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国旗 世界の労働者のたたかい
ベトナム
2004

 ベトナムの経済は、GDP(国内総生産)成長率が2001年6.8%、02年7%とひきつづき高成長を遂げており、政府は03年の目標として7.5%GDP成長をかかげ、さらに04年、05年に8%成長を実現して01〜05年の5カ年計画のGDP成長(平均7.3〜7.5%)を達成することを目指している。
 一方、失業率は2000年6.4%、01年6.3%、02年6.0%とほぼ横ばいであり、特に、ホーチミン市で01年6.04%から7.3%に上昇、ハノイ市では0.13%低下してもなお7.08%を記録しているなど、大都市部では上昇あるいは高止まりしている。労働・傷病兵・社会問題省は、失業削減のための03年の年間目標として、150万職を新規創出し、年末までに都市部の失業率を6%未満とすることをめざしてきた。
 ドイモイ(刷新)路線にそった多セクター経済の展開の中で、労使関係の諸問題が複雑多様化し、労働争議、ストライキも増加傾向にある。
 こうした中で、ベトナム労働総連合(VGCL)が第9回ベトナム労働組合全国大会を10月、ハノイで開催した。

旧正月ボーナスをめぐりスト続発

 2002年末から03年1月にかけて、テト(旧正月)・ボーナスの支給を怠ったり、支給額の少ない企業に対し、ホーチミン市などでストライキが続発した。ベトナムの労働法では、テト・ボーナスとして最低1ヵ月の給与相当分の支払いを義務づけており、企業が赤字であっても支給しなければならない。しかし、02年12月1日〜03年1月10日の間にホーチミン市や南部の諸省で起きたテト・ボーナスをめぐる11件のストライキは、使用者が経営不振を理由にテト・ボーナス支給を拒否したり、わずかな額しか支払わなかったことに労働者が反発したものであった。
 ホーチミン市タンビン工業団地の韓国企業ハンヤン・エスビナ社ではテト・ボーナスを支給されなかったとして200人以上の労働者がストを決行した。ホーチミン市ビンチャイン区のタンフー社では110人の労働者のうち35人がボーナス・給与支払額の不足、超過勤務手当ての未払い、わずかな昼食手当額に抗議して12月末から1月6日までストをおこなった。ホーチミン市ゴバップ区のタナコ・タクシー社では、運転手がテト・ボーナスの増額を要求して1月2〜5日にストを実施し、要求の満額を獲得した。

ビンズオン省工業団地で労働争議増加

 国内有数の活発な経済活動がおこなわれているビンズオン省の工業団地では、2003年7月までに17件のストライキが発生し、これは前年度と比較して大幅に増加している。これらのストはすべて、繊維、衣服、製靴部門の外国投資企業で起きており、その大部分は韓国籍または台湾籍の企業である。労働者がストをおこなった理由は、賃金・ボーナス・昼食手当ての未払い、過重な労働、不十分な医療保険と社会保険、危険な労働環境、使用者による労働者の虐待などである。
 ビンズオン省ソンタン工業団地にある台湾籍のヒルトップ・ラゲッジズ社で03年7月、800人近くの労働者が賃上げと労働時間短縮を要求してストに入った。同社の労働者たちは週7日、朝7時半から夜9時半まで働き、月平均約130時間の超過勤務をおこない、月33ドルの月給に加え、超過勤務にたいし月13ドルを受け取っていた。給与水準が低いことに加え、経営者側が労働者の同意を得ないまま、昼食代を労働者の給与から差し引いたことに労働者は不満を持っていた。
 ストライキが起きたビンズオン省工業団地の17企業には労働組合が存在しないため、これらのストは違法とされた。労使紛争が起きた場合には、労働・傷病兵・社会問題局(DoLISA)および工業団地運営委員会が調査に赴き、事実関係の調査に当たるが、ストが違法とされる場合には行政が紛争を解決することが困難になる。
 ちなみに、ベトナム労働法では、労使間に対立が生じた場合、労働側がストをおこなう前に次のような手続きを経るように定めている。まず労働組合が社内の同数の労使代表からなる労働調停委員会に調停開始を申し出る。企業に労働調停委員会がない場合に限り、地域の労働行政機関の労働調停官が調停を担当する。社内の労働調停委員会あるいは労働調停官による調停が不調に終わった場合には、省・市の労働仲裁委員会に移行する。労働仲裁委員会による調停が不調に終わると仲裁に移る。さらに仲裁にたいし、労組あるいは使用者の側に異議がある場合には、労組はストを行う権利を持つ。
 ビンズオン省の工業団地運営委員会によれば、外国投資企業に労働組合が存在する場合でも、労働者の権利を十分に守っていないことが多く、使用者による労働法違反を防ぐことができないでいる。
 計画投資省によると、ビンズオン省は03年1〜5月に最も多額の海外からの直接投資を受けた3地域の1つである。投資額は、ホーチミン市1億7627万ドル、ビンズオン省8897万ドル、ハイフォン市7539万ドル。

