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国旗 世界の労働者のたたかい
ハンガリー
2003

規制緩和で労働条件は悪化

 4月のハンガリー議会選挙では,低所得者,年金生活者,労働組合の強い支持を受けた中道左派連合(社会党と自由民主同盟)が右派「青年民主連盟」を小差で破り勝利した。1989年の体制転換後、急速に市場経済化が進んだ。最大労組の「ハンガリー労働組合連合(MSZOSZ)のバーリントン・アッティラは現状を次のように話している。
 ハンガリーでは2001年に労働法の改正が行われ、その際に労働条件や労働者の生活を守るための規制が緩和され、経営者に都合の良いものになった。経営者は従業員にたいして、必ずしも土日に連続して休暇を与える必要がなくなった。
 労働者を解雇することも容易になった。会社は労働者を翌日にでも解雇できる。これに不服で訴訟を起こしたとしても、判決には数ヵ月を要するほか、訴訟に勝利しても会社側にはその労働者の再雇用の義務はなく、元の職場に戻れる保障はない。これとは別に、ハンガリーには給与支払いの遅れや未払いの問題がある。
 一方、旧政権の下で最低賃金の引き上げが行われたことは評価できる。1ヵ月の最低賃金は1997年の19,500フォリント(約9,300円)から2002年には50,000フォリント(約23,800円)の上がった。現在国内の労働者の約53−54%はこの最低賃金に甘んじている。
 2年後に迫るEU加盟は、補助金によるインフラ整備や投資増加による経済の活性化、雇用増加などが見込まれるため、労働組合は加盟賛成の立場をとっている。
 勿論、域内の企業間の競争で倒産企業が出るなど、否定的な影響もあるが、加盟で自国産業が活性化したポルトガル、スペインの例を考えれば、良い方向に打開できるだろう。
 新政権には賃上げや貧困、失業対策の分野で成果を期待している。とりわけ、社会党の公約である30―40万の新規雇用創出や貧困層の減税に注目している。新政権は、成立後100日間に労基法を改正するとしているが、その際旧政権が破壊した労働者の権利を元に戻すよう要求する。また、労働組合、経営者、市民団体など社会パートナーとの対話を重視するよう求める。