国民春闘共闘2008年春闘方針

 

08年春闘方針

2008年1月18日 単産・地方代表者会議

国民春闘共闘委員会


「なくせ貧困、ストップ改憲!つくろう平和で公正な社会」

を統一スローガンに、国民春闘構築をめざす08春闘に全力を


 1.08春闘の重要な意義 


 (1) 08年春闘は、労働者・勤労国民の苦しみの原因が、政府・財界が強行した「構造改革」にあることがより鮮明になってきている中で迎える。
 大企業が史上空前の利益を更新し、投資家への配当や企業経営者の報酬を倍増させる一方で、労働者は所得低下による貧困化が進行し、地域間、企業規模間、雇用形態の違いなどでの格差が拡大し続け、社会の不公正な「ゆがみ」が顕在化している。
 国民の一部への富の集中と多数の貧困化という「二極分化」は、90年代後半から、財界と政府が一体となって進めてきた「構造改革」によって深刻化した。

 (2) 08春闘は、「構造改革」の修正をせまる労働者・国民の運動を前進させる条件が高まるもとでたたかう。
 国民春闘共闘委員会は、07春闘期でも、働いても生活保護水準に満たない収入での労働を強制される「ワーキング・プア」の解消などを積極的にとりあげ、「最低賃金時給1,000円」の実現をはじめ、貧困と格差の是正を求める運動を全国で展開した。
 そのこともあって、2007年7月の参議院選挙で「構造改革」への国民の批判が噴出し、野党勢力が過半数を占めるという大きな政治変化を作り出した。参議院選挙後の国会状況には紆余曲折はあるが、労働者・国民の「構造改革」への怒りは根強く、「構造改革」の修正を求め、負担増に反対する国民世論が政治を動かし始めている状況にある。
 08春闘では、その国民世論と向き合い、労働者・勤労国民の生活改善の成果を勝ちとる国民春闘の構築を追求する。

 (3) 08春闘では、国民春闘構築の条件を活かし、「構造改革」の流れをかえる運動への発展をめざす。
 賃金抑制、社会保障改悪、正規労働の非正規労働への「置き換え」などの攻撃そのものが「構造改革」であること、労働者の貧困化が雇用破壊ともいえる非正規労働者増に大きな原因があることに、労働者・国民の認識が一致してきている。この条件を活かした運動前進に向けた労働組合の役割発揮への期待は高い。
 単産と地方組織が力を合わせ、国民諸階層との共同をひろげ、貧困解消を求める地域からのたたかいを大きく組織し、産別統一闘争を軸に組合員の切実な要求を前進させる職場のたたかいと地域の運動を一体的に展開し、国民春闘構築をめざす。



 2. 08春闘をめぐる情勢の特徴とたたかうかまえ 


(1) 情勢の特徴
 1) 国民の切実な要求を掲げたとり組みが政治を動かす状況が強まっている。

 @ 自民党内の権力たらい回しで誕生した福田政権は、異常なまでのアメリカ追従と大企業奉仕の自民党政治に固執し、「構造改革」の継続と改憲策動の具体化をねらっている。しかし、参議院選挙で示された主権者の意思の前に、行きづまりと混迷を深めていることも明らかである。また、07年秋にたたかわれた大阪市長選挙などにも示されるように、地方での自公両党の退潮傾向も続いている。
 一方、参議院の比較第1党となった民主党は「二大政党制」を主張し、自民党との対決姿勢を強めるポーズをとりつつ、一方で自民党との「連立」をも模索するという矛盾した行動をとっている。
以上のような政治状況にあるだけに、「構造改革」路線を転換し、貧困を解消し格差の是正をすすめる国民生活重視の政治を求める労働者・国民の運動を組織していくことが、政治革新の展望を切り開くことともかかわって重要となっている。

A 秋の臨時国会段階でも、要求を運動に組織した課題で、国民の意思が政治を決定することを確信できる状況もうまれている。
労働組合も参加する全国災対連がとり組んだ「災害被災者生活再建支援法」の改正が成立したことは、意義ある教訓的なとり組みとなった。
参議院選挙結果が直接影響して、11月1日にインド洋の自衛隊艦船への「撤退命令」が発せられたのも、歴史的な意味をもっている。
 さらに、後期高齢者医療制度や障害者自立支援法、電気用品安全法など、95年総選挙以降の国会で、「数の力」におごった自公政権がごり押しした制度が、短期間に見直し対象となってきていることも見逃せない。また、薬害肝炎問題で、「一律救済」を求める患者団体などの運動が政治を動かし、「救済法」が会期末に成立した。
 一方で、最低賃金法「改正」とかかわっては、労働運動の状況もあって、民主党が全国一律の最低賃金制度の可能性をもった自らの法案を棚上げし、政府案をもとにした修正協議に応じて衆議院採決に協力するという残念な結果となった。さらには、臨時国会で最大の争点となった「新テロ特措法案」とかかわっての対応が混乱し、恒久法案に道を開く「対案」提出したことなど、民主党と自民党の政策の類似性を示す状況も表面化していることなども見過ごせない。



