2011国民春闘共闘情報
全労連HP

第27号 2011年6月01日

女性の春闘懇談会を開催

不当な解雇は許さない!
女性の共同をひろげよう


写真 毎年春闘の時期に、所属組織の違いを超えて幅広く労働組合女性部が集い、「女性の春闘懇談会」が開催されています。今年は5月26日、都内の全国教育文化会館で22組織34人が参加しておこなわれました。

 開会にあたり、全労連女性部の柴田部長があいさつ。「甚大な被害をもたらした大震災は、直接の被災を免れた地域の生活にも深刻な影響を及ぼしています。電力供給の制限、部品の不足、風評被害による消費の冷え込みなど、日本経済のマイナス要因となりかねない状況をもたらしています。震災以前から、JAL、社会保険庁の理不尽な雇い止め、民事法務協会など公共サービスの民営化の中で雇用の場が失われてきました。おたがいのたたかいを交流するなかで、さらに共同をひろげましょう」とのべました。以下、懇談での発言を紹介します。

涙と笑い、そしてたたかう決意 〜交流のなかで〜

JMIU日産(土谷さん)

 日産厚木テクニカルセンターのデザイン部で6年3カ月働いた。粘土でつくった車の模型をもとに、イラストのソフトを使って線をおこす。赤い線で描かれた車はこれから提案する車、青や緑の線で描かれた車は他社の車、といった具合に。車のコンセプトのためのイメージベースをつくることも仕事だった。デザイナーは、このイメージベースに基づいてデザインする。その他に、プレゼン用のパワーポイントの作成もした。解雇されてから、「自分がこれまでしてきた仕事は一時的なものではない。派遣法に違反している」と思うようになった。リーマンショック後、「業績不振」を理由に解雇されたが、一時的な赤字のツケを派遣労働者に押し付けて解雇するのは許せない。
 *土谷さんはこの発言の中で、職場でのプレゼンテーション用の「新車のイメージ映像」を見せてくれました。参加者一同、プロの仕事に“ホ―”と感嘆の声があがりました。

全労連全国一般アンフィニ(池田さん)

 (工場の制服をまとい、口紅の大きな模型を持って登場)――鎌倉工場で解雇されて2年が経つ。私たちには一流品をつくっている自負があった。製造ラインの仕事が一人前にできるようになるには3カ月かかる。なかでも一番難しいのが検品。口紅は先端の面がいのち。面にキズがないことを確認して、その面をケースのロゴに合わせる。数秒間のうちに一本一本、手と目で確認するが、アンフィニの正社員にその技術はなかった。
 それにもかかわらず、私たちの処遇は、あるときは請負、あるときは派遣と、私たちが知らないうちに変えられた。所属している会社もいつの間にか変わっていた。私たちは、裁判でアンフィニとともに資生堂も訴えている。株主を優先して、労働者はどうでもいいという資生堂の態度は許せない。

日本航空CCU(佐藤さん)

 私は以前、休職したことを理由に解雇された。CCU(キャビンクルーユニオン)はたたかう組合で、女性が結婚後、妊娠・出産後も働くことのできる職場を勝ち取るためにたたかってきた。いま、その職場が破壊され、たたかってきた先輩たちが解雇された。私たちに起きている事態は、日産自動車や資生堂など、日本中のあらゆる職場で起きていることだと実感する。

同(恵良さん)

 私も病休をとったことを理由に整理解雇された。日本航空に客室乗務員の組合は2つある。裁判用のチラシをつくった際、今回の解雇がCCU組合員を狙ったものであることが明らかになった。解雇は53歳で線引きしたが、CCUに多いのは53歳ないしそれ以上の職員で、もう一方の組合は52歳以下が多い。明らかにCCUを狙ったものだ。

全厚生(西田さん)

 いま、人事院審理が北海道、埼玉、東京と続いている。審理の中で、今回の(旧社会保険庁職員の)分限免職の矛盾がますます明確になった。東京における分限免職2名の審理の際、一人に対する分限免職理由は「ハッキリものをいわないから」。もう一人に対する理由は「ハッキリものを言いすぎ」だという。免職の選定はまったく納得できない。年金機構になっても仕事の内容は変わっていない。自分が努力して覚えた年金業務に早く戻りたい。分限免職を早期に撤回してほしい。一生懸命仕事をしているにもかかわらず、夫婦そろって解雇され、ウツになってしまったケースもある。いまでは連絡もとれていない。全厚生に「社会保険庁で働いていた息子が自殺した」という父親からのメールがきた。声をあげることもできず、労働者の尊厳を踏みにじられている仲間のためにも、私たちはたたかう。

民法労(平森さん)

