加した。

非正規の運動を束ねて

 非正規センターは今年の7月に全労連大会で正式発足となるが、現在すでに運動を進めているパート・臨時労組連絡会、ヘルパーネット、外国人問題連絡会、派遣・請負労働者連絡会を束ね当該労働者のたたかいをサポートするとともに、非正規雇用労働者の雇用や労働条件、生活にかかわる要求を全労連全体の課題として、実現していく役割を果たす。また、非正規雇用労働者の実利・実益に役に立つ情報をはじめ非正規雇用労働問題についての幅広い情報を提供するとともに、「実態調査」や政策提言活動にとりくみ、「シンクタンク」としての役割も担う。また非正規雇用労働者の相互交流、相互扶助、連帯活動を具体化していく。当面、派遣法の抜本改正の運動に取り組むほか、貧困フェスタに参加するなど他団体との連携を深める。また、正式発足後、すぐに若者の健康実態調査に取り組み、非正規で働く若者の健康実態を明らかにして広く社会にアピールするとともに政策提言に役立てる。
 主催者あいさつで全労連坂内三夫議長は、「労働組合はすべての労働者に生きるに値する生活を保障する責務がある。企業内男性正社員中心主義や労使協調、産別セクトを乗り越えない限り時代の求める姿に脱皮することはできない」とした。そして、「全労連にはすでに非正規の運動の積み重ねがある。200万に達する非正規労働者のみならず労働者全体を視野に入れ、転換期にふさわしい取り組みにしよう」と呼びかけた。

官製ワーキングプアをなくせ

 続いて、全労連の非正規労働者の取り組みがDVDで紹介された後、非正規で働く組合員が壇上に上がった。大阪の学童保育指導員の上垣優子さんは大阪労連の行った臨時・非常勤自治体アンケートの結果から、窓口業務では約3割、保育士は約5割が非正規労働者で、同じ時間働いても年収は正規の3分の1。国保税が払えない公務員もいると「官製ワーキングプア」の実態を告発。20年以上働いても「臨時職員」、毎日働いているのに労働時間がちょっと短いだけで「非常勤」など働く実態と違うラベルを貼って、労働条件の低いところでとどめている。賃金は一般事務で民間の地域相場より100円低い。時給引き上げを官民一緒に頑張っていこうと呼びかけた。

最賃違反を是正

 アルバイトで働く、新宿一般の組合員のAさんは、組合加入のきっかけとなった病院の夜間当直で働いた経験を告発した。採用の際の説明では1日15時間で1万2千円。休憩もあり、当直室でゆっくりできるという話だった。実際は、当直は一人で休憩どころか、寝ることも食事をとることもできない。計算すると時給は695円になり、東京都の最低賃金793円を下回っていた。我慢できなかったのは業務内容で、アルバイトの当直事務である自分が一人で救急隊からの要請を受けることになっていた。しかも、その際、精神疾患のある患者、生活保護受給者、協立病院からの患者は断ることなどという基準があった。あまりのひどさに新宿一般に相談、加入し、団体交渉で最賃違反部分の差額は全額支払われたが、業務内容については厚生労働省も地域の病院で話し合って対応してくれと言うばかりだと訴えた。

ヘルパーが働き続けられる介護報酬を

 元ヘルパーの東京医労連米沢哲さんは、昨年秋のヘルパーアンケートの結果から、低賃金、不安定のヘルパーの労働実態を実例を交えながら話した。月収10万円以下の労働者が東京で53%、全国では60%を占める。非正規のヘルパーは圧倒的に月収10万円以下であり、訪問介護では6割以上が非正規労働者となっている。チラシなどの募集広告では時給1400円、1600円と出ているが、移動時間は無収入なので、実際の拘束時間を入れて計算すると時給700円から800円になり、これでは生活を支えていけない。さらに利用者が突然、入院すると簡単に月5時間分の仕事がなくなってしまい、「月何時間働く」という雇用契約すら交わされていないと、介護職場の不安定さを訴えた。ある母子家庭のお母さんは「この仕事は好きだが、体を壊すわけにはいかない」と時給は安くても安定している他の仕事に移っていったし、男性はヘルパーの賃金では家族を養えないと、結婚を契機に「寿退社」するという。一刻も早く、介護報酬を引き上げなければ介護を支える労働者がいなくなり介護保険制度は崩壊するだろう。介護労働者の組織化を進め、制度改善を勝ち取っていきたいと話した。

外国人労働者に年金・社会保険を

 フランシスコ・フレイタスさんはJMIU静岡西部地域支部のオルグ。同支部には250人の外国人がいる。昨年秋に自動車関連のK工業で24人の分会を結成した。3回団体交渉を行って、ポルトガル語での就業規則や介護休暇取得用紙の作成、有休の自由取得、作業服・帽子の支給を要求している。合わせて、企業内最賃1000円以上の要求書を提出している。
 日本で働くブラジル、ペルー人の社会保険未加入問題など1歩でも2歩でも前進させるため力を合わせたいと語った。

非正規問題の本質は差別だ

 労働総研の牧野富雄代表理事が、「非正規問題の本質は、正規と同じ仕事をしているのに賃金や労働条件で格差をつける差別だ」と指摘。こうした差別と闘うことによって今までと違う労働運動になっていく可能性がある。3月19日は、語呂合わせでさーいくぞ!ということでともに奮闘しましょうとエールを送った。働く者の命と健康を守る全国センターの田村明彦副理事長は非正規センターと共同で行う「青年の健康実態調査」について、「今まで、若い人の健康は問題にされてこなかったが、長時間労働、労災から解雇など無権利状態の中、若い人の健康問題は深刻だ。7月の非正規センター正式発足とともに1万人の全国的な調査を行い、青年の健康上の問題点を明らかにしたい」と発言。自由法曹団の松井敏明団長は「昨年10月からワーキングプアの問題を私たちの活動の柱の一つにしようと決めた。弁護士になったばかりの人たちはちょっと前まで非正規労働者。同じ仲間の権利を守らなければと熱心にやっている。10年もすれば自由法曹団、大いに実績を上げて、差別の根絶まであと少しというところまで運動をすすめたい」と展望を述べた。

 
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