出稼ぎ労働者に必要な支援策

 ホーチミン市、ビンズオン省、ドンナイ省など、工業が盛んな南部地域に出稼ぎをしている労働者の多くは、北部あるいは中部地域の農村部出身者である。これらの農村部出身の労働者が占める比率は、ビンズオン省の工業団地では過半数、ドンナイ省では7割を超す。国会の社会問題委員会は03年7月、ビンズオン省で、出稼ぎ労働者支援策についてのセミナーを開催した。
 外国投資企業に過度に依存しない産業構造を築くうえで、農業部門から工業部門への労働力の移動を円滑かつ効果的に進め、労働者の能力向上をはかり、裾野の広い産業群を育成することは、重要な政策課題になっている。
 同セミナーで国会の社会問題委員会は、工場付近のスラム地区の寮に暮らしている大部分の出稼ぎ労働者にたいし、住居と訓練機会を与えることが急務であると報告した。ホーチミン市労働総連合は、工業団地と輸出加工区で雇用されている6万人以上の出稼ぎ労働者にたいし、住居を確保することが必要であると強調した。ホーチミン市人民委員会は、05年までに新たに7万人を収容する住宅を建設する目標を立てており、なかでも低所得労働者向けの住宅建設が重視されている。多くの従業員を雇用している使用者については、従業員の住居を提供する責任を負わせる規制の導入も検討している。
 国会の社会問題委員会によれば、出稼ぎ労働者は勤労意欲が高く、仕事を選ぶ際に、えり好みすることが少ない。その反面、労働者としての権利を確保することは、出稼ぎ労働者にとって容易ではなく、国が社会保険に関する規制を強化するように期待がよせられている。ホーチミン市労働総連合マイ・ドゥック・チン副委員長によれば、ホーチミン市で雇用されている6万人近くの出稼ぎ労働者のうち半数以上が社会保険を得ていない。同副委員長によれば、出稼ぎ労働者の大部分が、職務を遂行するためにより多くの職業訓練機会を得たいと希望している。同市労働総連合の最近の調査によると、出稼ぎ労働者の75%が19〜39歳で、過半数は教育を十分に受けておらず、訓練を受ける機会が少ない女性である。ビンズオン省文化社会問題委員会のマイ・チ・ズン委員長は、教育を十分に受けていない労働者は、使用者による権利の侵害にあっても、仕事を失うことを恐れて抵抗しないことが多いと述べた。
 職業訓練総局は、社内でおこなわれる職業訓練を補完するため、工業団地、輸出加工区に職業訓練校を増設し、国際機関と協力して農村部の農民を対象にした訓練を拡充する計画を立てている。

第9回ベトナム労働組合全国大会

 第9回ベトナム労働組合全国大会が2003年10月11〜13日、ベトナムの首都ハノイで開催された。同国の労組全国センター、ベトナム労働総連合(VGCL)が5年に1度開く全国大会である。VGCLの招待で、日本の全労連を含め海外から1国際組織16カ国、30人が参加した。
 大会では、「労働者階級と労働組合を育成強化し、労働者、職員、その他の勤労者の法認の正当な権利と利益を守り、全国民の大団結の強化と国の工業化・近代化の成功的達成のために貢献しよう」と題するVGCL執行委員会報告が行われた。
 同報告は「第1部 1998〜2003年期の労働者の状態と労働組合の活動の諸結果」、「第2部 2003〜2008年期の労働組合の目標、基調と任務」という構成になっている。本誌上では、第1部から「労働者の状態」の部分を中心にやや詳細な抜粋と、第2部から「全体の目標と基調」の大要、および「労働組合の主要な任務」の要点の抜粋を紹介しておく。