 2) 労働者の貧困化に歯止めをかける運動への期待と関心は引き続き高まっている。

 @ 1995年に17.5%であったパート・アルバイトなど非正規労働者の割合は、2006年の段階で1691万人(33%)にまで増加している。
 非正規雇用の増加ともあいまって、ダブルワークの労働者も増えており、全労連の調査でも、男性パート組合員の16.6%がダブルワークの状況にあることが明らかになっている。
 生活保護世帯は、2005年度で100万世帯を超え、高齢化による生活保護率の上昇にともない就労や保護辞退の強要事例も後を絶たない。
 文部科学省の調査でも、授業料の免除・減額を受ける高校生は23万人を超え、全生徒の1割となっている。大阪・27.9%、東京24.8%など、都市部での状況も深刻である。

 A 政府が公表した05年の所得格差(ジニ係数)は再配分前所得で「0.5263」と過去最大となった。
 政府・国税庁の「民間給与実態統計調査」では、06年、1年間を通じて働いた給与所得者・4485万人の内、1020万人(22.8%)が200万円以下の年収となっている。平均給与は1998年をピークに9年連続減少し年収435万円となっている。一方で、年収2000万円以上が前年に比べて13万人増加し、「所得の二極分化」が顕在化している。なお、同調査では産業間、企業間、男女間格差などが一向に解消されていないことも明らかになっている。
 民間シンクタンク(大和総研)の調査でも、2001年度を底に、県民所得の格差が拡大傾向となっていることが示されている。2004年度の県民所得(一人当たり)は、東京の455万円に対し沖縄の198万円と2.29倍の格差がある。

 B 2000年代に入って労働者・国民の生活実態は悪化し続けており、「構造改革」の痛みが、労働者・国民に集中している。その状況に対する反撃のたたかいはあるものの、「構造改革」の攻撃をはね返すまでの状況には至っていない。
 労働者に限らず、米価をはじめとする生産者価格の下落に苦しむ農民、原料価格の高騰を生産品価格に転嫁できずに苦しむ中小零細事業者、生存権裁判をたたかう市民など、貧困解消のたたかいに諸階層の国民が立ち上がってきている。
 最低生活の保障を求め、セーフティネットの再整備を求める国民的な運動が前進する条件はかつてなく高い。



 3) 2000年代に入って、大企業は、「富の配分」を変え、収奪を強めている。

 @ 大企業は、収益回復に伴い株主配当を増やし、役員報酬を引き上げ、景気後退時に取り崩していた内部留保を積み増している。一方で、労働分配率は、2001年をピークに低下させ続けている。
 07年9月の中間決算は、一部を除き高収益を継続しており、低成長や円高のもとでも企業収益を維持する「体質」にあることが一層明らかになっている。
 また、大企業は原材料価格の高騰を商品価格に転嫁するだけでなく、輸送費などの中間経費の削減や下請けへの負担転嫁なども強め、収奪を強めている。
 このような中、政府が公正取引の監視を強化し、タクシー事業に見られるような参入規制再強化の姿勢も見せ始めるなど、中小企業経営者などとも共同できる条件は拡大している。

 A 大企業は、1999年から2006年まで続いた「ゼロ金利政策」や、「税額控除」の拡大などの大企業優遇税制で、労働者・国民からの間接的な所得移転を増やし続けている。また、正規労働者を派遣や請負、パート労働者に置きかえることで、社会保障費の負担も「節約」し続けている。
 従来から、国際的にみて、日本企業の税、社会保障の負担は低い水準にあったにもかかわらず、2000年代になって、「国際競争力強化」を口実にした抑制姿勢を強め、政府への圧力を強めつづけている。
 大企業の横暴を告発し、企業の社会的責任(CSR)発揮を求める動きは、労働者の貧困化に反対する国際的な運動課題ともなっている。

