| 概 観 
												
													| 2004年の指標 (「欧州委員会経済予測」2004年秋版、他)
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																| 経済(GDP)実質成長率 | 
																		1.3% |  
																| 消費者物価上昇率 | 
																		2.4% |  
																| 失業率 | 
																		6.3% |  
																| 財政赤字の対GDP比率 | 
																		△2.9% |  
																| 累積債務の対GDP比率 | 
																		△60.8% |  
																| 労働組合組織率(1999年) | 
																		24.3% |  |   ポルトガルでは、2002年3月の総選挙でギテレス政権の与党だった社会党が敗退し、バローゾ首相(社会民主党)が率いる「中道右派」連立政権(社会民主党と国民党)が続いていたが、同首相が欧州委員長に指名されたのを受け、7月から、同じ連立与党によるロペス内閣に引き継がれた。財政赤字が3%弱、累積債務が約60%あるなど厳しい財政状況は変わっていない。
 労使関係の分野では、EUの動向とも関連して、労働市場の弾力化が進められ、それに対応した労働法制の改悪攻勢が強まり、全体として労使対立が激化している。とくに、「新自由主義的行革」が強行されつつある公務員労働の分野での対立が激しさを増しており、ストライキを含む闘いが繰り返されている。
 
 ■ 公務員労働者がスト――政府の「新自由主義的行革」に反対  バローゾ中道右派政権が70万人弱の公務員労働者に対して計画中の「新自由主義的行政改革」と賃金カットに反対して、自治体労働者、看護士、教職員などを組織する、CGTP(労働総同盟)とUGT(労働者総連合)に結集するすべての公務員労組が1月23日、24時間全国ストを決行した。各地・各産業の職場集会では、民間労働者・労働組合との統一闘争の構築の必要性が強調された。同日午後には、首都リスボンで政府の「教育改革」に反対する「全国教育行進」も展開された。
 ■ イラク戦争と占領に反対、労働組合などがデモ  イラク戦争開始1周年国際反戦統一行動デーの3月20日、ポルトガルのリスボンでは、平和協力評議会、労働総同盟(CGTP)や左翼諸党の呼びかけに応えて、5000人(警察発表)がデモに参加した。デモ参加者は「戦争ノー、占領ノー」の横断幕を先頭に、「不法な戦争を非難する」「ポルトガルは警官を引き揚げよ」などのスローガンを叫んで市の中心部を行進した。ポルトガルは米英によるイラク戦争を支持し、2003年11月からイラクの治安維持のためとして警官128人を英国指揮下の部隊に派遣している。
 ■ バローゾ首相の欧州委員長への転出受け、ロペス内閣発足  現職首相のドゥラン・バローゾ首相が次期欧州委員会委員長に指名されたのを受け、与党社会民主党(PSD)は7月1日、現リスボン市長で第1副党首のサンタナ・ロペス氏を後任党首に選任し、連立内閣を組む国民党ともに、サンパイオ大統領に対しロペス氏を次期首相に任命するよう要請した。サンパイオ大統領は7月12日、連立与党が推薦するロペス氏を後継首相として指名した。これを受けて同氏は16日午後に国民党との連立内閣の閣僚リストを大統領に提出、翌17日に任命式が行われた。任期は前政権の残りの期間、2006年3月まで。
 ■ 国会解散、05年2月総選挙へ  サンパイオ大統領は12月10日、議会を解散し、総選挙を2005年2月20日に行うと発表した。これに対してサンタナ・ロペス首相は11日夜、閣僚を招集、内閣総辞職を決め、大統領に伝えた。ロペス首相は7月に欧州連合(EU)委員長に選ばれたバローゾ前首相から政権を引き継ぎ、06年3月まで任期があるが、意見対立で閣僚が辞任するなど政治混乱が深まっていた。(宮前忠夫) 
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