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国旗 世界の労働者のたたかい
イタリア
2003

賃上げと協約更新のたたかい

<ガス・水道部門>
 ガス・水道部門では、年初以来、3年以上まえに期限の切れていた協約更新のための紛争が激化した。経営側は2002-03年の2年で10万リラと過去の未改定分として12万リラを提案したが、組合側はこれを不満として、時間外労働の停止と1月29日から2月15日の間に地域毎に分節化された16時間のストライキを行うことを決定した。3月1日、交渉開始から数えて1年以上の長い困難な交渉と48時間におよぶストライキのすえ、協定に達した。公私の750以上の企業に働く5万人の労働者にかかわる協定である。
 従来、この部門では水道部門で3つ、ガス部門で1つ、計4つの協約があり、賃金や規則は相互に異なっていたが、それが1つの協約に統一された。イタリアでは近年この部門の市場自由化がおこなわれ、さまざまな企業の3入が進んで部門全体に同質的なルール(労働時間、パートタイム採用規定、企業での組合権限など)が求められていたのである。
 組合は、企業間競争が労働コスト引き下げではなく、サービスの質や効率向上による料金引き下げをめぐって行われるかぎりで、単一協約は市民にとってもプラスの影響を持つだろうとしている。賃金部分では、2002−03年の平均アップ額は69ユーロで、さらに長い協約空白をうめるため1295ユーロが支払われることになった。

<繊維・被服部門>
 では、他部門の全国協約に比べてかなり低い賃上げ提案を不満として、組合は3月8日に4時間のストライキを設定した。しかし、ストライキが実施される前に3月1日から2日にかけて協定が成立した(関係労働者約60万人)。平均の賃上げ額は71.30ユーロで、02年4月に26ユーロ、10月に23ユーロ、03年4月から22.30ユーロと3回にわけて引き上げられる。組合代表の評価は「獲得された成果は、以前の2年間(2000年−01年)のインフレ差額分が回復され、今後2年間の計画インフレ率に相当する分が支払われる限りで、要求綱領にそっているし賃金購買力を守っている」と積極的であった。
 今回の協約更新の重要な新しさは繊維・被服労働者にとって極めて重要な職業資格の修正である。すでに労働者が持っているが全国協約が定める分類では認められていない専門性や企業で起こっている組織上の新しさによりよく対応する新しい職業資格分類システムが規定された。このシステムが修正されたのは25年ぶりのことであった。ただし、同じ繊維部門の職人企業(従業員15人未満企業)の労働者については、協約当事者である経営者団体が別で、交渉は難航し3月28日の4時間スト、7月19日の8時間ストにもかかわらず、協約更新の合意はできていない。
 01年末で期限の切れていた地方公共交通部門の賃金部分の協約は、公私、特殊法人の約1200企業に属する12万人以上の労働者にかかわる。この協約更新のたたかいは5月17日の4時間ストで始まった。このストライキへの労働者の参加率は輸送活動従事者で100%。、駅職員で90%。強と極めて高かった。さらに、組合は6月21日の8時間ストライキを宣告した。しかし、経営者団体は意見交換の開始すら拒否し、5月21日、労働省でスト回避のため開かれた会談も成果をみなかった。
 組合側の要求は39時間から38時間への時間短縮のほか、02−03年2年間の平均106.39ユーロの賃上げであった。経営側の主張は賃上げの財源がないというものであった。だが、組合によれば「過去に財政的危機にあった輸送会社もコストの大幅な低下と効率性増大によって収支を改善している。例えば、Trambus(タイヤによる公共輸送網を経営するローマの会社)は、94年には13150人の従業員で1億1500万キロの営業キロを持っていたが、今では9667人で1億2200万キロを持つに至っている。同じ期間単位コストは5.68ユーロから3.17ユーロになり、一方、従業員当たり生産性は98年から今日まで19900キロから21000キロになっている」。近年の協約更新を通して進められた健全化政策のせいで状況は改善しているはずだというのである。また、賃上げ凍結の代償として経営側から提案された人員増についても、組合は「新規採用は不安定で、低所得で、協約で保護されないポストでの採用であり、職を探す青年に役に立たない」として受け入れなかった。
 この部門では、その後6月21日、9月26日、12月16日と3度のストライキが行われた。6月21日のストライキの状況は次のようなものだった。イタリアの全都市でバス、電車、地下鉄が止まった。3大労組傘下の交通部門組合が呼びかけた8時間ストであった。参加率は5月のそれより高かった。9月26日のそれも平均で98%、多くの職場で100%の参加率に達する大きな成功をみた。12月16日のストも多くの都市でほぼ100%の参加率をえて実施された。だが、経営側の姿勢に変化はみられなかつた。彼らは、2003年に始まるこの部門の市場自由化をまえに、労働コストの一層の抑制、団体協約の廃棄、労働者の様々な諸権利の削減をねらっているのである。