 B 日本経団連は、12月19日に、「日本型雇用システムの新展開と課題」との副題をつけた「経営労働政策委員会報告」を明らかにした。
 その中では、連年の賃金抑制が国内消費を冷え込ませていることから、「付加価値額の増加額の一部」として賃上げを容認し、08年に入ってからは「10年間で世界史高水準の所得」実現まで言い出している。しかしながら報告では、「人材確保なども含め総人件費改定」の記述にとどめており、本格的な「ベア容認の姿勢」にまでは踏みこんでおらず、「横並びの賃上げ」は否定するなど、格差是正にも消極的な姿勢である。
 サブプライムローン問題でも明らかなように、「マネーゲーム」に明け暮れる企業行動が、世界経済の不安定要因になり始めているが、日本の多国籍企業がその一翼を担っていることを見過ごすことは出来ない。大企業を中心とする異常な「働かせ方」が、国内消費を冷え込ませ、貧困や格差などの原因となり、相次ぐ企業の不祥事の背景に利益最優先の競争主義があることなども含め、企業行動や経済政策の修正を迫るたたかい強化が求められている。



 4) 労働者、国民の生活苦に追い討ちをかける増税や社会保険料等の負担増が狙われ、生活必需品の高騰が懸念されるだけに、国民春闘への期待は高い。

 @ 社会保険庁の公表では、国民年金加入者の保険料納付率は、保険料免除者を含めれば49.0%と5割を切り、特に20歳代での納付率の低さが明らかになっている。年金記録消失問題もあり、国民の将来不安が高まる一方で、将来の無年金者予備軍が大量に生じており、社会保障制度の行きづまりも明らかになっている。
 国税庁の調査でも、税控除の見直しなどが行われた2004年以降、税負担割合が0.5ポイント増加しており、庶民増税が進められてきたことが示されている。
 「構造改革」が作り出した雇用破壊などが貧困を生み出し、「構造改革」による税制、社会保障制度の改悪が貧困に拍車をかける状況が続いている。

 A 11月になって、政府税調や財政制度審議会などが、08年度予算編成にむけた報告や、建議を出している。その内容は、小泉内閣当時に決定された「骨太の方針2006」をベースに、成長経済を維持するために大企業減税や高速道路などの大型開発を温存する一方で、生活保護の扶助基準等の引き下げや、医療・介護のコストカット、教員増員要求の否定、公務員人件費の削減を求めるものとなっている。
 それらの審議会や与党税制大綱は、社会保障財源を口実に、基礎年金への国庫負担の引きあげが予定される2009年度からの消費税率引き上げを求め、大衆増税の動きを強めている。
 さらに政府は、08年度でも、公的病院の統廃合や、自治体財政再建、混合診療解禁、労働者派遣法改悪などの規制緩和、市場化テストなどによる「公共サービス商品化」なども強引に進めようとしている。
 これらは、政府の施策が「構造改革」の継続、推進するものであることを示しており、国民との矛盾が激化することは避けられず、たたかいの課題は山積している。

B 11月30日に公表された「全国消費者物価指数(平成19年10月分)」は、前年同月比で0.3%上昇している。前年同月比で上昇しているのは、生鮮果物(8.3%増)、生鮮野菜(4.1%増)、電気代(1.4%増)などです。逆に下落しているのは、教養娯楽用耐久財(−14.5%)、家庭用耐久財(−6.3%)などとなっている。なお、別扱いとなっている石油製品は2.3%上昇し、エネルギー全体(電気代、都市ガス代、灯油代など)は1.8%上昇している。
 同じ日に公表された「家計調査報告(二人以上の世帯)」でも、対前年同月比で、教育(7.2%増)、光熱・水道(3.0%増)、保健医療(1.3%増)など生活の基礎的な支出が増加し、公租公課などの非消費支出も2.8%上昇している。 
 貧困や所得低下に、物価、公租公課が追い討ちをかけるという「三重苦」の状況が、春闘を目前に強まっている。



(2) 08春闘をたたかうかまえ
 1) この間の運動で、貧困と格差の解消を求め、改憲策動に反対する国民世論を高めてきたことに確信を持ち、08春闘のたたかいを継続・強化する。

 情勢でも言及したように、貧困と格差が地域社会でより深刻になっている現実と、国民・住民の運動で政治を動かすことが出来る条件が生まれている新たな状況に目を向け、国民春闘構築のとり組み前進をめざす。
 平和を求め、格差と貧困の是正を迫り、住み続けることのできる地域社会の実現を求める要求を具体的に掲げ、それらの要求の実現を阻んでいる大企業の横暴や、アメリカの圧力の実際を世論に訴え、要求実現を地方自治体や大企業にせまるとり組みを地域共闘組織が中心となって具体化し、産別の協力を得て実践する。



