2007国民春闘共闘情報
全労連HP

第45号・夏季第3号  2007年8月11日

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最終平均68.8万円。パートは0.79月に

 4年連続プラス。大企業好調、中小は苦戦 

夏季一時金最終集計結果の特徴について

2007年8月11日 国民春闘回答集計センター

1.国民春闘回答集計センターは8月10日、夏季一時金の最終・第3回集計をおこなった。登録組合の85%にあたる615組合(28単産・8地方)が回答を引出し、うち451組合(以上)が妥結した。残る組合も交渉を継続し収拾に向かいつつある。

2.回答+妥結の状況は別表のとおりで、集計結果は以下のとおりである。

 
登録組合数 722組合      
回答組合数 615組合 回答引出し率 登録数の85.2%  
2次回答以上 173組合 回答上積み率 回答数の28.1%  
前年実績額以上 222組合 金額回答数の 54.0%  
妥結組合数 451組合 妥 結 率 登録数の62.5%  
[回答+妥結] 組合数・人数 回答月数 金  額 引上げ率
単純平均 615組合 2.05カ月+α 688,300円  
前年同期比 (06.08.08) 2.03カ月+α 692,969円 −0.67%
前年実績比 (同一組合)   685,229円 +0.45%
加重平均 153,339人   808,612円  
前年同期比 (06.08.08)   770,593円 +4.93%

3.07夏季一時金闘争の経過と特徴はつぎのような諸点である。
 1) 今期の夏季一時金闘争は、業績好調な大企業が賃上げを抑えつつ「成果は一時金で配分」するという流れのなかでの取り組みとなった。各単産は、独自の要求調査などをもとに、平均2.5〜3.5カ月分や「前年実績以上」の要求をかかげ、団体交渉では、@期待された賃上げが不十分であったこと、A社会保険料に加え住民税が大幅な負担になって家計を圧迫していること、B毎月の赤字を補てんするために予定している生活費であることなどを主張して、支給枠(月数)の回復、支給額の大幅引上げをめざしてたたかってきた。

 2) 各単産の回答が出揃い、引出し率が約9割近くになった今回の集計では、単純平均が68万8300円、同一組合の前年実績比で3071円増、引上げ率0.45%プラスという僅かな増額にとどまった。一方、一人当りの加重平均は80万8612円、前年同期比で3万8019円増、引上げ率にして4.93%プラスという増額になった。このように、前年比較の主な指標が4年連続してプラスになったこと、規模別集計で「1000人以上」が6.72%と大幅増になっているものの、「1〜29人」の小規模が2.24%減、「100〜299人」の中小が0.46%減と苦戦し、規模別較差が見られることも今季の特徴である。

 3) この間の取りくみの特徴は、各単産とも春闘未解決組合を抱えながら、5月下旬の要求提出、6月上・中旬の回答引き出し・上積みの統一行動をたたかってきた。また、8月上旬の中賃答申と人事院勧告にむけて、5月段階から5次にわたる「最賃・人勧デー」を官民一体でたたかってきたことである。こうしたなかで、各単産が業種別・地方別の対策をつよめ、一部ではストライキ、残業拒否、本社交渉などをたたかいながら、173組合(回答数の28%)が2次、3次と回答を上積みさせ、222組合(金額回答数の54%)では前年実績以上を獲得してきた。

 4) 産別平均の引上げ率がプラスになっているのは、対比可能な25単産中、JMIU(金属・情報機器)の6.85%、化学一般労連の2.29%、建交労・運輸の2.55%、検数労連の12.53%、生協労連の2.18%、日本医労連の2.88%など、製造業、交通運輸業、商業、サービス業などの19単産に達した。一方、建設業や証券、マスコミ関係などを中心にマイナスが6単産見られた。

 5) 単産平均が100万円の大台を超えているのは民放労連、出版労連の2つで、この加盟組合と地方マスコミ(新聞)、全証労協を中心に150万円以上の高額回答が18組合(最高は出版労連傘下の285万余円)報告されている。最高回答次数は第4次回答で、日本医労連の3組合、JMIUの2組合と、全倉運、金融労連、全印総連各1組合の計8組合見られた。また、引上げ額の最高は出版労連の組合で、第2位には前年実績に51万円以上引き上げて66万5000円を獲得した建交労・運輸の組合が入った。


4.パート等の獲得状況について
 パート・アルバイト等の夏季一時金回答・妥結状況については、生協パートをはじめ、日本医労連、全労連全国一般、全農協労連、建交労、全印総連、映演労連、出版労連、福祉保育労など10単産・2地方からのべ243組合(前年最終は211組合)の獲得状況が報告された。うち、時間給のパートは173組合平均で0.79カ月分(前年同期は0.76カ月分)になり、若干の支給増になった。日給の臨時・嘱託・非常勤は61組合平均で1.02カ月分、月給の契約・有期などでは9組合平均で1.25カ月の回答・妥結状況である。
 傾向としては、正規労働者の集計結果が金額で若干のプラスになっているのに連動して、パート・アルバイトなどの集計結果も、前年比の支給月数が同月又は若干のプラスになっている。この春闘期には支給基礎の時間額・日額が引き上げられており、支給額も増額になっていることが確実である。




5.他団体の集計結果について(いずれも最終集計)


連 合 (最終) 8月02日現在 月 数 金 額 前年実績 (引上げ率)
単純平均 3,624組合 2.01カ月 500,218円 492,360円 +1.60%
加重平均 205.7万人 2.36カ月 712,924円 690,813円 +3.20%


日経連 (最終) 7月18日現在 金 額 前年実績 (引上げ率)
単純平均 大手183社 772,506円 753,396円 +2.54%
加重平均   910,286円 883,695円 +3.01%




 


地域最賃の目安は地域格差の「6〜19円」を答申

人勧は「0.35%」の原資を初任給中心に配分

 6.今季の夏季闘争は、一時金、最賃、人勧の経済的要求に加えて参議院選挙がたたかわれた。貧困と較差拡大を推し進めてきた自民党が歴史的な大敗を喫するなか、8日に発表された人事院勧告は、「0.35%、1352円」の官民較差にもとづき、初任給を中心とした俸給表の部分改善、子等の扶養手当の引き上げ、一時金の0.05カ月増額、「専門スタッフ職俸給表」の新設などである。非常勤職員の給与改善にむけて、必要な方策を検討するとの方向も明記された。
 10日には、中央最低賃金審議会が地域別最低賃金引き上げ目安について、成長力底上げ戦略推進円卓会議の意向を受けながら、「A・19円、B・14円、C・9〜10円、D・6〜7円」(全国平均14円)という、低額なうえに地域間格差を拡大するような金額を答申した。
 こうして、8月中〜下旬には地方の最低賃金審議会がひらかれ、地域別の最低賃金時間額が審議、決定される。9月以降は地方公務員の賃金確定闘争も展開される。今季の夏季闘争を従来に増して官民一体で取り組んできた流れを大切にしながらの奮闘と成果に期待する。



(以 上)





 
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