<公共部門>
 公共部門(政府、公社、地方団体、学校、研究開発機関等、関連労働者約350万)では、2月4日、使用者代表機関とのあいだで03年予算案に5.56%の賃上げを保障するための財源を確保する協定が結ばれ、2月15日に予定されていたストライキは回避された。7月に発表された各公共部門の全国協約要求綱領は、例えば、地方自治体部門では次のような要求を掲げていた。(1)協約体制については全国協約と補足協約の2段階システムの維持,(2)賃上げ額については、2000−01年の2年間の計画インフレ率と実質インフレ率の差額の回復分および02−03年の計画インフレ率保障分等、加えて地方自治体と他の公務部門の賃金格差を埋めるためのアップ。
 だが、10月になって明らかになった予算案は賃上げの財源を2月協定の定めた額以外は1リラも含んでいなかった。02年の実際のインフレ率は政府の予想(1.4%)を超えて2.4%(年率換算)になっていたのである。また、03年予算案が定める経費削減策の1つとして地方自治体への移転費は2%削減されたが、このため州政府には2月4日協定で約束した5.56%アップではなく4.56%分の財源しかなくなった。
 こうして、昨年につづいてベルルスコーニ政府の緊縮政策によって賃金購買力低下の危険にさらされた公務労働者は、他の諸要求も掲げつつ10月18日のゼネスト(後述)に高率で3加した。さらに12月13日、医療、地方団体、政府、公社の労働者は作業停止をおこなった。3加率は95%に達した。多くの事務所は完全に閉鎖され、ローマでは3万人規模の示威、トリノではFiat労働者のデモ(後述)と公務員のデモの合流が実現した。
 このほか、2002年には銀行と保険部門で労働協約更新のたたかいが行われた。銀行部門では2月7日から3月17日まで時間外スト、保険部門では11月14日にストライキが行われた。

解雇反対・不安定雇用規制のたたかい

<CGIL主導で3大労組が統一ゼネストへ>
  「労働者憲章法」18条修正(労働市場改革に関する委任法848号)に反対するたたかいは、1月、各州レベルで2週間にわたって数百万人を巻き込みつつ展開されたストライキのあと、2月には企業レベルのストライキが全国組織の指令なしに自然発生的に起こった。
 2月24日、約200企業を巻き込みつつボローニャ、モデナ、レッジョ・エミリア、リミニ、フェラーラなどで、ストと集会が始まった。2月25日にはFiatのMirafiori工場の労働者がストライキに入った。FIOMによれば組み立てラインは完全に止められ、千人の労働者が工場を出てデモをおこなった。2月28日にも幾つかの工場でFIOM,FIM,UILMのRSU(統一組合代表)の呼びかけたストライキが行われた。
 こうした組合攻勢にもかかわらず政府の姿勢に変化はみられなかった。ベルルスコーニは労使間協議を呼びかけ、そこで共通の見解がまとまれば受け入れるが、まとまらなければ単独で決定するとの立場を取った。政府との交渉では3大労組の立場は微妙な相違をみせ、CGILは孤立していた。2月20日、CGILは単独で3月23日、ローマで全国示威、4月5日には8時間のゼネストを行うことを決定した。
 3月23日ローマは特別列車、高速バス、車、キャンピングカーなどで全国から集まった300万の人々で埋まった。参加者は青年、大人、子ども連れ、老人など多様な人々であった。初めはUILに、ついでCISLに姿勢の変化がみられた。UILは、2月の大会後、下部労働者の声に動かされCGILとともに闘う方向を明らかにし、共通の立場を探るための話し合いを拒否していたCISLもゼネストも辞さないとの姿勢を示した。4月5日に予定されていたCGIL単独ゼネストは変更され、4月16日、3大労組による統一ゼネストが実施された。1300万の労働者が工場やオフィスを空にした。公共交通機関の多くが運休し、学校や銀行、市役所なども閉まった。フィレンツェでは40万人、ミラノでは30万人、ボローニャでも30万人、全都市で300万の人々が示威行動に3加した。20年来の規模のゼネストであった。