 2) 深刻な労働、生活実態にある青年・非正規労働者との共同と連帯の運動を重視し、要求運動を通じた未組織労働者の組織化にとり組む。

 偽装請負の告発、ワーキングプアの原因に非正規労働者増があること、雇用破壊がネットカフェ難民などの非人間的な生活を生み出していることなどを明らかにするとり組みが、政治状況の変化を作り出し、青年労働者などの労働組合への関心を高めてきた。
 労働者・国民の深刻な生活などの事実を明らかにし、実態を告発して、制度闘争とも一体で要求闘争を展開することで作り出してきた変化に目を向けたとり組みを発展させる。
 特に、青年・非正規労働者との共同の要求闘争に積極的にとり組み、未組織労働者の組織化に挑戦する。
 そのためにも、最低賃金「時給1,000円」の実現や、労働者派遣法の抜本的改善など、「まともな雇用と賃金」の制度的保障を求める要求を掲げた攻めの運動を職場と地域の双方で展開する。



 3) 要求討議や統一行動への全組合員参加の追求などを徹底し、地域での共同の先頭にたち、「労働運動の風」が職場と地域に吹く状況を創り出す。

 @ 07春闘でも明らかになったように、要求討議を徹底し、産別・地域の統一闘争に結集して要求書を提出し、ストライキを背景に回答を迫るという原則的なとり組みをおこなった労働組合での要求到達は高い。このことも教訓に、たたかいで要求が前進したという実感を共有できる状況を職場闘争で創り出す。
 全ての組織で春闘討論集会を開催し、組合員との「総対話運動」にとり組み、職場と地域の未組織、非正規労働者への働きかけ、呼びかけを強める。

A 地域の統一闘争を前進させ、地域での広範な共同の運動を労働組合が先導して創り出す。
 米価をはじめとする生産者価格の下落に苦しむ農民、原料価格の高騰を生産品価格に転嫁できずに苦しむ中小零細事業者、生存権裁判をたたかう市民など、貧困解消のたたかいに立ち上がっている国民・住民との共同のとり組みの具体化を進める。
 大企業の横暴を正す社会的な運動や、自治体をはじめとする行政交渉などを積極的に具体化し、地域に労働者のたたかいが見える春闘をめざす。



 4)  行動配置については、総選挙含みで政治情勢が推移することも踏まえて、集中的なとり組みを工夫するとともに、組合員の政治論議の活性化を促す「対話」を強める。

 @ 08春闘では、短期集中で成果を得るとり組み方などについての論議を進める。
 また、大企業本位の政治路線である「構造改革」が、要求の前進を阻んでいるだけでなく、生活悪化に拍車をかけていることなどの政治論議の活性化を追求する。

A中央行動については、1月8日の主要駅頭新春宣伝につづき、1月18日には08春闘の闘争宣言行動として厚労省&日本経団連包囲・丸の内デモを実施する。また、2月8日には大企業包囲行動としてキヤノン本社&トヨタ東京本社前宣伝行動を取りくむ。
 政治状況や想定される08年予算審議日程にも留意し、2月13日に08春闘最大規模の中央行動を設定する。その中央行動は「なくせ貧困」をメイン課題に、民主団体や春闘共闘以外の労働組合などへも広範に呼びかけ、要求持ち寄りの総行動としての成功をめざす。
 各単産の08春闘方針論議や国民春闘共闘委員会の方針確認もふまえ、1月31日に、東京春闘共闘との共催で「総決起集会」を開催する。
 2月末までの要求提出もふまえた集中回答日前の3月5日に中央行動をとり組む。

B 要求提出は、2月29日までにおこなうことで、産別の調整を進める。
 地域総行動は、2月27日〜29日の3日間を集中日に、全国でとり組む。
 集中回答日を3月12日(第1次)、4月23日頃(第2次)に設定する。
 第1次集中回答日の翌日3月13日を全国統一行動日とし、ストライキを含む統一行動を全ての組織でとり組む。

C 全国統一の最賃行動日として、4月23日頃(第1次)、5月30日頃(第2次)を設定する。なお、1月18日に、最低賃金審議会委員の公正任命を求める要請行動を配置する。





 3 08春闘で前進をめざす要求課題と運動


(1) 格差と貧困是正をめざした賃金底上げ、働くルール確立のたたかい
@ 08春闘では、産別統一闘争を基軸に、生活改善重視の賃金底上げ、労働条件の改善を求める職場のとり組みを展開する。