 私たちは登記事務を支えてきた。今はコンピュータ化されたが、かつては3kg以上ある登記簿謄本などを抱えて、職場を走り回っていた。2006年、私たちの仕事は市場化テストの対象業務にされた。その後の度重なる入札により、職員は希望退職、あるいは非正規化を余儀なくされた。今回入札できたのは松山と釧路の2局だけ。2006年以降、1500人近い職員が職場を去った。いま協会は遠隔地への転勤を強行している。落札業者は、残業代未払いをはじめ不当解雇を繰り返しており、このような会社を入札に参加させることに疑問を感じる。年々、落札価格は低くなる傾向がある。入札した会社の多くは人材派遣会社で、通勤にかかる交通費さえ支払われず、賃金は最低賃金を下回る場合が多い。私たちのたたかいは始まったばかり。37人の雇用を求めてがんばる決意だ。

全農協労連(宮崎さん)

 津波によって東北沿岸部の農地は大きな被害を受けたが、被災した3県の状況は大きく異なる。福島は原発事故の収束が何よりの条件となっている。原発近くにある双葉農協は、日常的なつながりはあるものの、全農協労連加盟ではなかったが、この間、県内外への避難、その避難先から再び避難するなどが続き、現地では、どこに誰がいるのかわからない状況だった。なんとか連絡を取り合いながら、なかまの声を集める努力を重ねてきた。すると「4月の賃金はどうなるんだ」という声が多く寄せられた。先日、全中に要請に行った。今回の事態は、労働者にも農協にも非があるわけではない。だから雇用だけは守るよう訴えてきた。双葉農協の職員から、「不安はあるけれど労働組合に結集してがんばろう」という声があがり、全農協労連に加盟した。いま、農産物に対する不安が広がっている。「震災の被害が大きく、東北の農産物には期待できない」という理由から、TPP参加をねらう動きが強まっている。政府は11月に一定の方向を出すと言っているが、TPPに参加したら地域の復興はできない。震災を『自粛』の理由にせず、それを乗り越えて全国の労働組合ががんばることが重要になっている。

全医労(美馬さん)

写真 「不利益雇止め是正」の裁判を7年間たたかってきた。国立病院が独立行政法人へ移行する際に、職員の賃金を一方的に切り下げ、正規とまったく同じ仕事をしていた『賃金職員』の雇用継承をしないという不当なものだ。3月30日、東京高裁で不当判決が出された。裁判をおこしたとき、こんなに長い裁判、長いたたかいになるとは思ってもみなかった。厳しい状況ではあるが、今後は最高裁でたたかう。多くのみなさんに署名のご協力をいただいた。今後ともご支援をお願いしたい。

国公労連(阿部さん)

 国家公務員の賃金は人事院勧告で決まる。震災を言い訳に「国家財政の危機的状況」、「国民感情云々」などと言って、民主党のマニフェストにもとづいて、国家公務員の賃金切り下げを強行しようとしている。国公労連は認めていないが、連合は火曜日(24日)に政府と交渉し妥結した。国公労連のブログへのアクセスは、6万2000件に及んでいる。年齢や職種によって、切り下げ幅は10%、8%、5%と差があるものの、年収1600〜1800万円の職員に対する10%削減と、年収300万円に対する5%削減では、実質的に大きな違いがある。「思いやり予算」など削減すべきところはもっとあるはずだ。次に来るのは大増税か。6月3日に法案の閣議決定が予定されている。連合は国家公務員への労働基本権付与と抱き合わせで法律を通過させ、自分たちの成果にしようとしている。

自治労連(水谷さん)

 自治労連は、東日本大震災の支援として(1)被災地自治体に保健師、行政職員などを派遣、(2)支援カンパ、支援物資、(3)ボランティア派遣の3点に重点を置いたとりくみをすすめてきた。支援カンパは1億円に達した。ボランティア派遣では陸前高田市に拠点を構え、これまでにのべ2000人が参加、8月くらいまで続ける予定になっている。陸前高田では、市の職員が作った広報の配布を手伝っている。「何かしたい」という思いの青年が多い。なかには、ボランティアに参加したいから自治労連組合に加入したという人もいる。

出版労連(永井さん)

 銀行員用のマニュアルをつくる印刷会社で雇止めされた人から相談を受けた。その人は、試用期間が終わると同時に解雇されたが、解雇理由がコロコロ変わっていた。その後、ハローワークに話を聞きに行ったところでは、トライアル雇用の後、正規職員になれるはずが、逆に解雇されるケースが増えているということだった。朝日新聞にも同様の記事が出ていた。

全教(小畑さん)

 尊厳が奪われる中でみんなたたかっている。震災の中で、その状況は深刻さを増している。5・25中央行動では、「避難区域の高校生4000人の学ぶ権利を奪った東京電力は謝罪せよ」と求めて、東電と交渉をおこなった。東電の対応はただ「ご迷惑をおかけしております」と繰り返すだけだった。きちんと謝罪して被災地の教育環境を元に戻す努力をするべきだ。東電は「補償については国の指針に従う」と言うだけだった。連休中、全教から745人がボランティア活動に参加した。被災地の思いを受け止め、復興に努力したい。

(おわり)

国民春闘共闘情報