<政労使が7月新協定に合意>
 5月31日、4月16日のゼネスト以降膠着状態にあった法案をめぐる政・労・使関係は、首相官邸で行われた会談で新しい局面を迎えた。全使用者団体とCGILを除く労働組合のあいだで交渉を開始するとの合意がなされたのである。6月以降この交渉が進展するなかで、CGILは州別のストライキを実施する。6月20日のロンバルディアとカンパーニャでのストのあと、27日にはリグリア、ピエモンテ、ヴァッレ・ダオスタ、28日にはバジリカータが続いた。幾つかの地域では、4月16日のゼネストを上回る3加を記録した。だが、7月5日、CGILを除く政・労・使によって「イタリアのための協定」と呼ばれる協定が結ばれた。協定は昨年11月に提案された委任法案848号から「労働者憲章法」18条の修正や「社会的緩衝装置」(失業時の所得保障)に関する部分を取り除き、別の法案(第二848号法案)として提案することを決めたほか、労働者憲章法18条の適用除外、税制、労働需給のマッチング向けサービス、「社会的緩衝装置」についての合意を含んでいた。

<7月新協定をCGILが批判>
 CGILはこの合意に対して次のような批判をした。労働者憲章法18条の適用除外については、この合意によれば、今後3年間暫定的に、新規採用者はその雇用形態にかかわらず18条適用のための従業員数計算から除かれる。これまで18条の解雇規制(正当な事由や正当な理由のない解雇は現職復帰)は従業員15人以上の生産単位および従業員総数60人以上(同一市町村内では15人以上)を雇用する企業に適用されてきた。それ以外の生産単位・企業にはこの規制は適用されず、再雇用か一定額の手当支払いが義務づけられるにすぎなかったのである。従って、この適用除外の新規定が発効すると、従来18条が適用されていなかった生産単位・企業で新規採用がなされ、従業員15人以上になった場合でも18条は適用されないこととなる。この点でCGILは従業員数が同じ(例えば20人)でも、従来からその規模であった生産単位・企業と今後新規採用をしてその規模になった企業のあいだに、18条の適用で差が生まれる。新設される企業はそのすべてが18条によってもはや規制されないことになると批判している。
 協定締結者はこの修正が新規雇用を増大させると期待しているのだが、仮に増大したとしてもそれは18条の解雇規制の適用されない不安定な労働者にすぎないと思われる。18条適用生産単位・企業に雇用されていても解雇規制の適用されない労働者は現在でも存在するが、それはごく限られた特殊な契約形態の労働者であり、協定による修正は非適用労働者を大きく増大させると考えられるのである。
 他の問題でのCGILの批判は次のようなものだった。税制改革では「7月協定」は個人所得税の税率を23%と33%の2段階にすることによって累進性原則を侵害し、富める者を優遇しようとしている。労働需給マッチングサービスについて協定の合意内容は、労働市場向けサービスのすべての類型において民間業者の介入の完全な自由化にふれることによって委任法案848号の否定的内容を確認し、強化する結果になっている。また、「社会的緩衝装置」についての合意は失業時の所得保障をすでに定まった仕事をもつ人のみに与えるに過ぎないというのである。

<CGILが“2つのNo,2つのSi”500万署名、権利ツアー、権利祭り>
 7月6日、CGILは“2つのNo(反対),2つのSi(賛成)”となづけた署名運動の開始を決定した。それは、848号法案と「7月協定」の内容に反対し、イタリアの労働者が持っている様々な権利を現在持っていない人々に拡張するための法案作成と「社会的緩衝装置」の真の改革への賛同を求める署名運動であった。このキャンペーンの内容と動機を知らせるため、8月には《権利のツアー》が取り組まれた。工場やオフィスが休暇で閉められているあいだ、23日かけてイタリアの各地を4000キロにわたってキャンピングカーで旅行をし、署名をあつめるという活動であった。
 9月27日には、署名集めを促進するためCGILは「権利のための祭り」を全国120都市で開催し、市民を夕食に招いた。文化、芸術、スポーツ界の人々も参加した。もちろん工場やオフィスでも、10月中に目標の500万名に達するために必要な準備が行われた。
 10月、委任法案848号は成立した。それはCGILによれば、労働契約諸形態をいっそう不安定で不合理に多様化するための委任を政府に与えるものだった。そうした形態の一つは「スタッフリーシング」である。これは全従業員あるいは全生産ラインの従事者を外部企業に依存して調達し得る。それは派遣労働に似ているが、派遣労働が限られた期間、限られた人数について必要が認められた場合に限定されている点で異なっている。やはり政府委任に基づいて導入される別の不安定雇用形態には、「一時労働」、「呼び出し労働」などがある。
 “2つのNo、2つのSi”署名は11月、目標に達した(11月30日で506万4537人、まだ未集約の分もある)。新生児や高齢者を含めて人口5000万強のイタリアでこの数字は極めて大きな数字であった。署名は今後18条問題が再浮上する時に大きな意味を持つばかりでなく、不安定雇用労働者の権利の強化と社会的緩衝装置改革のための立法に影響をあたえること意図している。