A すべての組合が「誰でも月額10,000円、時間給100円」の賃金引上げ、「月額15万円、日額7,500円、時間額1,000円」以上の企業内最低賃金の実現、非正規労働者の均等待遇実現の要求を確認し、具体的な成果をめざす。

B 「富の配分の偏り」是正や労働法制見直しによる「働くルール」の再整備を政府と大企業に迫る春闘共闘の統一したとり組みを強める。その中心課題に最低賃金「時給1000円」の実現、労働者派遣法の改正、労働時間規制の再強化を置き、制度改善と職場のとり組みの一体的な展開をめざす。中心的なとり組みとして、「第2次働くルール署名(国会請願署名)」の具体化を図る。

C 最低保障年金制度の確立や後期高齢者医療制度の廃止など、構造改革によって壊され続けた社会保障制度の再構築を求め、新たな負担増反対のたたかいを生活改善運動の課題とも位置づける。
 最低生活保障制度の確立を求める国民所階層との共同を重視し、とり組みを具体化する。

 1) 生計費原則にもとづくベア要求を積極的に掲げた産別統一闘争の強化をめざす。最低賃金闘争とも連携させた「賃金底上げ」を重視してとり組む。

@ 統一賃金要求目標を確認し、産別統一要求に基づく統一交渉日の設定、ストライキも構えた回答の引き出し、要求にこだわりを持った集団交渉など、組合員の共感と確信を得るたたかいを追求する。

A 「○○職場からワーキングプアをなくせ」、「○○地域からワーキングプアの一層を」などの要求スローガンを掲げて、賃金底上げのとり組み強める。
 08年春闘の統一したとり組みとして「最賃協約」締結運動の強化を図る。全組織での協約締結めざしたとり組みの前進を追求する。
 地域の賃金相場ともかかわる自治体非常勤職員などの時給単価引き上げを求める要請行動を地域総行動のとり組みとして具体化をはかる。

B 2月中の要求書提出、3月12日を第1次集中回答日とする交渉配置、3月13日を統一行動日とする回答押し上げの春闘日程を提起する。
 また、第1次集中回答日に寄せることが出来ない単産の回答日設定や、回答押上げを迫る単産、単組の決着目標として、4月23日頃に第2次集中回答日を設定する。



 2) 改正最低賃金法の積極面も活用し、最低賃金「時給1000円」実現をめざしたとり組みを全ての地域と単産で強化する。

@ 地域及び産業別の法定最低賃金の引き上げを求めるとり組みを強める。最低賃金体験運動、必要生計費算出のとり組み、最低賃金審議会委員の公正任命を求めるとり組みなどを強化する。
「生活保護施策との整合性に配慮」とする規定を盛り込んだ改正最低賃金法の施行にむけ、法遵守を求める厚生労働省、労働局要請行動などをとり組む。

A 最低生活保障制度の確立を求めてとり組んでいる諸団体との連携を深め、懇談会やシンポジウム、共同の集会などを地域の取り組みとして具体化する。商工団体、業者団体への申し入れや、関係行政機関への申し入れ行動などを、2月27日〜29日の地域総行動にも位置づけてとり組む。

B 単産のとり組みとしても、非正規労働者の組織化も意識した「他労組、事業所訪問運動」や企業、事業者団体要請行動などの具体化を図り、産業内に最賃闘争の「風が吹く状態」を作り出す。
 「第2次働くルール署名」とも関連させた「統一要請書」を作成し、共通のとり組みとしての前進をめざす。

C 最低賃金審議会委員の公正任命を求めるとり組みの一環として、1月18日に中央での行動を配置し08年の最低賃金のとり組みをスタートさせる。
 2月27日~29日の地域総行動では、地域最低賃金引き上げを求める自治体、地方議会要請行動などを位置づける。
 4月23日頃に、第1次最賃デーを設け、各地域で最賃学習会や「1000人」集会などを具体化しとり組む。
5月30日頃に第2次最賃デーを設け、全国一斉宣伝行動や「1000分ハンガーストライキ」など世論喚起のとり組みを具体化する。



 3) 雇用の安定、労働時間短縮を重視した「働くルール確立」運動を強化する。

@ 労働者派遣法の抜本的見直し、労働時間短縮の要求を重視してとり組みを進める。
「第2次働くルール署名」のとり組みと連携させ、職場での偽装請負、違法派遣の根絶などのとり組みを進める。