<労働者の状態>
 過去5年間に、わが国経済の変化と工業化・近代化をめざす全国的な建設・発展とあいまって、わが国の労働者の比重は、数のうえで増大し、質の上で成長し、その構成も変化した。
 数については、今日わが国には約1080万人の労働者が存在する。このうち820万人超は、あらゆる経済セクターの生産単位、事務単位で働いている。残りの260万人近くは国家機関、党機関、大衆団体、公共サービス機関、社会的機構、社会・職業団体などの中央・地区・地域各レベルで働いている。
 国有企業の改革、刷新、活動改善の要請にこたえる中で、国有企業の労働者の数は急激に変化した。その一部は他の経済セクターに移動し、ひきつづき発展している部分で現在180万人が働いている。
 民間企業、協同組合企業、有限会社、株式会社の労働者の数は急速に増えており、現在140万人に近い。個人経営では430万人超の労働者が働いている。
 外資系企業では現在60万人の労働者が働いているが、ますます多くの若年労働者を惹きつけており、その中には基礎訓練を済ませ、職業や熟練度の点で相対的に技能資格の高い労働者が含まれている。このほか、海外で、有期契約で働いている数十万人の労働者がおり、その数は増加傾向にある
 質の点では、わが国の労働者は多面的に発達してきた。総じてわが国の労働者は若く、30歳以下が36%超を占めている。かれらの教育資格は向上しており、市場メカニズムに即応し、先進的な最新の科学・技術を急速に習得できる。農業労働者のますます多くの部分が工業・サービス部門に移動しており、工業環境に次第に統合されている。石油、航空、電気、電子、情報、郵便・通信、橋梁・トンネル建設、水力発電、機械製造などの分野では、高熟練・高技能資格の労働者の集団が形成されてきている。
 大多数の労働者は、確固とした意志力を持ち、道義性を高め、党が提唱し指導している刷新路線を、確信を持って支持し、それを遂行する決意をかためている。愛国的で、互いに団結し配慮し合っている。自立し自己復元力を持ち、困難や試練を乗り越える点でダイナミックかつ革新的である。自分の教育水準や職業技能水準を向上させるため積極的に学習している。市場経済、社会主義志向、国際経済での競争と統合の流れなどについて認識を深めている。清潔で強力な党と国家の建設に熱心である。そして労働者階級、農民、知識人の連合の中で中核的役割をにない、国の工業化・近代化の真の前衛となっている。
 しかし、こうしたすばらしい長所とともに、一方でわが国の労働者はさまざまな弱点をみせている。一部の幹部や公務員は、実践的知識が不足しており、責任感に乏しく、進取の気性が欠けている。すぐれた経営者、老練な専門家、高熟練労働者が少ない。直接生産に従事する労働者のかなりの部分は、教育水準や職業的技能水準が低い。少数ではあるが、遠隔地や後背地、少数民族の労働者の中に不識字がまだ残っている。
 一部の労働者、特に非国有セクターや外資セクターの労働者は、困難な労働条件・時間・生活環境のために、政治・社会活動への参加が限られており、最新の情報に接する機会が少なく、そのために、階級意識、政治的自覚、党や労働者階級や労働組合についての理解が極めて限られており、法律や政策についての知識もきわめて不足している。労働者の中での党員の比率はまだ低い。
 一部の幹部や公務員には、汚職、官僚主義、浪費、道義上・生活様式上の退廃が見られる。
 行政機関、司法当局、教育・保険部門の幹部や職員の一部は、仕事のやり方や質の堕落がかなり深刻であり、住民の信頼を失い、刷新の過程を妨げている。あるものは社会悪のえじきに転落している。
 雇用 雇用は依然として労働者の重要な切実な問題である。過去5年間に、さまざまな経済セクターの発展を促進してきた国のメカニズムと政策のおかげで、また労働者が雇用について新しい理解をもち、国有セクターだけでなくあらゆる経済セクターで就業の機会を求めるようになったおかげで、雇用問題はそれほど深刻な問題ではなくなり、失業率もやや低下した。しかし失業・不完全就業率はなお6〜7%にのぼっている。その一方で、南部の諸省・都市の繊維・衣服・革製品などの業種では、不合理な低賃金と過重な労働条件のために、事業に必要なだけの労働者を採用できないでいる。
 給与・賃金 所得の主要な源泉である給与・賃金は、徐々に上昇しているとはいえ、最低必要額に比べてなお低く、労働者の生活支出や変化する消費構造に見合っていない。必要不可欠なニーズに加えて、労働者は子どもの教育、学校建設、保険、医療、各種料金、社会的寄付など多くの追加的支出を支払わなければならない。これらの支出分は、まだ給与・賃金に付加されていないので、賃金・給与生活者の生活をいっそう困難にしている。定年退職者、リストラによる失業者の収入源は、退職年金か所定の手当だけのため、彼らの生活条件はいっそう悪い。
 給与・賃金政策は、調整や修正をされてきたとはいえ、抜本的な改革・刷新を欠いているため、なお多くの矛盾や非合理性を持っている。給与・賃金は全般的に低く、費やされた労働に値いしないために、幹部や労働者の熱心に働く意欲を減殺させている。労働者間での両極化や、経営者、幹部と労働者との間の所得格差が、特に合弁企業や外資系企業でのベトナム人労働者と外国人との間、先端産業の労働者とそれ以外の経済部門の多数の労働者との間になお存在している。このような状況にたいして、給与・賃金政策の根本的な改革が緊急に要求されている。
 労働条件 行政機関や公共サービス部門の幹部、労働者については、設備・技術革新のための投資のおかげで労働条件は改善されてきたが、現場の労働者の全般的な労働条件は改善が遅れている。多くの企業、とりわけ民間企業、協同組合企業、個人生産単位では、時代遅れの技術・設備、手作業、過重で危険な労働条件がなお支配的である。対人安全保護設備は不十分であり、基準を下回っている。労働者は、汚染された環境、労働安全衛生基準が守られていない状況の中で働かされている。