フィアットの工場閉鎖・人員削減反対のたたかい

 Fiatは昨年10月、企業危機(93年この企業グループの負債は資産の140%であったが、01年には238%になっていた)に対応する再建策を発表していた。それは2002−04年期に18工場の閉鎖(国内で2工場、外国で16工場)、Rivalta工場の乗用車生産のMirafiori工場への移転、Fiat-Autoの4つのビジネスユニット(Fiat-Lancia,Alfa、顧客サービスなど)への再編などからなっていた。この再建策は6000人の従業員削減をもたらすものであった。
 6月7日、FIM、FIOM、UILMによって統一して宣告された4時間ストが実施され、労働者の高い参加を得た。トリノでは1万人以上の労働者がデモを行った。Mirafiori工場の全生産ラインは停止した。車体部門では80%、プレスでは80−90%、機械では70−90%、その他でも90−100%の参加率であった。トリノ地方の関連企業、部品企業でも参加は高率であった。7月12日にはFIOMが単独で呼びかけた4時間ストがあった。
 7月26日、FiatはFiat-Autoとグループ関連企業で2887名の労働者を移動リスト(解雇であるが通常の解雇と違って、職業紹介で優遇される人のリスト)に移す協定を労働省に提出した。FIM(CISL系),UILM(UIL系)などの組合がこの協定に署名していた。FIOMはこの案を拒否し、休暇が終わって労働者が通常の状態で仕事に戻って以降闘争状態に入ることを宣言していた。

<FIOMの経営批判とスト呼びかけ>
 FIOMの拒否の理由は、一つには、企業側の姿勢にあった。7月26日協定以前の2ヵ月半、企業は組合との交渉で移動手続きに署名することを要求するのみで、組合側の意見を全く受付けなかつたのである。もう一つは、FIOMが最初の会談以来、産業政策について論議すること、企業側の再建プロジェクトについてリアルで詳細な情報を得ることを求め、そのあとでのみ人員についての交渉に参加し得るという立場をとったのに対し、経営側がそれに応えなかったからである。組合からみれば、Fiat危機の原因は経営陣が世界経済のグローバル化に対応するための有効な戦略を描けなかった点にあった。他国メーカーの低環境インパクト車開発にみられるような革新的な自動車開発の努力が不十分だというのである。
 9月13日、トリノのFiat労働者は7月26日の分離協定に反対してFIOMの呼びかけたストに高い参加率で応えた。Mirafiori工場では70−90%、Suzzara工場では85%、Jesi工場では全ラインが止まった。11月15日にはストライキは全国的な規模に拡大した。ピエモンテ州(参加率70−80%)をはじめ、ロンバルィア、エミリア・ロマーニャ、ラツイオ、カンパーニヤ、プーリア、シチリアの各州でストライキや様々な示威行動がおこなわれた。
 12月3日、生産活動省で政府、企業、組合間の会談が設定された。再建プランで提示された過剰労働者8100人のうち半分は「再び工場には戻れない」との11月29日の企業側の言明のあと、技術レべルの交渉が中断状態になったのをうけた会談であった。部門の3大組合は、3者会談で展望が開かれなければ12月15日、6時間のストライキを行うことを決めていたが、会談は全組合を排除して政府と企業のみが合意する結果に終わった。この合意は「社会的緩衝装置」のFiat労働者への適用について組合と議論すること、2400人を長期間移動リストに入れることなどを定めていた。9日、5660名の労働者が賃金保障金庫(雇用契約関係は維持しつつ、仕事につかない期間、賃金の一定額を保障する制度)に登録された。さらに、来年6月には残りの約2400名が移動リスト入りさせられると予想された。3大労組は来年1月に全産業部門ストを行うこととした。12月13日、ピエモンテ州では、全産業部門の労働者が参加するストライキが行われた。参加率は80%で広場では6000人以上の労働者が示威をした。
 昨年来紛争の続いていた鉄道清掃部門の請負企業では、4月25日、予備協定が結ばれ雇用と所得の保障が獲得された。商業・サービス部門の組合はイタリア最大の一時的労働供給企業Obiettivo Lavoro(従業員450人)と派遣労働に関する最初の補足労働協約に署名し、この部門の全国協約に上乗せする賃金アップを実現した。また、NIDIL(不安定雇用労働者の代表組織)は伝統的労働者に与えられている権利と保護の不安定雇用労働者への拡張を要求して労働大臣へ抗議のファックスやメール送信を傘下の労働者に呼びかけるとともに議会への要請行動をした。