A 労働者派遣法の改善要求を掲げ政府追求と国会要請行動を強める。登録型派遣労働の実態告発や、引き続く偽装請負の実態告発などを地域組織の協力も得ながら、青年組織とも協力して具体化を検討する。

B 「36協定」遵守やサービス残業の撤廃を求める職場のとり組みを強化する。3月13日の統一行動日を「全労働者ノー残業デー」と位置づけ、組織内キャンペーンを展開する。
 所定外労働に対する「割増賃金の150%への引き上げ運動」を統一的に進めることを検討する。

C 労働時間短縮や次世代育成支援、均等待遇などをもとめる協約締結のとり組み前進を図る。春闘共闘レベルでの労働協約締結にかかわる交流集会などの開催を検討する。
 
D 人事院が07年勧告で言及した所定内労働時間短縮について、早期の意見申し出を求め、公務労組連絡会とも協力したとり組みを検討する。

E 外国人労働者の社会保険加入など、公正な労働条件確保を求める運動を強化する。
 研修生・実習生からの労働相談事例などの取りまとめや、当該者からの「改善要求署名」の取りまとめなど、運動の具体化を図り、政府や関連団体交渉などの強化を図る。



 4) 公務サービスの充実、労働基本権確立をはじめとする民主的公務員制度改革を求めるとり組みを継続強化する。

@ 行政改革推進本部専門調査会の「最終報告」もふまえた「公務サービスの充実を求める署名」や「市民対話集会」を支援する。  

A 2008年10月からの「社会保険庁解体」ともかかわって、強まっている選別採用などを許さない当該単産のたたかい支援を強める。
 また、公務員人事管理における能力・実績主義強化の問題点を明らかにするとり組みを支援する。



 5) 国鉄闘争、NTT闘争などあらゆる争議の勝利解決をめざす。

 特に、国鉄闘争について、1月23日の全動労裁判・東京地裁判決もふまえ、全面解決を求めるとり組みを強化することとし、全国的な宣伝統一行動や争議総行動の具体化などを検討する。



 6) 最低保障年金制度実現、生活保護引き下げ反対など社会保障闘争、重税反対・税金負担の軽減を求める国民的な運動との意識的な連携を図る。

@ 消費税引き上げなどの税制改悪に反対するとり組みを諸団体と共同して進める。
 1月8日の新春宣伝行動の課題に庶民増税反対の課題を位置づけてとり組む。
 春闘山場の統一行動日とも重なる「3.13重税反対」行動を積極的に位置づけ、行動参加をはかる。

A 諸団体と共同して、国民負担増の軽減を求め最低生活保障の実現を求める懇談会、集会、行動などの具体化をめざす。「生存権裁判」などの支援を強める。



 7) 大企業のぼろ儲けと、その反労働者的な配分のあり方などを告発し、社会的還元を求めるキャンペーン運動を再強化する。

 ブロックごとに対象企業を特定し、とり組みの集中をはかる「大企業総行動」を2月初旬の時期に実施することで論議を進める。



(2)  組合員が生活する地域社会の安全・安心の実現を求めるとり組み
 1)   @最低賃金「時給1000円」の実現をはじめとする最低生活保障制度の確立(格差と貧困の是正)、A正規雇用の拡大(雇用対策の充実)、B「公契約条例」も含む公正取引ルールの確立、C医療、福祉、教育などの公共サービス充実、などを共通の要請事項にした地域要請行動を2月27日~29日を集中時期に全国でとり組む。

 2) 後期高齢者医療制度や介護制度での負担増や医療・介護「難民」解消を求める地域での共同のとり組み前進をめざす。

 関連団体とも共同しながら、「ネットカフェ難民」をはじめとする住まいを持たない労働者への支援、対策を政府等に求めるとり組みの具体化をめざす。



(3) 改憲策動に反対し、平和と民主主義をまもる憲法闘争を強める
 1) 運動の目標として、@9条改憲に反対する世論をより確実なものとすること、A自衛隊のインド洋とイラクからの早期撤退、B在日米軍基地強化反対の世論形成、におく。

 2) 運動では、各団体がとり組んでいる「改憲反対署名」での相互協力を強める。署名成功をめざすとり組みとも一体で、地域での「9条改憲反対」の運動体づくりを国民、民主団体と共同して進める。

 3) 「3.1ビキニデー」、「9条世界会議」や5月3日の「憲法記念日」行動などの成功に尽力する。






以上




 
なくせ貧困、ストップ改憲!つくろう平和で公正な社会