 労働災害・職業病 労働災害と職業病は依然として深刻である。不十分な統計によっても、毎年約4000件の労働災害があり、そのうち約400件は死亡事故である。実際の数は恐らくこれよりはるかに多く、しかも増加している。特に農業、水産、非国有部門では深刻である。多くの職場で、労働者のための健康管理、職業病防止対策に十分な注意が払われていない。労働安全規則違反にたいする処置が不適切で時宜にかなっていない。
 労働法規違反 企業での労働法規違反は悪質なものが多い。特に、労働時間、休憩時間にかかわる違法行為、労働契約や団体協約に関する諸規定の侵犯、社会保険、医療保険、労働安全に関する政策の侵犯などが著しい。社会保険や医療保険への加入の忌避や負担料の滞納なども、少なからぬ企業、特に民間企業や外資企業では悪質で重大である。しかもこれらの悪質な行為にたいして国からの警告もなく、十分強力で効果的な諸制度が公正に適用されてもいないために、労働者の死活の利益が侵害され続けている。
 労働契約 現在、労働契約の締結率は、国有企業と外資企業で90%を超え、民間企業で60%を超えている。大半の労働契約は短期契約で、その期間は1〜3年間(80%以上と推定される)である。多くの民間企業の経営者は、労働者が高い労働能力を持っているのに、社会保険料の負担を回避するために、3ヵ月未満の契約しか締結していない。
 団体協約 団体協約を締結している企業の比重は増大しているが、まだ低い。国有企業で80%、外資企業で30%近く、民間企業で15%超である。
 労働者の利益侵害には多様な形態がある。低賃金で過重な労働密度、規制を超えた過重な作業割り当ての強制、労働法典の規定に違反する過度の交代勤務回数や過長労働時間の押し付けなどである。これらは特に、繊維、衣服、革製品、水産加工品などの業種、民間企業、外資系企業、季節労働者や短期契約労働者を使っている企業などに広く存在する。残業は、多くの労働者の健康と家庭生活の両方に深刻な悪影響をもたらしている。
 集団労働争議とストライキ 過去5年間に、集団労働争議とストライキはいっそう複雑となり、増加傾向にある。年平均70件を超え、あらゆる形態の企業で発生しているが、その大半は、主要な省と都市、工業団地、民間企業と外資企業で発生している。
 すべての集団労働争議とストライキは、労働者の切実で正当な、しかし未解決の要求から始まっており、経済的な決着を求め、労使関係の枠内の争議であって、どのような政治的動機も持っていなかった。しかし、すべてのストライキは法律に定められた手続きを踏んでいなかった。たとえば、ストライキは自然発生的に起こり、事前の調停の試みもなく、草の根の労働組合が関係労働者集団との話し合いを持ったうえでおこなうべき決定もなしに発生している。もう一つの理由は、ストライキが発生した企業の70%以上では、草の根の労働組合が存在しなかったことである。草の根の労働組合が存在する企業で発生したストライキは、労働組合が現実から遊離していて、状況を把握できなかったためである。しかしいったんストが発生した後は、そこの組合は問題の解決のために、地方当局とも協力して積極的に努力した。
 これらのストライキの直接の主な原因は、経営者や管理者が、労働立法を厳正に守らず、労働者の権利や利益を侵害し、人間としての誇りや尊厳を尊重していなかったことにある。多くの場合、労働問題についての国の統治能力が弱く、法律の徹底と履行や労使紛争の解決にあたって、関係当局と労働組合との間での調整が欠けていた。労働法規の履行についての点検・監督が不定期であり、違法行為に対する制裁や処罰が厳正におこなわれていなかった。ある場合には、こうしたことに我慢できなくなった労働者が、必要な交渉や調停の手続きをふまずにストに入ってしまった。労働組合があっても、その組合が有能でなく、労働者から遊離しており、そのために労働者の考えていることやかかえている問題を理解していなかった。特異な事例であるが、草の根の労組幹部が経営者側の不法行為をかばっていたという事例もあった。
 共通の願望 現在、労働者の共通の願いは、国が政治的に安定し、安全や防衛が良く維持され、経済的にも社会的にもさらに発展すること、そして自分たちと労働年齢の子どもたちが恒常的に雇用され、その労働にふさわしい賃金を得ることである。労働者たちはまた、国が職業教育と技能の向上を本当に保障する政策を取ってくれること、給与・賃金や住宅、社会保険、労働安全保護、医療保険などについての法認の正当な権利と利益が実現すること、文化的・精神的生活水準が向上することを求めている。労働者たちは、基準以下の食品安全衛生、学校や病院での不祥事、密輸の激増、偽造品の製造その他の社会悪に不安を感じている。労働者たちは、法執行機関や国家機構内の一部の幹部・職員にみられる社会的不正、民主主義の欠如、社会・経済分野でのだらしない管理、無規律と無秩序、違法行為、買収による昇任昇格、官僚主義、浪費などに対して不満を持っている。 労働者たちは労働組合がいっそう強化され、自分たちの頼りになる拠りどころ、労働者の法認の正当な利益の守り手として真に奉仕してくれることを望んでいる。
 要約すれば、過去5年間に、党の刷新の過程が続き、国の構造的変化や社会的・経済的発展とあいまって、ベトナムの労働者階級は、全ての職業、業種、経済セクターにおいて急速に数が増大し、質的にもたえず向上してきた。国の成長産業の中では、専門的・職業的・科学的・技術的資格を持った労働者の集団が形成されてきている。労働者階級は、わが国の人口や労働力に比べてまだ少数であり、欠陥や弱点も持っているが、その革命性と政治的堅固さのおかげで、つねに前衛的勢力であり、ベトナム共産党の重要な社会的・政治的基盤となり、国家の強固な支えとなり、労働者・農民・知識人の連合と国民の大団結ブロックの中で中核の役割を果たし、国の工業化と近代化、社会主義ベトナム祖国の建設と防衛の事業において牽引的な役割を果たしてきた。あらゆる活動分野で、国のいたるところで、幾百万の労働者は昼も夜も意気高く創造的に働き、あらゆる辛苦や困難を乗り越え、絶えず生産性・質・効率を高めながら、祖国のために豊かな物資と富を生産している。
 大会は、過去5年間に国の刷新と建設と発展の過程で全国の労働者が成し遂げてきた、献身的な努力と成長、その偉大な達成に熱い賞賛をおくる。

