| 概 観 
												
													| 2004年の指標 (「欧州委員会経済予測」2004年秋版、他)
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																| 経済(GDP)実質成長率 | 
																		2.6% |  
																| 消費者物価上昇率 | 
																		3.1% |  
																| 失業率 | 
																		11.1% |  
																| 財政赤字の対GDP比率 | 
																		△0.6% |  
																| 累積債務の対GDP比率 | 
																		△48.2% |  
																| 労働組合組織率(1999年) | 
																		14.9% |  |   3月14日の総選挙で、社会労働党が保守与党国民党を下して勝利し、サパテロ政権が誕生した。スペインでは、2000年総選挙で保守・新自由主義の国民党が勝利し、1996年以来、同党の政権が続いていた(最後はアスナール首相)。同政権は米英のイラク戦争を支持し、進んで派兵もしていた。サパテロ政権は、選挙公約を厳守し、イラクからスペイン軍を撤退させた。同政権は法定最低賃金の引上げ、社会福祉予算増額など、労働者・国民の生活改善施策にも着手している。経済指標では、全体としては、ほぼ前年と同じである。失業率はEUの他の国との比較では、依然として高いが、減少を続けている。2004年賃金引上げ率は、労働協約上の平均で0.6%減、実質賃金総額で0.6%で、いずれも前年を下回った。労働協約上の年労働時間(2003年)は1757時間で、2000年1761.3時間、2001年1760.1時間と比べ、僅かながら、短縮傾向が続いている。スペインは、1990年代末に、自治州の法制による週35時間制の導入が進んだことで知られ、2001年末現在で、140万人が週35時間制協約の適用化にあったが、2002年以降、この傾向も鈍化した。14.9%
 
 ■ 2004年の主な闘い・できごと 
												2月 フォルクスワーゲン社の部品供給企業Expert Componentsの労働者委員会の多数と経営者側が、2004年の年間労働日を210日とする協定に調印した。
3月12日 政府が呼びかけたテロ反対デモに1000万人が参加した(詳細は別項「テロ反対デモにスペイン史上最高の1000万人が参加」を参照)。
3月14日 総選挙で、社会労働党が保守与党国民党を下して勝利し、サパテロ政権が誕生することとなった(詳細は別項「スペイン総選挙で社会労働党が勝利 ― 次期首相がイラク撤兵を表明」を参照)
4月19日 スペイン憲法裁判所が、代表的労働組合は労働者6〜10人の小企業でも、従業員代表選挙を請求できる、との判決を下した。
4月21〜24日 スペイン最大の労組ナショナルセンター、CCOO(労働者委員会連合)が第8回大会を開催した。
5月18日 政府が法定最低賃金の引上げを決定した(詳細は別項「社労党政権が法定最低賃金大幅引き上げ」を参照)。
5月21日 経営側が賃下げ、人員削減などの脅迫をかけ、労働組合側が反対闘争を展開するなど、4年間にわたる難交渉を経てきた日産スペイン工場で、人員整理撤回、労働時間延長などを含む新労働協約が調印された。
5月13日 自動車メーカーSEATで、「自律的作業グループ」の導入、受注状況に適合して労働時間を変更する制度、などを内容とする、有効期間5年の新型労働協約が調印された。
4月 ルノー、日産、フォルクスワーゲンの各スペイン工場で人員削減・解雇が相次いで発表された。
9月20日 繊維企業グループS?ez Merinoで、リストラ解雇(500人以上)をめぐる交渉始まる。
11月15日 フィリップス社がバルセロナの3工場の外国移転・閉鎖にともなう人員削減を発表。市当局に対し、労働組合がこれを防止するよう要請した。
 ■ テロ反対デモにスペイン史上最高の1000万人が参加  マドリードで死者200人の犠牲を出した列車爆破テロが発生した翌日の3月12日、スペイン政府の呼びかけで、犠牲者を哀悼し、テロを拒否するデモが全国の主要都市で行われ、合わせて1000万人が参加するスペイン史上空前の規模となった。首都マドリードのコロン広場は「テロ、ノー」「平和を」などのプラカードを掲げた230万人の人波で埋まった。2日後に総選挙投票日を控えたなかで、この日は、党派を超えて文字通り国民総意による「テロを許さない」との決意が示された。
 スペイン第二の都市バルセロナで120万人、バレンシアで100万人、セビリアで70万人、東部のサラゴサやバスク地方の各都市でも多数の市民がデモに参加した。
 ■ スペイン総選挙で社会労働党が勝利 ― 次期首相がイラク撤兵を表明  3月14日投開票された総選挙の結果、野党の社会労働党が米英のイラク侵略戦争に積極的に協力してきたアスナール政権与党の国民党を破って勝利した。次期首相(当時)の社会労働党サパテロ党首は翌15日、「イラク戦争は失敗だった」と強調しつつ、6月末までイラクの状況に変化がなければ「(1300人派兵の)駐留スペイン軍部隊をイラクから撤退させる」と表明した。定数350を争う総選挙では、イラクからの撤兵を掲げた社会労働党が得票率42.64%、164議席を獲得、前回2000年総選挙比で8.5%、39議席増の躍進をとげた。一方、国民党は37.6%、148議席で、前回比7,6%、34議席後退した。
 ■ 社労党政権が法定最低賃金大幅引き上げ  スペイン政府は5月18日、7月から法定最低賃金を引き上げることを決定した。年14回支給される同最低賃金の月額換算で526ユーロから572ユーロ(約7万7000円)に引き上げられた。政府は08年までに、月額換算で700ユーロまで引き上げる計画。労働組合ナショナルセンター、労働者総同盟(UGT)は「重要な達成だ」と引上げを歓迎。08年までに、法定最低賃金が平均賃金の6割という目標に近づくと予測している。
 EUでは、加盟25ヵ国のうち18ヵ国に法定最低賃金がある(表参照)。(宮前忠夫)
 
												
													| 欧州各国の法定最低賃金(04年7月現在) |  
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																		国   名 | 
																		ユーロ換算(月額) |  
																| ルクセンブルク オランダ
 ベルギー
 アイルランド
 フランス
 イギリス
 ギリシャ
 スペイン
 マルタ
 ポルトガル
 スロベニア
 チェコ
 ハンガリー
 ポーランド
 エストニア
 スロバキア
 リトアニア
 ラトビア
 | 
																		14031265
 1186
 1183
 1154
 1083
 605
 572
 543
 498
 471
 207
 191
 177
 159
 148
 125
 121
 |  
																| 米国 | 
																		877 |  |  
													| 資料出所:Euroatatほかの発表による |  
 
 
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