医療・福祉・教育切り捨て反対のたたかい

 10月中旬提示された03年予算案は、財政赤字を1.4−1.5%(EU基準3%)の範囲内におさめることを目指し、80億ユーロの経費削減策を打ち出していた。これは、政府職員の採用ストップ、地方自治体への移転費の2%削減、地方公共事業の事業契約をはじめ財・サービスの購入削減などをもたらすものだった。公的医療、国と地方の社会サービス、教育などへの深刻な影響が予想された。
 イタリアでは医療・病院事業は州の管轄事業になっていて、これまで州政府がその予算の約半分を負担してきたが、地方自治体への移転費削減は公的医療サービスへの支出削減を余儀なくする。それは市民にとってのサービス範囲の縮小につながるものであった。例えば、ラツィオ州では、昨年来のベルルスコーニ政権の公的病院民営化路線のもとで、すでに6月、赤字防止のため薬剤の有料制再導入につづいて病院部門での採用ストップが決定され、組合は病院の人員不足問題を一層深刻化させ、病院を麻痺させる危険があるとして同月28日ストライキを行っていた。
 こうした事態は10月以降多くの州に拡大すると思われる。教育関連では、政府予算案は03年から05年の間に33847人の教員ポストの削減、補助職員については同じ期間に6%。のポスト削減を予定していた。

<“イタリアのためのスト”>
 すでに7月、「7月協定」反対署名のあと、CGILは休暇あけの大規模なストライキを宣告していた。そのストライキは10月18日に実施された。CGIL指導部はこのストを“イタリアのためのスト”と呼んだ。それは労働者憲章法18条の修正、労働市場改革など“2つのSi,2つのNo”の署名運動に表現される要求ばかりでなく、税、医療、学校問題やFiatをはじめとする多くの企業(Ansaldo等)の雇用危機、南部の経済発展=雇用増支援策の後退にまでいたる国の将来にかかわる緊急な諸問題を争点とするストライキであるからだった。この日、イタリアの120の都市で数百万の労働者・市民・年金生活者が示威行動に参加した。公務部門、特に学校でのストへの参加は注目される。昨年この部門でおこった示威行動への参加を上回る45−50%の参加が記録された。南部でも結果は積極的だった。ナポリのAnsaldoなど幾つかの企業で100%から90%の参加率でストライキが成功した。

労働強化反対のたたかい

 郵便部門では、時間外労働が日常的になっている。窓口従事者は列をなす顧客のため全ての仕事を終えるのに、労働協約の定める10時間と比べて通常30分長く仕事をしている。この30分は賃金支払いの対象にならない。配達部門でも労働時間は協約で定められている6時間をこえ、作業負担は過度に増大している。労働者がこうした状況に反抗し、郵便物の配達を期日に行わない時には、処罰措置がとられている。こうした紛争はすでに1000件ほど発生している。労働者は2001年末で未取得の年次有給休暇を平均16日もっており、年次有給休暇数36日と合わせると02年に消化しなければならない日数は52日になる。5月25日開かれた郵便部門のRSU全国集会では、こうした状況に対するたたかいの方向が模索された。

組合員拡大のたたかい

 01年末の組合員登録で、CGILは540万人(前年比約5万人増)を越え、史上最大の組合員数に達した。増加は4年連続である。
 主な部門の特徴と増加数をみてみると、商業・サービス部門では、労働者の3割に及ぶ新旧交替にもかかわらず、昨年に比し約1万4500人(25万1520人から26万5000人)増加した。インターネットによる多くの労働者との接触などが功を奏したとされている。
 学校部門でCGILは、7000人以上増やして12万人、公務部門では約3万人増で36万人の組合になった。従来CGILの組織率が低かったこれらの部門で、近年RSU選挙では最も多くの得票を得ていたが、その傾向が組合員数にも現れた。
 建築部門では58000人の新組合員(総数約30万5000)を迎えた。職場が絶えず移動するという特徴をもつこの部門での著しい増加(6人に1人は新組合員)は熱心な勧誘活動の結果であった(作業場が開く前、朝7時から、夜遅く11時まで労働者との接触を求めておこなわれる職場訪問活動、30歳台の組合員の空白を埋めるため青年層の幹部を専門に組織活動に当てる“アンダー30作戦”など)。その他、年金者組合も組合員を増やしているが、地方によっては金属機械部門(ロンバルディア州)、繊維・衣服(プーリア州)でも組合員はふえている。組合員増の5分の4は現役労働者であり、CGILの一幹部はわれわれの活動への評価と共感の広まりが感じられるとしている。