<労働組合の組織拡大>
 組合員の拡大と労働組合組織の発展の面では、過去5年間にすべての経済セクターで重要な成果を記録した。
 非国有部門と外資部門では、過去5年間に新組合員を40万人近く組織し、4737組合の、新しい草の根の組合と連合体を結成した。その結果これらのセクターの組合員総数は85万人、組合数は1万400組合超に増大した。これらの数は、全国の組合員数の20%超、草の根組合総数の17%近くを占める。工業化されたいくつかの省、都市で、組織率が50%を超えたことは特に注目される。全体として、この5年間の拡大により、草の根組合数は6万1000組合超、組合員数は425万人超に達した。

<全体の目標と基調>
 第9回党大会の決議、国の現状、労働者の運動、および法律で定められた労働組合の役割から出発し、前期の活動の総括、成果、欠陥と弱点、その原因と教訓の明確な分析にもとづいて、2003〜2008年期における労働組合の全体の目標と基調を次のように規定する。
 国の工業化・近代化の中核的・開拓者的勢力として、新時代の革命での指導的役割にふさわしく、労働者階級を育成強化する。労働者階級と農民、知識人との強固な連合を基礎に、ベトナム祖国戦線の中での全国民大団結のブロックを深く広く強化・発展させる。労働者の間で、愛国的競争キャンペーンを活き活きと広範に、実践的かつ効率的に展開する。管理に参加し、労働者の法認の正当な権利と利益を守る。さまざまな経済セクターで、新しい組合員の拡大と労働組合組織の発展を促進する。労働組合幹部の能力と知識を向上させる。活動の内容と作風を刷新する。強力な労働組合組織を建設する。清潔で強力な党と国家の建設に関与する。国際協力を広げ増大させる。社会的・経済的発展の諸任務の成功的な遂行と、社会主義ベトナム祖国の建設と防衛のために貢献する。

<2003〜2008年期の労働組合の主要な任務>
1. 情報・教育・通信(IEC)活動を促進し、国の工業化・近代化の開拓者的勢力として、新時代の革命での指導的役割にふさわしい強力な労働者階級の育成に貢献する。
2. 労働者に直接関わる法律、規則、政策、および草の根の民主主義にかかわる諸規則の策定と執行、監視と監督において積極的かつ効果的な役割を果たす。労働者の生活に積極的に配慮し、労働者の法認の正当な権利と利益を代表し擁護するという労働組合の機能を適正に遂行する。
3. すぐれた創造的な労働という点に焦点をすえた愛国的競争キャンペーンを労働者の間で深く広く組織し、国の社会経済目標の成功的な達成に貢献する。
4. 組合員を拡大し労働組合組織を育成強化する。労働組合の活動の内容や作風を、さまざまなタイプの基礎単位職場と労働組合の各レベルに適応するように刷新する。
5. ベトナム労働組合の対外活動を発展させる。

イラク戦争反対運動

 ブッシュ米大統領がテレビ演説でイラクに最後通告を突きつけた3月18日午前、ベトナム各地で対イラク戦争反対の集会が開かれた。首都ハノイでは、復員兵協会中央委員会とハノイ市委員会が共同して集会を開き、米国による対イラク戦争阻止と問題の平和的解決を訴えるアピールを採択した。
 中部のダナン市では約5000人が集会を開き、平和を訴えて市内をデモ行進した。南部のバクリエウ省でも約2000人が集会を開き、戦争反対、問題の平和的解決を求める決議を採択した。
 3月20日、ベトナム政府は声明を発表し、米国とその同盟国が対イラク戦争を開始したことを強く非難するとともに、戦争をただちに停止し、中東地域の平和と世界の安定を回復するよう求めた。(小森良夫)